前回の記事では、
FIRE後の孤独感と、会社のつながりが消えた後の「居場所づくり」
について整理した。
孤独の話をすると、セットで出てくるテーマがもう一つある。
家族との時間、どこまで増やすのが“ちょうどいい”んだろう?
家族時間を増やしたくてFIREを目指したのに、
いざ時間が増えると「ずっと一緒」はそれはそれでしんどい。
今日は、FIRE後の「家族時間」と「自分時間」のバランスについて考えてみたい。
結論:「家族100%」でも「自分100%」でもない
家族のために全部の時間を捧げるのではなく、
家族が安心できるベース+自分の軸となる時間を両方確保する。
100%家族時間だと自分が枯れていく。
100%自分時間だと、家族が不安になる。
「家族の安心ライン」と「自分の芯となる時間」を先に決めておくと、関係がかなり安定する。
FIRE後に起こりがちな「時間のすれ違い」
① 「せっかく時間があるんだから、一緒にいてほしい」問題
- パートナー:家にいるなら、もっと家族時間に使ってほしい
- 本人:自分の勉強や趣味にも時間を使いたい
どちらも間違っていない。ただ「暗黙の期待」がズレているだけ。
② 「家にいるのに、ずっとPC(スマホ)いじってる」問題
本人にとっては「仕事/学び/情報収集」。
家族から見ると「一緒にいるのに、こちらを見てくれない」時間になりがち。
物理的に一緒にいることと、
心理的に一緒にいることは別もの。
③ 「自分時間」に罪悪感を覚えがち
家族のためにFIREしたつもりなのに、
実際は自分の趣味や学びの時間も欲しくなる。
「これってワガママかな…?」とモヤモヤしやすい。
「3つの時間」で考えると整理しやすい
FIRE後の時間は、ざっくり3つに分けて考えると整理しやすい。
- 家族の“安心”を支える時間
- 自分の“芯”を支える時間
- フリーな余白時間
① 家族の“安心”を支える時間
- ご飯・お風呂・寝かしつけ
- 夕方〜寝る前などの「黄金時間」
- 週末の家族イベント・外出
ここは「優先度S」。先にカレンダー上でブロックしてしまう。
② 自分の“芯”を支える時間
- 勉強(読書・資格・語学など)
- 趣味(運動・創作・ゲームでもOK)
- ちょっとした仕事・副業・ライフワーク
「これがあると、自分でいられる」という時間を、細くてもいいので持っておく。
③ フリーな余白時間
- あえて予定を入れない時間
- 疲れていたら休む
- 元気なら家族や趣味に使う
「予定を入れない」という予定も大事。FIRE後は、予定を詰めすぎても疲れる。
具体的な時間配分ステップ
ステップ1:一週間の「家族の安心ライン」を一緒に決める
- 平日:何時〜何時を家族タイムにするか
- 週末:どのくらい一緒に過ごしたいか
- どこまでやってくれたら「安心」と感じるか
「なんとなく」ではなく、一度ゆるく言葉にしてみるだけでだいぶ違う。
ステップ2:自分時間の“固定枠”を置く
例:
- 平日午前:9〜12時 → 自分の学び・仕事
- 午後:家事+少し自分時間
- 夜:家族タイム優先
週に2〜3コマでもいいので、「ここは原則、自分時間」と決めておく。
ステップ3:月1くらいで「配分レビュー」
- 最近、家族はどう感じているか
- 自分はちゃんと回復できているか
- 増やしたい時間・減らしたい時間はあるか
最初の設計が永遠の正解ではない。定期的に少しずついじる前提にしておく。
タイプ別・時間設計イメージ
パターンA:小さい子どもがいる家庭
- 平日日中:子どもが保育園・学校 → 自分時間+家事
- 夕方〜夜:完全に家族タイム
- 土日のどちらか:家族イベントデー
- もう片方:半日自分時間、半日家族時間
「子どもが起きている時間は、できるだけちゃんと向き合う」を意識すると、
家族の安心度がかなり上がる。
パターンB:夫婦二人(子育てひと段落/子なし)
- 平日日中:それぞれ好きなことをする
- 夜:一緒にご飯+少し話せる時間
- 週末:どちらか一日は一緒に出かける or ゆっくり過ごす
「一緒の時間」と「別々の時間」を意識して両方キープするのがポイント。
僕の感覚
「家族のために全部の時間を差し出す」のは、
短期的には美談っぽく見えるけど、長期的にはあまりうまくいかない。
自分がすり減るとイライラしやすくなるし、
「これだけやってるのに」という気持ちも溜まりやすい。
結果的に家族関係がぎくしゃくしやすい。
逆に、家族の安心ラインを満たしたうえで、
自分の芯となる時間もちゃんと持っている人の方が、
長い目で見ると家族に優しくなれる。
FIREは、家族を「時間で埋め尽くす」ためのものではなく、
家族と自分のどちらも大事にする余裕を作るためのもの。
まとめ
- FIRE後は「家族時間」と「自分時間」のバランス問題が出やすい
- 家族100%/自分100%どちらかに振り切ると、どこかで無理が出る
- まずは「家族の安心ライン」を一緒に決める
- そのうえで、自分の芯を支える時間を細くても固定枠として持つ
- 一週間〜一ヶ月単位で、少しずつ配分を調整していく
- 長期的には「家族も自分も、どちらも大事にする設計」が一番強い
次回は、「FIRE後、どこに住むか問題」をテーマに、
都市か地方か/実家の近くか/気候や物価など、住む場所と生活コスト・幸福度の関係を整理していく予定。
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