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53.他人のペースと比べないFIRE|「自分レーン」で進むための考え方と実務テクニック

前回の記事では、

FIRE情報に振り回されないための「情報ダイエット術」

について整理した。

情報の量を整えると、次に出てくるのが、
つい他人の進捗と比べてしまう問題だ。

同年代で◯◯◯◯万円達成しました。
30代でフルFIREしました。

こういう数字を見るたびに、心がざわつく人は多いと思う。

この記事では、
他人のペースと比べないFIREの進め方を、
「自分レーン」という考え方と実務テクニックで整理する。


目次

結論:「速度」より「継続できるか」が大事

FIREは誰かとのレースではない。
自分の条件・優先順位に合ったレーンを、
無理なく走り続けられるかどうかの勝負。

比べる相手を、
「他人の資産」から「過去の自分」と「自分の設計」に変えていく。


なぜ、つい比べてしまうのか?

① 数字がいちばん分かりやすいから

  • 年収
  • 年齢
  • 総資産
  • 毎月の入金額

数字は比較しやすい。だからこそ、落ち込みの材料にもなりやすい。

② 条件の違いが画面から見えないから

本当は、

  • 業界・職種・年収レンジ
  • 地域・物価・住宅事情
  • 家族構成・健康状態
  • たまたまの運

などが全部違う。

でも、画面に映るのは「結果の数字」だけ。
同じ土俵で勝負しているように錯覚しやすい。


比較が続くと起こりやすいこと

  • 入金力が足りない気がして、無理な節約をし始める
  • 自分の計画をコロコロ変えたくなる
  • 「このままじゃダメだ」と常に焦る
  • 資産が伸びない時期に、自己否定がセットでやってくる

FIREは長期戦。
心が削られる設計は、それだけで大きなマイナスになってしまう。


「自分レーン」で考える、という発想

① 自分の前提条件セットを書き出す

まずは、自分がどんなレーンを走っているか言葉にしてみる。

  • 年齢:◯歳
  • 家族構成:配偶者+子ども◯人 など
  • 仕事:フルタイム/時短/フリーランス
  • 住居:持ち家/賃貸/実家
  • 生活費:だいたい◯万円前後
  • 優先順位:子ども時間/健康/趣味 など

このセットが違えば、目標スピードも伸び方も違って当然だ。

② 比べる相手を「過去の自分」にする

  • 去年の自分と比べてどうか?
  • 半年前より生活の安定感は増えたか?
  • 1年前よりお金の不安は減ったか?

数字だけでなく、

  • 生活のシンプルさ
  • 無駄な支出が減ったか
  • 仕事への依存度が下がったか
  • 将来への見通しがクリアになったか

といった「広い成長」も、ちゃんと成長としてカウントしていく。


比較から距離を取るための実務テクニック

① 「自分の進捗メモ」をつける

A4一枚くらいでいいので、

  • 年初の資産額
  • 年末のざっくり目標
  • 年間の平均入金額の目安
  • やりたい生活改善(固定費の見直しなど)

を書いておく。
年末に見るのは、他人の資産額ではなくこのメモ。

② 進捗のものさしを複数にする

「総資産◯◯万円」だけを指標にすると、市場に振り回される。

例えば、

  • 生活費の“最低ライン”が下がったか
  • 生活防衛資金が◯ヶ月分まで貯まったか
  • 自動積立が「考えなくても回る状態」になったか
  • 心身を壊さずに働けているか

こうした指標も「進捗」として扱う。

③ タイムラインに“幅”を持たせる

ピンポイントで「◯歳でFIRE!」と決めるより、

  • ◯代のうちに今の働き方からは卒業したい
  • ◯〜◯年の間にフルタイム→セミリタイアへシフトしたい

くらいの幅を持たせておくと、現実と折り合いがつけやすくなる。

④ SNSの「比較トリガー」を減らす

  • 資産額スクショ系アカウントはミュート
  • 過激なFIREマウンティング系は距離を取る
  • 実務的な情報・考え方に軸がある人だけフォロー

疲れる情報を“見ないようにする設計”も、立派な戦略だ。


人生フェーズの違いを意識する

例えば、

  • 子どもがいるか・いないか
  • 親の介護があるか・ないか
  • 住宅ローンの有無
  • 健康状態

これだけで、FIREへの距離感はまるで変わる。

「あの人はもっと速い」ではなく、
「あの人は“あの人のフェーズ”を走っている」と捉え直す。

そのうえで、

いまの自分のフェーズで、
できる最適解を選ぶ。

ここに集中した方が、長期的にはリターンが大きい。


僕の感覚

FIREは他人とのレースではなく、
自分と家族で選んだ人生ルートを、
ちゃんと歩めるかどうかの話。

速さや派手な数字より、
無理をしないペースで、
大事な人との時間を守りながら、
少しずつ自由度を上げていくこと。

そのほうが、FIREっぽさがあると感じている。


まとめ

  • FIREで比較疲れしやすいのは「数字だけ」「結果だけ」が見えるから
  • 比べる相手を「他人」から「過去の自分・自分の設計」に変える
  • 自分の前提条件セット(年齢・家族・収入・優先順位)を書き出す
  • 進捗のものさしを「総資産」だけにしない
  • タイムラインに“幅”を持たせると現実と折り合いをつけやすい
  • 疲れるSNSアカウントとは静かに距離を取っていい
  • 自分レーンで淡々と進められる人が、長期戦に強い

次回は、「FIREとキャリアの再設計」をテーマに、
会社との距離感をどう変えていくか、
「辞める / 辞めない」以外の選択肢も含めて整理していく予定。

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30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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