前回の記事では、
いきなり本番FIREが怖いなら「お試しFIRE」からでいい。
育休・サバティカル・長期休暇は“合法的なFIRE実験場”。
という話をした。
お試しFIREをしてみると、多くの人がこう感じやすい。
ずっとこの生活は難しいけど、
週に何日かはこういう日がほしいな…。
この記事では、
会社を辞めなくても「FIRE寄りの働き方」に寄せていく方法を整理していく。
結論:FIREは「辞める or 辞めない」の二択ではない
FIREは「辞める or 辞めない」の二択ではなく、
“どこまでFIRE寄りの働き方に近づけるか”という連続体。
- 週5フルタイムを続けながら、裏で資産を積む
- 週3〜4勤務や時短で「時間の自由度」を上げる
- 負荷の低い職種・働き方にシフトして「メンタルの自由度」を上げる
この中間地点だけでも、
心が軽くなり、家族時間が増え、FIRE資産も育っていく。
FIREを「0か100か」で考えると、だいたいしんどい
よくあるイメージはこうだ。
- 0:フルタイム正社員・残業あり・責任重め
- 100:完全FIRE・仕事ゼロ・資産取り崩し
でも実際には、もっとグラデーションがある。
- フルタイムだが、残業ほぼゼロ
- 週4勤務・週3勤務
- 時短勤務(1日6時間など)
- 在宅メイン・勤務地フリー
- 責任軽めのポジションにシフト
- フリーランス・業務委託で“仕事を選ぶ”
- セミリタイア(生活費の一部だけ稼ぐ)
- 完全FIRE
「完全FIREできないなら意味がない」ではなく、
「どこまでなら現実的にFIRE寄りに寄せられるか?」で考える。
会社を辞めずにできる“FIRE寄り働き方”のパターン
① 週5勤務 → 週4/週3勤務にする
- 派遣・契約・パート・アルバイトへの切り替え
- フレックス制を利用して、実質の稼働日を減らす
- 副業と組み合わせて「週3+副業」で生活費を作る
効果:
- 平日休みが生まれるだけで生活満足度がかなり変わる
- 家事・育児・自己投資の時間が確保しやすい
- 「週末のために平日5日耐える」感覚から抜け出せる
② 時短勤務にする(1日〇時間にする)
- 7〜8時間勤務 → 5〜6時間勤務 など
- 朝ゆっくり/夕方早く帰るスタイルに寄せる
効果:
- 1日の「体力・気力の余白」が増える
- 子育て・介護・自分の勉強時間を取りやすい
- フルリモート+時短なら、体感FIRE度はかなり高い
③ リモート・在宅勤務を増やす
- 完全在宅が難しくても「週2〜3日は在宅」を目指す
- 通勤時間を“まるごと”自分の時間に振り替える
効果:
- 通勤ストレスの削減は想像以上に効く
- 家事・育児との両立がしやすくなる
- 「会社中心」から「暮らし中心」へ軸が動き始める
④ 負荷の低いポジション/部署へのシフト
- 昇進レースから一歩引く
- プレイヤー寄りのポジションに戻る
- 顧客対応よりバックオフィス寄りの役割に変える
効果:
- 年収はやや下がるかもしれないが、心の消耗が大きく減る
- 承認欲求より「心身の安定」を取りに行く選択
- 長く働ける=FIRE資産を積む時間も長くなる
⑤ 会社外に「もう一つの軸」を持つ(副業・ライフワーク)
- 副業で小さな収入源をつくる
- お金にならなくてもいいので“ライフワーク”を持つ
効果:
- 会社=アイデンティティ、になりにくくなる
- いざFIREしたくなったとき、「外の足場」がすでにある
- 心のポートフォリオが分散され、折れにくくなる
どういう順番で検討するか?
いきなり上司に「週3にしてください」は、さすがにリスクが高い。
ある程度の“順番”を踏んだ方が安全だ。
Step1:生活費のミニマムと「減収許容ライン」を知る
- 最低限いくらあれば暮らせるか?
- “普通に幸せ”ラインはいくらか?
