前回の記事では、
他人のペースと比べない「自分レーン」で進むFIRE戦略
について整理した。
自分レーンで淡々と進もうとすると、次に気になるのが、
「この先のキャリアをどうするか?」というテーマだと思う。
- 今の会社で頑張り続けるのか
- どこかでセミリタイアに切り替えるのか
- 副業・転職・独立という選択肢をどう考えるのか
この記事では、
FIREを前提に「キャリア」をどう再設計していくか、
= 会社との距離感を変えていくための考え方と具体的ステップをまとめる。
結論:辞める / 辞めないの二択ではなく「距離感を設計する」
FIREは「会社を今すぐ辞める」話ではない。
会社との距離感を、自分側から設計し直すプロジェクト。
選択肢は二択ではなく、グラデーションで考える。
- 働き方を軽くする
- 会社の外に軸を増やす
- 時間をかけてフェードアウトしていく
そのために、
① 会社への依存度を見える化する
② 守るライン / 手放すラインを決める
③ 中長期シナリオをざっくり描いておく
この3つが土台になる。
FIREとキャリアの関係を整理する
① FIRE=会社と縁を切る、ではない
極端なイメージだと、
- 会社を辞めて
- 完全に働かず
- 一生投資だけで暮らす
という姿が思い浮かびやすい。
でも現実には、
中間形態のほうが多い。
- 会社をゆるく続ける
- 別の会社に移る
- 半分フリーランス、半分会社
- しばらく休んで、また働く
このほうがメンタル的にもお金的にも安定しやすい。
② キャリアを「FIREの敵」にしない
ありがちな構図は、
会社=悪、FIRE=正義にしてしまうこと。
こうなると、
- 毎日の仕事が余計につらくなる
- 辞められない自分が嫌になる
- 冷静な判断が難しくなる
発想としては、
「FIREを進めるために、今の会社・キャリアをどう“使う”か」
くらいの距離感のほうが、ぐっとラクになる。
よくある極端な3パターン
- 「もう無理!」と勢いで辞めてしまう
- 「家族もいるし…」と我慢モードで思考停止
- やる気ゼロのまま居続けてメンタルを削る
どれも短期的には起こりがちだが、長期戦のFIRE目線ではしんどい。
一気にジャンプではなく、
「段階的に距離を変える」ほうが現実的。
会社との距離感を変える3ステップ
① 会社への「依存度」を見える化する
ざっくりでいいので、紙に書き出す。
- 収入依存度: 家計の何%が今の会社の給料か?
- スキル依存度: 他社でも通用しそうか?社内専用スキルだけか?
- 人間関係依存度: 仕事以外のつながりはあるか?
これが見えると、次の一手が現実的に見えてくる。
② 守るラインと手放すラインを決める
すべてを「会社基準」で決めると、FIREの軸がすぐブレる。
そこで、あらかじめ決めておく。
- 守るライン: 健康、家族時間、睡眠、自分の価値観 など
- 手放すライン: 不要な残業、無意味な飲み会、自分から遠すぎる仕事 など
「守るべきもの」を先に決めてから、
「どこを削るか」を考える。この順番が大事。
③ 中長期シナリオを3本くらい描く
ベストな1本を決めなくていい。ざっくりでOK。
- シナリオA:今の会社で負荷を下げつつ、10年かけてセミリタイアへ
- シナリオB:3〜5年で転職 or 働き方を変え、そこからFIRE資産づくりを加速
- シナリオC:副業を育てて、「会社+副業 → 副業メイン → 必要なら少しだけ働く」へ移行
どれになってもOKと思える状態にしておくと、
予想外の出来事にも対応しやすい。
実務編:今日からできる「距離感の変え方」
① 会社の中でできる微調整
いきなり退職ではなく、まずは「負荷を下げる」方向で考える。
- 残業を減らす/断れる残業は断る
- 担当業務の見直しを相談する
- 異動・部署変更の可能性を探る
- 有休をきちんと使う
- 将来の時短勤務・週◯日勤務の制度を調べておく
収入はキープしつつ、消耗を減らすだけでも、
FIREへの到達率はかなり変わる。
② 会社の外に「もう1本の軸」を育てる
- 小さく始める副業
- スキルアップ(資格・勉強・実務経験)
- コミュニティ参加(同業・異業・趣味)
いきなり独立を目指さなくていい。
まずは「月◯万円レベルで、会社以外の収入 or つながりがある状態」を目指す。
それだけでも、会社しかない感覚から少し解放される。
③ 「辞めるライン」「休むライン」を数字と条件で決める
感情だけで動くとブレやすいので、目安を先に決めておく。
- 資産が◯◯◯◯万円を超えたら、週◯日勤務を本気で検討する
- 心身の不調が◯◯レベルになったら、休職・転職を家族と相談する
- 家族と「ここまでは続ける/ここから先は働き方を変える」ラインを共有する
「どこまで頑張るか」を先に決めておくと、ズルズル自分を削りにくくなる。
僕の感覚
FIREは「会社を嫌いになるプロジェクト」ではなく、
会社に縛られすぎない人生に切り替えていくプロジェクト。
今の会社に残ることも、
別の会社に移ることも、
会社を離れて別の働き方を選ぶことも、全部アリ。
大事なのは、
「自分側から選べる状態になること」。
それが、FIREの本質的な強さだと思っている。
まとめ
- FIREは「今すぐ会社を辞める」話ではない
- 会社との距離感を、自分側から設計し直すプロジェクト
- 会社への依存度(収入・スキル・人間関係)を見える化する
- 守るラインと手放すラインを先に決める
- 中長期シナリオを1本ではなく3本くらい描いておく
- 会社の中では「負荷を下げる」方向で調整する
- 会社の外に「もう1本の軸」(副業・スキル・コミュニティ)を育てる
- 辞めるライン・休むラインを数字と条件で決めておく
次回は、「FIREと副業・小さなビジネス」をテーマに、
リスクを抑えつつ会社外の収入源を作る一歩目を整理していく予定。
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