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48.FIRE判定ラインは“資産額”だけじゃない|いくら貯まったら、どんな条件が揃ったら「もう行っていい」と言えるか

前回の記事では、

シミュレーションはほぼ確実にズレる前提でOK。
大事なのは「ズレたときの軌道修正ルール」。

という話を書いた。

ここまでくると、心のどこかでこう思い始める人も多いはず。

結局、いくら貯まったら会社を辞めていいんだろう?

この記事では、
「資産いくら」だけにしないFIRE判定ラインの決め方を、
フルFIRE/セミリタイア/働き方シフトの3段階で整理していく。


目次

結論:判定ラインは「数字 × 生活 × 心 × 家族 × バックアップ」の5点セット

FIRE判定ラインは「資産額」ではなく、
「数字 × 生活 × 心 × 家族 × バックアップ」で考える。

  • 4%ルールはあくまで“スタートのものさし”
  • 資産ラインは「最低ライン」と「安心ライン」の2本引き
  • 一気にフルFIREではなく、「働き方シフト → セミリタイア → フルFIRE」と段階ラインで見る

「4%ルール」は“スタートのものさし”くらいでちょうどいい

FIRE界隈でよく聞く4%ルール。

  • 年間生活費 × 25年分の資産
  • = その資産から年4%ずつ取り崩しても長期的には持ちこたえやすい、という考え方

ただし現実には、

  • アメリカの過去データ前提
  • 税制・社会保険・医療費は国や家庭でバラバラ
  • 人間の「働き方」も「支出」も途中で変わる

という前提がある。

4%ルール = 「絶対ライン」ではなく、
「最初にざっくり眺める物差し」くらいの扱いがちょうどいい。


「数字」のラインは2本+3段階で考える

① 年間生活費から2本のラインを引く

まずは過去1〜3年の家計から、
「現実の生活費」を出しておく。

  • ミニマムライン: 少し我慢すれば、まあ暮らせる金額
  • ちょうどいいライン: 特別な贅沢はしないけど、普通に幸せな金額

ここから、ざっくり目安を出す。

  • フルFIRE候補:ちょうどいいライン × 25年分前後
  • セミリタイア候補:ミニマムライン − 多少の労働収入で埋まればOK、というイメージ

② フルFIRE/セミリタイア/働き方シフトの3段階

フルFIRE判定ライン(例)

  • ちょうどいい生活費 × 25年分前後の金融資産
  • 生活費2〜3年分の現金クッション
  • 住宅ローンなど大きな負債が重くない

セミリタイア判定ライン(例)

  • ミニマム生活費の50〜70%は資産+運用収益でカバーできる
  • 残りは「週◯日労働」「軽い仕事」で埋める設計が見える
  • 資産は「完全に減り続ける」設計ではなく、横ばい〜ゆるやか減少くらい

働き方シフトライン(例)

  • まだFIREではないが、「フルタイムじゃなくてもいいかな?」と思えるライン
  • 生活防衛資金+αが貯まっている
  • 転職・時短・リモート勤務へのシフトを現実的に選べる

いきなり「退職 or 続行」の二択にせず、
段階的にラインを作っておくと動きやすい。


「生活条件」のラインを決めておく

数字が足りていても、
生活の土台がガタガタだと不安定になりやすい。

チェックしたい生活条件の例

  • 高金利の消費者ローンなどが残っていない
  • 住宅コスト(家賃・ローン)が家計を圧迫しすぎていない
  • 保険・税金・教育費など固定的な支出を把握できている
  • 「この生活費なら、しばらく続けてもいい」と感じられる水準になっている

判定ライン = 「数字+生活の安定度」のセットで見るイメージ。


「心」と「家族」のライン

① 心のライン

FIREは「現実逃避ボタン」ではない。

  • 仕事を減らした後、何をしたいかざっくり言える
  • 「完全に不安ゼロ」ではないが、「やってみたい」が少し勝っている
  • 生活レベルを少し下げてもいい、という許容度がある
  • 資産の上下に一喜一憂しすぎない最低限のメンタル筋力がある

② 家族のライン

ここは本当に重要。

  • 配偶者が「完全賛成」でなくても、「大反対ではない」状態になっている
  • 家計と将来像について、最低限の会話ができている
  • 教育方針・住む場所・生活レベルのイメージが大きくズレていない
  • 「おかしくなったら、こう軌道修正しようね」という話がざっくり共有できている

家族の合意がないFIREは、
かなりの確率でメンタルを削る。


「バックアップライン」(引き返しルール)を先に決めておく

FIRE判定ラインとセットで用意しておきたいのが、

ここまで状況が悪化したら、
一度ギアを戻す。

という「バックアップライン」。

資産側のバックアップライン(例)

  • 標準シミュレーションより資産が▲10〜20%下振れたら:固定費中心に生活費を見直す/セミリタイア時期を1〜2年後ろにずらす候補に入れる
  • ▲20〜30%以上なら:軽い仕事・副業を増やす/週◯日分、もう少し働く生活に戻すことを検討

メンタル・生活側のバックアップライン(例)

  • 毎月お金の不安で眠れない日が続く
  • 夫婦間の会話が、ほぼお金の不安だけになっている
  • 子どもの生活・進路に影響が出そうだと感じた

このラインを超えたら、
「一度立ち止まって収入を増やす側に戻る」が選択肢。

「最悪どうするか」が決まっていると、
判定ラインを超えるときの怖さがかなり減る。


シンプルな“判定チェックリスト”の例

フルFIRE候補のチェック(例)

  • ちょうどいい生活費 × 25年分前後の金融資産がある
  • 生活費2〜3年分の現金クッションがある
  • 高金利の負債がない
  • 家族と「だいたいOK」の合意が取れている
  • 資産が▲20〜30%動いても、すぐには生活破綻しない設計がある

セミリタイア候補のチェック(例)

  • ミニマム生活費の半分以上は資産+運用収益で賄えそう
  • 週◯日働く/軽い仕事で埋められるイメージがある
  • 今の働き方を続けるより「減らすメリット」の方が大きいと感じる

全部に丸がつかなくても、
「不安は残るけど、それでもやってみたい」くらいの状態になったら、
シフトを検討してもいいサイン。


僕の感覚

FIRE判定ラインは「ゴールテープ」じゃなくて、
「ここから先は、少し人生のギアを変えてもいいよ」という境界線。

フルタイムで走り続けるのか。
少しスピードを落として景色を見ながら進むのか。
一度止まって、別のルートに乗り換えるのか。

その「切り替えポイント」を、
数字・生活・心・家族・バックアップの5つで決めておくイメージ。


まとめ

  • FIRE判定ラインは「資産額」だけでは決めない
  • 4%ルールは“スタートのものさし”くらいでちょうどいい
  • 資産ラインは「最低ライン」と「安心ライン」の2本引き
  • フルFIRE/セミリタイア/働き方シフトの3段階で考える
  • 生活条件・心・家族・バックアップの条件もセットでチェック
  • 「ここまで崩れたら一度戻る」バックアップラインを先に決めておく

次回は、「お試しFIRE/プチFIREをどうやるか?」をテーマに、
育休・サバティカル・長期休暇を“FIREの実験場”にする発想を整理する予定。

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30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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