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27.節約だけではFIREは近づかない──固定費・変動費・“生活満足度”で考える支出設計

前回は、FIREシミュレーションに溺れすぎないための考え方について整理した。

そして今日からは、実践フェーズの中でも非常に重要な
「支出の設計」に踏み込んでいきたい。


目次

結論

FIREは「節約勝負」ではない。
固定費 × 変動費 × 生活満足度を、
長く続けられる形に設計した人が強い。


よくある勘違い:「節約すればFIREは早くなるでしょ?」

もちろん、支出が減ればFIREは早くなる。
それ自体は間違いではない。

ただ、これを“メイン戦略”にすると、だいたいこうなる。

  • 我慢が増える
  • ストレスが溜まる
  • 生活の満足感が下がる
  • そのうち続かなくなる

そして最悪の場合、
「FIREを目指すこと自体がつらい」という状態になる。


FIREは「生活を削る戦い」ではない

FIREは、
「どこまで生活を切り詰められるか?」という我慢大会ではない。

本質は、
「可能な限り幸せな生活を維持しながら、支出を整えていくこと」だと思っている。

そのときに重要になるのが、次の3つだ。

  • 固定費
  • 変動費
  • 生活満足度

この3つの「掛け算」で支出を捉えると、見え方が大きく変わる。


① 固定費は「生活のベース」

固定費とは、たとえばこういうもの。

  • 住居費(家賃・住宅ローンなど)
  • 光熱費・通信費
  • 生命保険・医療保険などの保険料
  • 車を持っている場合の維持費(駐車場・自動車税など)
  • サブスク各種(動画配信サービスなど)

一度決めると、基本的には毎月・毎年、淡々と出ていくお金たちだ。

固定費の特徴

  • 一度決まると、ずっと続きやすい
  • 支出全体の「土台」を支配する
  • 見直しに成功すると、効果がずっと続く

だから、固定費の見直しは
「人生の設計を見直す」レベルのインパクトがある。

ただし、ここで勘違いしたくないのは、
「安ければいい」わけではないということ。

大事なのは、
「自分や家族の人生に合っている固定費かどうか」だ。


② 変動費は「人生の色」

変動費には、たとえばこんなものがある。

  • 食費・外食費
  • 日用品
  • 趣味・娯楽(本・ゲーム・イベントなど)
  • 旅行・レジャー
  • 子どもとのお出かけ・家族イベント

変動費の特徴

  • 人生の「楽しさ」や「充実感」と直結しやすい
  • 削りすぎると幸せが目減りする
  • ただし、コントロールは比較的しやすい

ここで大事なのは、
変動費を「減らすべき敵」と見ないこと。

変動費は、
「減らす対象」ではなく「納得の使い方に整える対象」だと考えた方がうまくいく。


③ 生活満足度という“第三の軸”

そして、FIREを目指すうえで見落とされがちだけれど、
実はとても重要なのが「生活満足度」という視点だ。

たとえば、こんな問いを投げてみる。

この支出は、生活の満足度にどれくらい効いている?

具体例で考えてみる。

  • 月5,000円のサブスク → 実はほとんど使っていない
  • 年1回の家族旅行 → 金額は大きいけれど、心に残る満足度がめちゃくちゃ高い
  • なんとなくのコンビニ・ネットショッピング → 習慣になっているだけで満足度は低い
  • 家族と過ごすための支出 → お金以上に「意味」がある

こうして見ると、
「金額の大小」よりも「人生にどれだけ意味があるか」が重要だと分かる。


3つを“掛け算”で考える

支出を、
「固定費」「変動費」「生活満足度」の3つの掛け算で見ると、判断しやすくなる。

固定費 × 変動費 × 生活満足度
  

理想に近いパターン

固定費 → 無駄が少なく、人生に合っている
変動費 → 「自分たちらしい使い方」になっている
満足度 → お金に対してリターンが大きい
  

危険なパターン

固定費 → 高いまま、なんとなく放置
変動費 → なんとなく使っている
満足度 → 実はあまり高くない
  

同じ支出額でも、後者は「なんとなくお金が消えていく人生」になりがちだ。


FIREを“続けられる設計”にする

FIREは短距離走ではなく、数年〜十数年単位の長期戦だ。
さらに言えば、FIRE後の人生も含めると「一生ものの設計」になる。

だからこそ、
「我慢で押し切る設計」は、どこかでほぼ必ず破綻する。

重要なのは、次のバランスだ。

  • 続けられること
  • 自分(と家族)らしいこと
  • 無理がないこと
  • それでもちゃんと前に進めること

このバランスが取れている支出設計が、FIREには一番効いてくる。


「節約がつらい人」へ

もし今、
「もう疲れてきた」「我慢ばかりしている気がする」「FIREを目指すのが楽しくない」
と感じているなら、それは節約が下手なのではない。

単に、
「支出の設計の仕方」を変えるタイミングが来ているだけだと思う。


僕の感覚

僕の感覚では、FIREの支出設計は
「生活を削る作業」ではなく、
「生活を整える作業」に近い。

何を守りたいのか。
何を手放しても大丈夫なのか。
どこに一番価値を感じているのか。

それを整理していくプロセスそのものが、
「自分や家族の人生をちゃんと見つめ直す時間」でもある。


まとめ

  • FIREは「節約の勝負」ではない
  • 固定費は生活のベース、変動費は人生の色
  • 生活満足度という“意味の軸”が大事
  • 3つの掛け算で支出を整理する
  • 我慢ではなく「設計」で戦う

FIREは、
「幸せを削る話」ではなく、「幸せの形を整える話」だと思っている。

次回は、固定費の具体的な見直し戦術編として、
住宅・通信・保険・車・サブスクなどをFIRE視点でどう考えるか整理していく予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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