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47.FIRE計画はどうせズレる前提でいい|シミュレーションと現実のギャップを“味方”にする考え方

前回の記事では、

年ごとの「資産 × 収入 × 支出」を1枚の表にすることと、
楽観・標準・悲観の3パターンを作ること

について整理した。

ここまで来ると、次に出てくる感覚はだいたいこうだと思う。

でもさ…どうせこの通りにはいかないよね?

そう、その通りで。
シミュレーションはほぼ確実にズレる。

この記事では、
「計画どおりに行かない前提」でどうやってFIREを進めるか
どのタイミングで、どう見直せばいいかを整理する。


目次

結論:計画は「当てる」ためではなく、「ズレたときの地図」にする

FIRE計画は「当てにいくもの」じゃない。
ズレたときに“軌道修正の判断がしやすくなる地図”。

  • ズレること自体は問題ではない
  • ズレたときにどう動けるかが大事
  • そのために、あらかじめ“調整のルール”を決めておく

シミュレーションがズレるのは“普通”のこと

ざっくりでも表を作ってみると、1〜2年でこういうズレが出やすい。

  • 給料が思ったより上がらなかった/逆に上がりすぎた
  • 転職・配置転換で収入構造が変わった
  • 子どもの教育費が想定より早く膨らんだ
  • 投資リターンが「標準ケース」と大きく違った
  • そもそも自分の価値観が変わった

ポイントは、
「ズレた=失敗」ではなく、「前提がアップデートされた」だけ
と捉えておくこと。


よくハマる“メンタルの罠”

罠① 「やっぱり全部やり直しだ…」思考

  • 少しズレると、計画を全否定したくなる
  • 資産推移が計画より下だと「自分には無理」と感じる

こうなると、シミュレーションを見るのがつらくなり、放置コースになりやすい。

罠② 「計画どおりだから、もう大丈夫でしょ」思考

  • 思ったより資産が増える
  • グラフが計画より上を推移している
  • =「もう放っておいても平気」と油断しがち

この状態で、大きな環境変化(リストラ・病気・税制変更)が来ると一気に崩れやすい。


シミュレーションの“使い方ルール”を決めておく

① 見直すタイミングを決める

感情で見直すとブレやすいので、
事前に「いつ見るか」をルール化しておく

  • 年に1回(誕生月 or 年末)
  • ボーナス後に1回
  • 転職・出産・引っ越しなど、大きなイベントがあったとき

「何か不安になったから」ではなく、
「このタイミングで棚卸しする」と決めておく。

② 見るポイントを3つくらいに絞る

全部を細かくチェックしようとすると疲れるので、見るポイントを絞る。

  • 期末資産が「標準ケース」からどのくらい外れているか
  • 年間支出が想定よりどれくらいズレているか
  • 仕事・働き方の満足度(10点満点で自己評価)

数字と同じくらい、「心の状態」も一緒に見ておくイメージ。


想定より資産が“増えた”ときの扱い方

プラス方向のズレが出たときほど、落ち着いて扱いたい。

✔ 追加でやれる選択肢の例

  • セミリタイア時期を少し前倒し候補に入れてみる
  • 仕事の負荷を少し下げる選択肢(部署異動・時短など)を検討する
  • 教育・自己投資に回す枠を少し増やす
  • 余剰分をリスク低めの資産に退避しておく

余裕が出たときに、
「さらにFIREを早めるため」だけに全部突っ込むより、
生活の満足度を少し上げる使い方を混ぜる方がバランスがいい。


想定より資産が“減った”ときの扱い方

ステップ1:原因をざっくり分解する

  • 市場要因(株価下落など)なのか
  • 自分の支出増なのか
  • 収入減なのか

ここをざっくり切り分けるだけで、「何をいじればいいか」が見えやすくなる。

ステップ2:事前に“調整レシピ”を決めておく

「もし資産が●%下振れたら」という前提で、
やることリストをあらかじめ決めておく。

  • 標準ケースより▲10% → 固定費中心に生活費を見直す/セミリタイア時期を1〜2年後ろにずらす候補に入れる
  • ▲20%以上 → FIREラインを一時的に引き上げる/副業や働き方の見直しを検討/株式比率を少し落としてリスク調整

こういう“事前の調整レシピ”があると、
落ち込む時間より「対策する時間」の方が増える。


「もう行けるかな?」と思ったときの判断軸

シミュレーションが進んでくると、心のどこかでこう思う瞬間が来る。

もうセミリタイアしてもいいかな?

そのときに見るのは、資産額だけだともったいない。

✔ 見ておきたい3つの軸

  • 数字: 標準ケースで見て「〇歳以降は資産が減りすぎない」ラインに乗っているか/生活費2〜3年分の現金クッションがあるか
  • 暮らし: 今の生活費が「ギリギリ」ではなく「現実的に回る」レベルか/無理な節約に寄りすぎていないか
  • 心: 仕事を減らしたときに何をしたいかが、ざっくり言葉にできているか/不安より「やってみたい気持ち」が少しだけ上回っているか

この3つを見たうえで、
「不安もあるけど、トライする価値はあるよね」と思えるかどうかが、ひとつの目安になる。


僕の感覚

FIREシミュレーションは「未来を固定するツール」ではなく、
揺れたときに戻れる“基準点”を作るためのもの。

計画は必ずズレる。
価値観も変わる。家族の状況も変わる。

それでも、年1〜2回“地図”の前に立ち返って、
ズレた分だけルートを引き直す。
この繰り返しができていれば、FIREは
「当たった・外れた」ではなく、
自分たちで舵を取り続けるプロジェクトになる。


まとめ

  • シミュレーションはほぼ確実にズレる前提でOK
  • 大事なのは「ズレたときの軌道修正ルール」を決めておくこと
  • 見直しタイミングは年1〜2回+大きなイベント時に設定
  • 資産が増えたときは、生活の満足度アップにも少し使う
  • 資産が減ったときは原因を分解し、「●%下振れでこう動く」という事前レシピで対応
  • セミリタイア判断は「数字・暮らし・心」の3軸で見る

次回は、「FIRE判定ラインをどう決めるか」をテーマに、
4%ルールだけに頼らない、自分なりのライン設定の考え方について整理する予定。

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30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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