前回の記事では、
先取り投資BOX+3つの箱(固定費・変動費・自由枠)を
共働き・子育て世帯仕様にアレンジする方法
を整理した。
ここまでくると、多くの人が次に気になるのは、たぶんここだと思う。
毎月の家計はなんとなくイメージできたけど、
ボーナスとか臨時収入って、どう扱うのが正解?
この記事では、
FIRE家計における「不定期のお金」の扱い方を整理していく。
結論:「不定期のお金」にも“テンプレ”を作っておく
ボーナス・臨時収入・特別費は、
「その場で考える」ほど消えやすい。
FIRE家計では、次の3つがポイントになる。
- 不定期のお金の“役割”を決めておく
- あらかじめ「何割をどこに回すか」のテンプレを持っておく
- 特別費は“何となく”ではなく、年単位で見える化しておく
これだけで、将来の資産形成も日々の満足度も、かなり変わってくる。
なぜ不定期のお金はすぐ溶けるのか?
- 心理的に「ごほうびモード」になりやすい
- 支出が一時的に膨らんでも「まあボーナス入ったし」で流しやすい
- もともと“用途を決めていないお金”だから
その結果、
ボーナスが入る → なんとなく外食・家電・旅行 → 気づいたら残っていない
という流れになりやすい。
FIRE目線で見ると、“未来のエンジン候補”が消えている状態でもある。
ステップ①:まず「特別費リスト」をつくる
不定期のお金の設計の前に、まずは出ていく側(特別費)を見える化する。
代表的な特別費は、例えばこんなもの。
- 車検・自動車税・タイヤ交換などの車関連
- 固定資産税
- 保険の年払い
- 帰省費
- 大型家電の買い替え
- 学校・園の年度始め用品
- 子どもの行事・習い事のイベント費
- 冠婚葬祭
これらをざっくりでいいので、
- 年間いくらくらいかかりそうか
- どの季節に集中しそうか
を書き出しておく。
そうすると、
「ボーナスで全部まかなう」のか、
「毎月積み立てて、ボーナスはプラスαにするのか」が決めやすくなる。
ステップ②:ボーナスの“配分テンプレ”を決める
次に、ボーナス(賞与)が入った時の
「配分テンプレ」を決めてしまう。
例として、手取り100とした場合のパターンを3つ挙げてみる。
パターンA:FIRE寄りガチ目
- 将来の投資・貯蓄:50
- 特別費積立:30
- 家族のごほうび・旅行:15
- 完全フリー(何に使ってもOK):5
パターンB:バランス型
- 将来の投資・貯蓄:40
- 特別費積立:30
- 家族のごほうび・旅行:20
- 完全フリー:10
パターンC:今の生活重視
- 将来の投資・貯蓄:30
- 特別費積立:30
- 家族のごほうび・旅行:30
- 完全フリー:10
どの比率が正解、という話ではなく、
「うちの家族なら、このパターンで行こうか」と
あらかじめ決めておけているかどうかが重要だ。
ステップ③:臨時収入用の“自動ルール”を決めておく
ボーナスほど大きくないけれど、地味に効いてくるのが「臨時収入」。
- 残業代がいつもより多かった
- フリマアプリでまとまった売上が入った
- お祝い金をもらった
- ポイント還元を現金化できた
こうしたお金は、そのまま生活費に溶けていきやすい。
ここには簡単なルールを置いておくと楽になる。
例えば、
- 臨時収入が出たら「半分はFIRE用・半分は自由」にする
- 1万円を超える臨時収入は、70%を投資・30%はごほうび
- フリマ売上は全額「特別費積立」に入れる
など、
“考えなくても振り分けられる”ラインを決めておくと、
将来の資産形成ペースが静かに変わっていく。
FIRE家計ならではのポイント
① 月の生活は「月収」で完結させる
FIRE目線では、
ボーナスで日常生活を黒字化させる
のではなく、
「月収だけでほぼ回る生活」をベースにして、
ボーナスは将来+特別費+ごほうびに使う
という発想の方が、長期的に見てかなり安定する。
② ボーナスを「不安の穴埋め」ではなく「自由度アップ」に使う
赤字家計の穴埋めや、
カードのボーナス払いの連発にボーナスが消えていると、
FIREのエンジンにならない。
逆に、
- 生活防衛資金の補強
- インデックス投資の一括投入
- 教育費積立
- 家族旅行
などに意識的に配分していくと、
「お金の不安」ではなく、
「人生の選択肢」を増やすためのボーナスに変わっていく。
よくある“もったいない使い方”
- 特別費を「毎年の想定外」として扱い続ける
- ボーナス前提のローン・ボーナス払いを増やし続ける
- 「今回はがんばったし…」と用途を決めずに全部消費する
どれも一度は通る道だけれど、
1〜2回やって「あ、こうなるのか」と実感したら、
ルールを決めるきっかけにしてしまうのがおすすめだ。
僕の感覚
不定期のお金の扱い方には、
その人(その家族)の「お金観」が全部出る。
すべてを未来のために貯めこむのも違うし、
すべてを今の楽しみで使い切るのも、やっぱり違う。
FIRE家計にとって理想なのは、
「未来の自由」と「今の満足感」を、
どちらも少しずつ増やしていく使い方。
まとめ
- 不定期のお金は「その場で考える」ほど溶けやすい
- まずは特別費リストをつくって、出ていく側を見える化する
- ボーナスには「配分テンプレ」を決めておくと迷わない
- 臨時収入には「○%はFIRE用・○%は自由」などの簡単ルールを作る
- 月の生活は月収でほぼ完結させ、ボーナスは自由度アップに使う
次回は、「1年単位でFIRE家計を眺める」ことをテーマに、
年間スケジュール・年間キャッシュフローのイメージを使って、
「1年でどれくらいFIREに近づいているか」を確認する回にしていく予定。
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