前回の記事では、
FIRE後の孤独感と、コミュニティ・人間関係とのちょうどいい距離感
について整理した。
ここまでで、FIRE後の「心」や「人とのつながり」の話をだいぶ深く見てきた。
一方で、多くの人がふと戻ってくる疑問がある。
結局、FIRE後の生活費ってどう変わるの?
この回では、FIRE後の支出が
「どこが減って、どこが増えやすいのか」
を、増える支出・減る支出・意外な盲点という3つの視点で整理していく。
結論:生活費は一気に半分にはならない。減るところと増えるところがハッキリ分かれる
通勤や仕事起因の支出は減る。
一方で、「時間が増えたぶんの支出」がじわじわ効いてくる。
FIRE後は、
- 通勤・仕事関連の支出 → 減りやすい
- 光熱費・趣味・外出・学び → 増えやすい
- 子どもの成長・親の介護・健康費用 → 長期的に負担が増えることも
「FIREしたら生活費は自動的に激減する」というより、
どこが減って、どこが増えるのかを地図として把握することが大事になる。
FIRE後に「減りやすい」支出
① 通勤・仕事関連コスト
- 通勤定期・交通費
- ランチ代・コンビニ・カフェ代
- スーツ・ワイシャツ・クリーニング代
- 仕事の飲み会・付き合いの外食
いわゆる「仕事をするためのコスト」は、FIREするとほぼ確実に減る。
月数万円単位で変わることも珍しくない。
② 仕事ストレス由来の散財
- ストレス発散のための衝動買い
- 「疲れたから外食でいいや」という消費
- 週末の「とりあえずお金で解決する」レジャー
仕事のストレスが減るほど、
「疲れをお金でごまかす消費」は、ゆっくりと減っていく。
FIRE後に「増えやすい」支出
① 光熱費・水道代
家にいる時間が長くなると、当然ながら、
- 電気代
- ガス代
- 水道代
は増えやすい。
「在宅勤務が増えたら電気代が上がった」の、もっと長期版だと思っておくとイメージしやすい。
② 趣味・娯楽・外出
時間の余白が増えると、動ける余白も増える。
- 平日のカフェ・ランチ
- 日帰り旅・平日旅行
- 趣味の道具・スクール・イベント
こうした「小さな楽しい出費」が積み上がることで、
トータルの支出がじわっと増えることもある。
③ 学び直し・自己投資
- 語学・資格・スキル学習
- オンライン講座・スクール
- 本・教材・セミナー
お金のためではない学びに時間を使えるので、
FIRE後はここにお金をかける人も多い。
「支出は増えるけど、人生の質は上がる支出」というゾーンだと思っておくとよい。
見落としがちな「支出の盲点」
① 子どもの成長とともに増えるコスト
- 習いごと・部活・大会
- 塾・受験・進学関連
- スマホ・タブレット・通信費
FIREしたからといって、
子どもの教育費が止まるわけではない。
むしろ時間の余裕ができるぶん、
「子どもにもう少し投資したい」気持ちが強くなることもある。
② 親のサポート・帰省費・介護関連
- 実家への帰省頻度アップ
- 親のサポート・手伝い
- 将来的な介護・医療の費用負担
自分の時間が増えると、
親や実家に関わる余白も増える。
その結果としての交通費・宿泊費・サポート費用は、
長期的にはじわじわ効いてくる可能性がある。
③ 健康・医療系の支出
- 定期検診・人間ドック
- 整体・マッサージ・運動習慣
- ちょっとした不調のケア
「健康に投資するフェーズ」が長く続くほど、
ここへの支出は増えやすい。
とはいえ、ここをケチると将来の大きな医療費につながるリスクもあるので、
単純に削ればいい項目ではない。
FIRE前後で「生活費」をどう設計し直すか?
① まずは「FIRE前の生活費」をベースにする
いきなりFIRE後の生活費をゼロから考えるのは難しい。
まずは現役時代の家計簿や、
- 固定費
- 変動費
- 特別費
といった今の家計から、
- 仕事をするために払っているお金
- 仕事と関係なく暮らすためのお金
を分けてみると、見通しが一気に良くなる。
② FIRE後の「増減」をざっくりシミュレーションする
ざっくりでいいので、
- 通勤・仕事関連 → マイナス
- 光熱費 → プラス
- 趣味・外出 → プラス
- 学び・自己投資 → プラス(任意)
というイメージで、
トータルで月いくらくらい増減しそうかを考えてみる。
±1〜3万円レベルの変化でも、長期で見るとそれなりのインパクトになる。
③ 「お試しFIRE月間」を作ってみる
いきなり本番にせず、
現役のうちから「FIRE生活を意識した1ヶ月」を何度か試してみる。
- 残業を減らして、FIRE後に近い生活リズムで過ごしてみる
- 平日昼の外出や趣味の時間を少し増やしてみる
- その月の支出を丸ごと記録しておく
これだけで、机上の計算よりずっとリアルな数字が見えてくる。
僕の感覚
FIRE後の生活費は「勝手に劇的に下がるもの」ではなく、
設計次第で「ちょっと下がる〜むしろ増える」まで振れるもの。
仕事起因のコストが減る一方で、
人生をちゃんと生きるためのコストは増えることもある。
だからこそ、
お金の計算だけでなく、
「どんな時間の使い方をしたいのか」をセットで考えることが大事だと思っている。
まとめ
- FIRE後の生活費は「減る部分」と「増える部分」が両方ある
- 通勤・仕事関連・ストレス由来の消費は減りやすい
- 光熱費・趣味・学び・家族関連の支出は増えやすい
- 子どもの成長・親の介護・健康費用は、長期的な盲点になりやすい
- 総額だけでなく、「どこが増減しそうかの地図」を持っておくと安心
次回は、「FIRE後の資産管理ルーティン」をテーマに、
毎月・半年・年1回のチェックの型や、
見すぎてメンタルを削らないための“ちょうどいい距離感”を整理していく予定。
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