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50.会社を辞めなくても“FIRE寄り”にはできる|週3勤務・時短・職種チェンジという選択肢

前回の記事では、

いきなり本番FIREが怖いなら「お試しFIRE」からでいい。
育休・サバティカル・長期休暇は“合法的なFIRE実験場”。

という話をした。

お試しFIREをしてみると、多くの人がこう感じやすい。

ずっとこの生活は難しいけど、
週に何日かはこういう日がほしいな…。

この記事では、
会社を辞めなくても「FIRE寄りの働き方」に寄せていく方法を整理していく。


目次

結論:FIREは「辞める or 辞めない」の二択ではない

FIREは「辞める or 辞めない」の二択ではなく、
“どこまでFIRE寄りの働き方に近づけるか”という連続体。

  • 週5フルタイムを続けながら、裏で資産を積む
  • 週3〜4勤務や時短で「時間の自由度」を上げる
  • 負荷の低い職種・働き方にシフトして「メンタルの自由度」を上げる

この中間地点だけでも、
心が軽くなり、家族時間が増え、FIRE資産も育っていく。


FIREを「0か100か」で考えると、だいたいしんどい

よくあるイメージはこうだ。

  • 0:フルタイム正社員・残業あり・責任重め
  • 100:完全FIRE・仕事ゼロ・資産取り崩し

でも実際には、もっとグラデーションがある。

  • フルタイムだが、残業ほぼゼロ
  • 週4勤務・週3勤務
  • 時短勤務(1日6時間など)
  • 在宅メイン・勤務地フリー
  • 責任軽めのポジションにシフト
  • フリーランス・業務委託で“仕事を選ぶ”
  • セミリタイア(生活費の一部だけ稼ぐ)
  • 完全FIRE

「完全FIREできないなら意味がない」ではなく、
「どこまでなら現実的にFIRE寄りに寄せられるか?」で考える。


会社を辞めずにできる“FIRE寄り働き方”のパターン

① 週5勤務 → 週4/週3勤務にする

  • 派遣・契約・パート・アルバイトへの切り替え
  • フレックス制を利用して、実質の稼働日を減らす
  • 副業と組み合わせて「週3+副業」で生活費を作る

効果:

  • 平日休みが生まれるだけで生活満足度がかなり変わる
  • 家事・育児・自己投資の時間が確保しやすい
  • 「週末のために平日5日耐える」感覚から抜け出せる

② 時短勤務にする(1日〇時間にする)

  • 7〜8時間勤務 → 5〜6時間勤務 など
  • 朝ゆっくり/夕方早く帰るスタイルに寄せる

効果:

  • 1日の「体力・気力の余白」が増える
  • 子育て・介護・自分の勉強時間を取りやすい
  • フルリモート+時短なら、体感FIRE度はかなり高い

③ リモート・在宅勤務を増やす

  • 完全在宅が難しくても「週2〜3日は在宅」を目指す
  • 通勤時間を“まるごと”自分の時間に振り替える

効果:

  • 通勤ストレスの削減は想像以上に効く
  • 家事・育児との両立がしやすくなる
  • 「会社中心」から「暮らし中心」へ軸が動き始める

④ 負荷の低いポジション/部署へのシフト

  • 昇進レースから一歩引く
  • プレイヤー寄りのポジションに戻る
  • 顧客対応よりバックオフィス寄りの役割に変える

効果:

  • 年収はやや下がるかもしれないが、心の消耗が大きく減る
  • 承認欲求より「心身の安定」を取りに行く選択
  • 長く働ける=FIRE資産を積む時間も長くなる

⑤ 会社外に「もう一つの軸」を持つ(副業・ライフワーク)

  • 副業で小さな収入源をつくる
  • お金にならなくてもいいので“ライフワーク”を持つ

効果:

  • 会社=アイデンティティ、になりにくくなる
  • いざFIREしたくなったとき、「外の足場」がすでにある
  • 心のポートフォリオが分散され、折れにくくなる

どういう順番で検討するか?

いきなり上司に「週3にしてください」は、さすがにリスクが高い。
ある程度の“順番”を踏んだ方が安全だ。

Step1:生活費のミニマムと「減収許容ライン」を知る

  • 最低限いくらあれば暮らせるか?
  • “普通に幸せ”ラインはいくらか?
  • 年収がいくらまで下がっても大丈夫か?

