MENU

32.子どもの教育費とFIREは両立できる?──「全部は乗せない」「でも切り捨てない」現実的なバランスの取り方

前回の記事では、

年間キャッシュフローの作り方と、
「1年でFIREにどれだけ近づいたか」を見る方法

について整理した。

年間の入出金が見えてくると、どうしても意識せざるを得ないのが、このテーマ。

子どもの教育費、FIREと両立できるの?

習い事、塾・予備校、高校・大学の学費、留学…。
教育費は、想像以上に「未来のお金」を食う要素だ。

この記事では、
教育費をFIRE設計の中でどう位置づけるかを、

  • 全部のせでも、全部カットでもない考え方
  • 具体的な分け方・考え方の軸

という視点で整理していく。


目次

結論:「教育費は“別バケツ”で考える」くらいがちょうどいい

いきなり結論から。

教育費を、FIRE資産に全部のせると重すぎる。
かといって、「教育費のためにFIREを諦める」必要もない。

現実的には、

  • 生活費(今を生きるお金)
  • FIRE資産(将来の自由のためのお金)
  • 教育費(子どもの将来のためのお金)

を、「3つのバケツ」として分けて考えるくらいがちょうどいい。

  • 教育費バケツ:全部を完璧には用意しない前提
  • FIREバケツ:自分たちの老後破綻を防ぐための「最低ライン」は死守
  • 生活バケツ:今の生活満足度をゼロにしない

この3つのバランスで考えると、「どこまで出すか」の線引きがしやすくなる。


教育費をざっくり“3レイヤー”で分けて考える

教育費と言っても、全部を一色で考えると、
「重すぎてFIRE無理だ…」となりがちだ。

そこで、いったんざっくり3つに分けてみる。

レイヤー① 基本教育コスト(義務教育〜高校くらい)

  • 公立小中
  • 公立高校(+部活・通学費・教材費など)

「ここまでは親が基本的に面倒をみる」ラインとして扱いやすい部分。
ここは、

生活費の一部 + 教育費バケツの“ベース”

として、FIRE設計にほぼ組み込んでおく前提でいいと思う。

レイヤー② 進路選択コスト(大学・専門・私立・留学など)

  • 大学(国公立 / 私立)
  • 専門学校
  • 一人暮らしの仕送り
  • 短期〜中期の留学

ここは家庭によってかなり考え方が分かれるゾーン。
例えば、

  • 国公立は全力サポート、私立は条件付き
  • 自宅通い前提なら◯◯まで支援
  • 一部は奨学金・バイトも含めて一緒に考える

など、「親がどこまで負担するか」のルールを決めておくゾーンだ。

レイヤー③ オプション教育コスト(習い事・プラスα)

  • 習い事
  • 受験塾・特別講習
  • 短期留学・サマースクール

ここは、「余力があれば伸ばしてあげたい部分」
FIREを壊してまで全力投資するか、生活とFIREとのバランスを見ながら選ぶか、というゾーンになる。


教育費 × FIREで大事な“3つの軸”

教育費の正解は家庭ごとに違う。だからこそ、「考える軸」を持っておいた方が楽になる。

① 「どこまで親の責任にするか」を決めておく

例えば、

  • 義務教育〜高校+国公立大学までは支援
  • それ以上(私立文系・私立医・長期留学など)は「一緒に考える」

みたいなざっくりラインを、夫婦で一度は言語化しておく。
ここが曖昧だと、

  • 子どもが中高生になってから毎回モメる
  • 親の老後資金を削って無理をしがち

になりやすい。

② 「FIREのために教育費を削りすぎない」視点

ついやりがちなのが、

「FIREしたいから教育費を最小にしよう」

という発想。

見栄のためだけの私立や、本人が望んでいない習い事の詰め込みは減らしていい。
でも、

  • 子どもの可能性を広げる経験
  • 「これが楽しい!」と目を輝かせる分野

まで削りすぎると、後で親自身がモヤモヤを抱えやすい。
「FIREのために全部ガマンさせた」という感覚は、お互いしんどくなりやすい。

③ 「教育費のためにFIREを完全に諦めない」視点

逆パターンもよくある。

「子どものために」と言いながら、
すべてを教育費につぎ込んで、老後資金がスカスカになる。

これはこれで、将来「子どもに心配をかけるリスク」が上がる。
子どもの進路のために親が多少ガマンするのは現実的だけど、
親の将来が完全に崩れるほどの教育投資は、結果的に子どもにも重い。


教育費とFIREの“ざっくり設計イメージ”

超ざっくりだが、イメージとしてはこんな感じ。

  • 生活費バケツ:いまの生活を回すお金(その中に日々の教育費も入る)
  • FIREバケツ:老後〜FIRE後の生活費◯年分を目安に積み上げる資産
  • 教育費バケツ:高校以降〜大学あたりをターゲットにした積立(+奨学金・バイトも選択肢)

ポイントは、

教育費バケツを「無限」にしない。
ある程度の目安を決めて、“足りない分は一緒に工夫する前提”にしておく。

例えば、

  • ジュニアNISAなどで「子ども名義の教育資金」を積み立てる
  • 親のFIRE資産とは完全に混ぜずに管理する
  • 進路相談のタイミングで「ここまでは出せるよ」と開示する(年齢に応じて)

など、お金の話も含めて「家族で進路を一緒に考える」スタンスが取りやすくなる。


僕の感覚:教育費は「投資」だけど、信仰にはしない

僕の感覚では、

教育費は「可能性への投資」ではあるけれど、
すべてをそこに捧げる“信仰”にしてしまうと、どこかで歪みが出る。

子どもに「無限の舞台」を用意することと、
自分たちの人生を全部犠牲にすることは、似ているようでだいぶ違う。

大事なのは、

  • 「うちはここまでは全力で支援するよ」
  • 「それ以上は、一緒に考えよう」

というラインを、親の側がちゃんと決めておくこと
教育費のせいでFIREを諦めるのでもなく、
FIREのために子どもの未来を削るのでもなく、

「うちのバランスはこれくらいだよね」と言える状態。

この“バランス探し”そのものが、FIRE設計の一部なんだと思っている。


まとめ

  • 教育費は「生活・FIRE・教育」の3バケツで考えると整理しやすい
  • 教育費をFIRE資産に全部乗せると重すぎる
  • 基本教育/進路選択/オプション教育に分けてラインを決める
  • 「教育費のためにFIREを諦めない」「FIREのために教育費を削りすぎない」両方大事
  • 「うちはどこまで支援するか」を夫婦で一度は言葉にしておく

次回は、「FIRE家計と住宅・マイホーム問題」をテーマに、
持ち家 vs 賃貸、住宅ローン、住み替え、地方移住などをFIRE目線でどう考えるか整理していく予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次