前回の記事では、
年間キャッシュフローの作り方と、
「1年でFIREにどれだけ近づいたか」を見る方法
について整理した。
年間の入出金が見えてくると、どうしても意識せざるを得ないのが、このテーマ。
子どもの教育費、FIREと両立できるの?
習い事、塾・予備校、高校・大学の学費、留学…。
教育費は、想像以上に「未来のお金」を食う要素だ。
この記事では、
教育費をFIRE設計の中でどう位置づけるかを、
- 全部のせでも、全部カットでもない考え方
- 具体的な分け方・考え方の軸
という視点で整理していく。
結論:「教育費は“別バケツ”で考える」くらいがちょうどいい
いきなり結論から。
教育費を、FIRE資産に全部のせると重すぎる。
かといって、「教育費のためにFIREを諦める」必要もない。
現実的には、
- 生活費(今を生きるお金)
- FIRE資産(将来の自由のためのお金)
- 教育費(子どもの将来のためのお金)
を、「3つのバケツ」として分けて考えるくらいがちょうどいい。
- 教育費バケツ:全部を完璧には用意しない前提
- FIREバケツ:自分たちの老後破綻を防ぐための「最低ライン」は死守
- 生活バケツ:今の生活満足度をゼロにしない
この3つのバランスで考えると、「どこまで出すか」の線引きがしやすくなる。
教育費をざっくり“3レイヤー”で分けて考える
教育費と言っても、全部を一色で考えると、
「重すぎてFIRE無理だ…」となりがちだ。
そこで、いったんざっくり3つに分けてみる。
レイヤー① 基本教育コスト(義務教育〜高校くらい)
- 公立小中
- 公立高校(+部活・通学費・教材費など)
「ここまでは親が基本的に面倒をみる」ラインとして扱いやすい部分。
ここは、
生活費の一部 + 教育費バケツの“ベース”
として、FIRE設計にほぼ組み込んでおく前提でいいと思う。
レイヤー② 進路選択コスト(大学・専門・私立・留学など)
- 大学(国公立 / 私立)
- 専門学校
- 一人暮らしの仕送り
- 短期〜中期の留学
ここは家庭によってかなり考え方が分かれるゾーン。
例えば、
- 国公立は全力サポート、私立は条件付き
- 自宅通い前提なら◯◯まで支援
- 一部は奨学金・バイトも含めて一緒に考える
など、「親がどこまで負担するか」のルールを決めておくゾーンだ。
レイヤー③ オプション教育コスト(習い事・プラスα)
- 習い事
- 受験塾・特別講習
- 短期留学・サマースクール
ここは、「余力があれば伸ばしてあげたい部分」。
FIREを壊してまで全力投資するか、生活とFIREとのバランスを見ながら選ぶか、というゾーンになる。
教育費 × FIREで大事な“3つの軸”
教育費の正解は家庭ごとに違う。だからこそ、「考える軸」を持っておいた方が楽になる。
① 「どこまで親の責任にするか」を決めておく
例えば、
- 義務教育〜高校+国公立大学までは支援
- それ以上(私立文系・私立医・長期留学など)は「一緒に考える」
みたいなざっくりラインを、夫婦で一度は言語化しておく。
ここが曖昧だと、
- 子どもが中高生になってから毎回モメる
- 親の老後資金を削って無理をしがち
になりやすい。
② 「FIREのために教育費を削りすぎない」視点
ついやりがちなのが、
「FIREしたいから教育費を最小にしよう」
という発想。
見栄のためだけの私立や、本人が望んでいない習い事の詰め込みは減らしていい。
でも、
- 子どもの可能性を広げる経験
- 「これが楽しい!」と目を輝かせる分野
まで削りすぎると、後で親自身がモヤモヤを抱えやすい。
「FIREのために全部ガマンさせた」という感覚は、お互いしんどくなりやすい。
③ 「教育費のためにFIREを完全に諦めない」視点
逆パターンもよくある。
「子どものために」と言いながら、
すべてを教育費につぎ込んで、老後資金がスカスカになる。
これはこれで、将来「子どもに心配をかけるリスク」が上がる。
子どもの進路のために親が多少ガマンするのは現実的だけど、
親の将来が完全に崩れるほどの教育投資は、結果的に子どもにも重い。
教育費とFIREの“ざっくり設計イメージ”
超ざっくりだが、イメージとしてはこんな感じ。
- 生活費バケツ:いまの生活を回すお金(その中に日々の教育費も入る)
- FIREバケツ:老後〜FIRE後の生活費◯年分を目安に積み上げる資産
- 教育費バケツ:高校以降〜大学あたりをターゲットにした積立(+奨学金・バイトも選択肢)
ポイントは、
教育費バケツを「無限」にしない。
ある程度の目安を決めて、“足りない分は一緒に工夫する前提”にしておく。
例えば、
- ジュニアNISAなどで「子ども名義の教育資金」を積み立てる
- 親のFIRE資産とは完全に混ぜずに管理する
- 進路相談のタイミングで「ここまでは出せるよ」と開示する(年齢に応じて)
など、お金の話も含めて「家族で進路を一緒に考える」スタンスが取りやすくなる。
僕の感覚:教育費は「投資」だけど、信仰にはしない
僕の感覚では、
教育費は「可能性への投資」ではあるけれど、
すべてをそこに捧げる“信仰”にしてしまうと、どこかで歪みが出る。
子どもに「無限の舞台」を用意することと、
自分たちの人生を全部犠牲にすることは、似ているようでだいぶ違う。
大事なのは、
- 「うちはここまでは全力で支援するよ」
- 「それ以上は、一緒に考えよう」
というラインを、親の側がちゃんと決めておくこと。
教育費のせいでFIREを諦めるのでもなく、
FIREのために子どもの未来を削るのでもなく、
「うちのバランスはこれくらいだよね」と言える状態。
この“バランス探し”そのものが、FIRE設計の一部なんだと思っている。
まとめ
- 教育費は「生活・FIRE・教育」の3バケツで考えると整理しやすい
- 教育費をFIRE資産に全部乗せると重すぎる
- 基本教育/進路選択/オプション教育に分けてラインを決める
- 「教育費のためにFIREを諦めない」「FIREのために教育費を削りすぎない」両方大事
- 「うちはどこまで支援するか」を夫婦で一度は言葉にしておく
次回は、「FIRE家計と住宅・マイホーム問題」をテーマに、
持ち家 vs 賃貸、住宅ローン、住み替え、地方移住などをFIRE目線でどう考えるか整理していく予定。
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