数字が見えていないと、「怖い」だけが先に立つ。

Step2:何を一番減らしたいのかを言葉にする

  • 時間(拘束時間)?
  • 精神的プレッシャー(責任)?
  • 通勤?
  • 人間関係?

「とにかく楽になりたい」だと、対策の打ちようがない。

Step3:今の会社の中でできることを洗い出す

  • 時短・在宅・週◯日在宅は制度としてあるか?
  • 部署異動・職種チェンジの可能性は?
  • 役職を下げる/昇進を断る選択肢は?

社内でできる最大限をまず探す。

Step4:それでも難しければ「外」を含めて検討

  • 働き方の柔軟性が高い業界に転職
  • リモート前提の職種にチェンジ
  • 副業+週3勤務OKな環境を探す

「会社を辞める=即FIRE」ではなく、
「会社を変える=FIRE寄りに近づく」も立派な一手。


上司・会社と話すときのポイント

① 宣言ではなく「相談」として切り出す

  • NG:「週3にしたいので制度探してください」
  • OK:「長く働き続けたいので、働き方を相談したい」

トーンが“要求”だと、話がこじれやすい。

② 自分の都合だけでなく「会社のメリット」も言葉にする

  • この働き方なら、今のパフォーマンスを維持できる
  • 無理にフルタイムを続けると、むしろ離職リスクが高まる
  • 長期的に会社に貢献したい、という意思を伝える

「自分が楽したいから」だけで終わらせない。

③ いきなり“永久”ではなく「期間限定のトライアル」にする

  • まず3カ月〜半年お試し
  • 問題なければ継続/必要に応じて微調整

会社側にとっても心理的ハードルが下がる。

④ 自分の中で「ここまでなら年収ダウンOK」を決めておく

  • 年収◯◯万までは許容する
  • ボーナス減は想定しておく など

ここが曖昧だと、交渉の途中で不安が暴走しやすい。


“FIRE寄り働き方”のメリット・デメリット

メリット

  • 心身の余裕が増える
  • 家族との時間・自分の時間が増える
  • 完全FIREしなくても「ほぼFIRE感」を味わえる
  • 働きながら資産運用を続けられる(完全取り崩しにならない)

デメリット

  • 年収は下がる可能性が高い
  • 昇進ルートから外れるかもしれない
  • 「なんでそこまでして働き方を変えるの?」という周囲の目

それでも、

「健康と時間」のリターンの方が、
長期的には大きいと感じる人は多い。


「今の会社では、どう考えても無理そう…」という場合

その場合、選択肢はシンプルだ。

  • 会社を変えて、働き方を叶えやすい環境へ行く
  • 働き方を変える代わりに、今の会社に残る

どちらを選んでもいい。

ただ、

  • 働き方の柔軟性が高い業界・職種に身を置く
  • リモート前提/評価が成果ベースの環境を選ぶ

こういった「環境から整えるFIRE戦略」も、
中長期的にはかなり強い。


僕の感覚

完全FIREを目指すのは“ロマン”。
FIRE寄り働き方を作るのは“生活のリアル”。

今の人生のつらさを下げ、
これからの人生の選択肢を増やすという意味では、
“FIRE寄り働き方”をデザインする方が、
手触りのある変化を起こしやすいと感じている。


まとめ

  • FIREは「辞める/辞めない」の二択ではなく、“FIRE度”のグラデーションがある
  • 週3勤務・時短・在宅・負荷の軽い職種など、会社を辞めずにFIRE寄りに寄せる手段は多い
  • まずは「生活費」と「減らしたい負荷」を言葉にし、社内でできる最大限を探す
  • 上司とは宣言ではなく相談スタイルで、期間限定トライアルから始める
  • 今の会社でどうしても無理なら、「環境を変える」という選択肢も普通にアリ
  • 完全FIREがまだ遠くても、“FIRE寄り働き方”だけで人生の体感は大きく変わる

次回は、「FIRE計画はどのタイミングで・どう見直していくか?」をテーマに、
年1回の“FIRE定期点検”のやり方や、見直すべきポイントを整理する予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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