- 年収がいくらまで下がっても大丈夫か?
数字が見えていないと、「怖い」だけが先に立つ。
Step2:何を一番減らしたいのかを言葉にする
- 時間(拘束時間)?
- 精神的プレッシャー(責任)?
- 通勤?
- 人間関係?
「とにかく楽になりたい」だと、対策の打ちようがない。
Step3:今の会社の中でできることを洗い出す
- 時短・在宅・週◯日在宅は制度としてあるか?
- 部署異動・職種チェンジの可能性は?
- 役職を下げる/昇進を断る選択肢は?
社内でできる最大限をまず探す。
Step4:それでも難しければ「外」を含めて検討
- 働き方の柔軟性が高い業界に転職
- リモート前提の職種にチェンジ
- 副業+週3勤務OKな環境を探す
「会社を辞める=即FIRE」ではなく、
「会社を変える=FIRE寄りに近づく」も立派な一手。
上司・会社と話すときのポイント
① 宣言ではなく「相談」として切り出す
- NG:「週3にしたいので制度探してください」
- OK:「長く働き続けたいので、働き方を相談したい」
トーンが“要求”だと、話がこじれやすい。
② 自分の都合だけでなく「会社のメリット」も言葉にする
- この働き方なら、今のパフォーマンスを維持できる
- 無理にフルタイムを続けると、むしろ離職リスクが高まる
- 長期的に会社に貢献したい、という意思を伝える
「自分が楽したいから」だけで終わらせない。
③ いきなり“永久”ではなく「期間限定のトライアル」にする
- まず3カ月〜半年お試し
- 問題なければ継続/必要に応じて微調整
会社側にとっても心理的ハードルが下がる。
④ 自分の中で「ここまでなら年収ダウンOK」を決めておく
- 年収◯◯万までは許容する
- ボーナス減は想定しておく など
ここが曖昧だと、交渉の途中で不安が暴走しやすい。
“FIRE寄り働き方”のメリット・デメリット
メリット
- 心身の余裕が増える
- 家族との時間・自分の時間が増える
- 完全FIREしなくても「ほぼFIRE感」を味わえる
- 働きながら資産運用を続けられる(完全取り崩しにならない)
デメリット
- 年収は下がる可能性が高い
- 昇進ルートから外れるかもしれない
- 「なんでそこまでして働き方を変えるの?」という周囲の目
それでも、
「健康と時間」のリターンの方が、
長期的には大きいと感じる人は多い。
「今の会社では、どう考えても無理そう…」という場合
その場合、選択肢はシンプルだ。
- 会社を変えて、働き方を叶えやすい環境へ行く
- 働き方を変える代わりに、今の会社に残る
どちらを選んでもいい。
ただ、
- 働き方の柔軟性が高い業界・職種に身を置く
- リモート前提/評価が成果ベースの環境を選ぶ
こういった「環境から整えるFIRE戦略」も、
中長期的にはかなり強い。
僕の感覚
完全FIREを目指すのは“ロマン”。
FIRE寄り働き方を作るのは“生活のリアル”。
今の人生のつらさを下げ、
これからの人生の選択肢を増やすという意味では、
“FIRE寄り働き方”をデザインする方が、
手触りのある変化を起こしやすいと感じている。
まとめ
- FIREは「辞める/辞めない」の二択ではなく、“FIRE度”のグラデーションがある
- 週3勤務・時短・在宅・負荷の軽い職種など、会社を辞めずにFIRE寄りに寄せる手段は多い
- まずは「生活費」と「減らしたい負荷」を言葉にし、社内でできる最大限を探す
- 上司とは宣言ではなく相談スタイルで、期間限定トライアルから始める
- 今の会社でどうしても無理なら、「環境を変える」という選択肢も普通にアリ
- 完全FIREがまだ遠くても、“FIRE寄り働き方”だけで人生の体感は大きく変わる
次回は、「FIRE計画はどのタイミングで・どう見直していくか?」をテーマに、
年1回の“FIRE定期点検”のやり方や、見直すべきポイントを整理する予定。
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