前回の記事では、
ボーナス・臨時収入・特別費といった
「不定期のお金」の設計方法
を整理した。
毎月の家計の箱わけや、ボーナスの配分ルールまで整ってくると、
次に気になってくるのは、きっとこの問いだと思う。
結局この1年で、どれくらいFIREに近づけたんだろう?
この記事では、
年間キャッシュフローの作り方と、FIRE進捗のチェック方法を整理していく。
結論:「1年でどれだけ前に進めたか」を数字で見える化する
月ごとの細かい出費を完璧に把握することがゴールではない。
大事なのは、
「この1年で、FIREにどれくらい近づいたか?」を
シンプルな数字で確認できる状態。
そのために、最低限この3つが分かれば十分だ。
- 年間の手取り収入(いくら入ってきたか)
- 年間の生活コスト(いくら出ていったか)
- 年間のFIRE投資額・貯蓄額(いくら“残せたか”)
この3つが分かれば、貯蓄率やFIREへの前進度合いが自然と見えてくる。
なぜ「1年単位」で見ると楽になるのか
FIREを本気で考えると、つい月次の数字に振り回されがちだ。
- 今月は飲み会が多くて支出が増えた
- 帰省で交通費がドンと出た
- 家電が壊れて一気にマイナス
月単位で見ると“ノイズ”が大きくて、
「今月ダメだったな…」という感情に引っ張られやすい。
でも、1年単位でならすと、
- 臨時支出も「年単位で見れば許容範囲」かどうか
- 投資・貯蓄額はトータルでは増やせたのか
- 家計全体の方向性は合っているのか
が、とても見えやすくなる。
月次は「日常運転」。
年次は「進捗チェック」。
年間FIRE家計で見るべき「3つの数字」
① 年間の手取り収入
ざっくりでOK。
- 給与(手取り)×12ヶ月
- ボーナス(手取り)
- 副業収入・その他
などを足し合わせて、「今年、手取りでいくら入ってきたか」をひとつの数字にしておく。
② 年間の生活コスト(特別費込み)
こちらも完璧でなくていいので、
- 住宅費(家賃・ローンなど)
- 光熱費・通信費
- 食費・日用品
- 教育費・保育料
- 趣味・交際費
- 特別費(車検・税金・家電など)
をざっくり年合計して、
「今年、生活にいくら使ったか(特別費込み)」を出しておく。
家計簿アプリを使っていれば、「今年の支出合計」を見るだけでもOKだ。
③ 年間のFIRE投資額・貯蓄額
- 積立投資の合計
- ボーナスからの一括投資
- FIRE用の現金増加額
などを足して、
「FIREのために“回せた”お金は、今年いくらか」をひとつにまとめる。
ここまで分かれば、FIRE家計としての「今年のスコア」はほぼ見えたようなものだ。
簡単な年間キャッシュフローの作り方(ざっくり版)
エクセルでもノートでも、めちゃくちゃ簡単でいい。
ステップ1:収入の欄をつくる
- 給与(手取り)
- ボーナス(手取り)
- 副業・その他
を縦に並べて、合計に「年間手取り収入」と書く。
ステップ2:支出の欄をつくる
- 固定費(住宅・通信・保険など)
- 変動費(食費・日用品・娯楽など)
- 特別費(車検・税金・帰省など)
の3つくらいにザックリ分けて、それぞれ年額を入れる。
合計に「年間生活コスト」と書いておく。
ステップ3:FIRE投資・貯蓄の欄をつくる
- 積立投資(年間)
- ボーナスからの投資
- FIRE用の現金増加額
を並べて、合計を「年間FIRE投資額」とする。
最後に、
- 年間手取り収入 − 年間生活コスト
- 年間FIRE投資額 ÷ 年間手取り収入(=貯蓄率)
あたりをざっくり眺めて、
「今年は手取りの◯%をFIREに回せたんだな」
くらい分かれば、それで十分だ。
「FIRE進捗」をチェックする2つの簡易指標
① 年間FIRE投資額 ÷ 年間生活費
例えば、
- 年間生活費:300万円
- 年間FIRE投資額:150万円
だとすると、
「今年だけで“0.5年分の生活費”を積み上げられた」
ということになる。
1年で0.3年分、0.6年分…など、
「生活費何年分ペースで進んでいるか」は体感として分かりやすい。
② 現在のFIRE進捗率(FIREスコア)
例えば、
- 目標FIRE資産:8,000万円
- 現在のFIRE用資産:2,400万円
なら、
2,400 ÷ 8,000 = 30%
→ 「FIREスコア30%」といった感じで、
いま全体の何合目くらいかを見る目安になる。
この数字が、
去年は25% → 今年30%、
去年は32% → 今年36%、
のように少しずつでも前に進んでいればOK、くらいの感覚でいい。
家族・パートナーと振り返るときのコツ
せっかく年次で振り返るなら、数字の話だけで終わらせるのはもったいない。
貯蓄率が◯%だった、投資額が少し減った、という話をするときも、
「だからダメだった」ではなく、
「じゃあ来年は何を一つだけ変えてみようか?」
という視点で話すのがおすすめだ。
例えば、
- 今年よかった支出(使ってよかったお金)
- 今年しんどかった支出(もう少し抑えたいお金)
- 来年は「ここだけ」変えてみたいポイント
を一緒に言葉にしてみるだけで、
「数字の家計管理」から、
「家族で人生設計を考える時間」に変わっていく。
よくある落とし穴
- 完璧な年間集計をしようとして疲れてやめる
- 投資成績(含み損益)だけを見て落ち込む
- 「去年より進捗が悪い=失敗」と決めつける
年次の振り返りで大事なのは、
- 相場の上下ではなく「自分たちの入出金」を見る
- コントロールできる部分(収入・支出・投資額)に注目する
- 悪かった年も「学びの年」として扱う
3歩進んで2歩下がる年があっても、
ちゃんと「1歩前に出ているならOK」くらいのゆるさでいい。
僕の感覚
FIREはマラソンだけど、
「1年単位の振り返り」は途中の給水所。
今年はペースを上げられた年、
守りを固めた年、
家族のイベント優先の年、
いろんな年があっていい。
毎年「少しだけ整えていく」くらいが、FIRE家計にはちょうどいいと感じている。
まとめ
- FIRE家計では「1年でどれだけ前に進んだか」を見るのが大事
- 年間で見るべき数字は「手取り収入・生活コスト・FIRE投資額」の3つ
- 年間キャッシュフローはざっくりでOK(完璧さより継続)
- 「生活費何年分ペース」と「FIRE進捗率」で前進度合いを眺める
- 家族とは数字より「来年ひとつだけ変えるポイント」を話す
次回は、「FIRE家計の中で“教育費”をどう位置づけるか」をテーマに、
子どもの教育費・習い事・将来の学費を、FIREの資産設計の中でどう扱うか整理していく予定。
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