前回の記事では、
家族時間と自分時間のバランス設計
について整理した。
時間の次に、ほぼ確実にテーマになるのがこれだと思う。
FIRE後、どこに住むのがいいんだろう?
都市か、郊外か、地方か。
実家の近くか、気候重視のエリアか。
家賃・物価・コミュニティ・仕事のしやすさ…。
この記事では、FIRE後の「住む場所」について、
主な判断軸と代表的なパターン、決める前に確認しておきたいポイントを整理していく。
結論:コストだけで決めない
「住む場所」=生活コストだけで決めない。
生活コスト × 仕事のしやすさ × サポート体制 × 暮らし方との相性。
この“トータルバランス”で考える。
- 最安の場所 = 最適な場所 とは限らない
- 収入の取りやすさ・医療・子育て・実家との距離もセットで見る
- 「試しに住んでみる余白」を残しておくと失敗しにくい
FIRE後の「住む場所」を決める5つの軸
① 生活コスト(家賃・物価)
- 家賃/住宅費
- 食費・日用品
- 車の維持費・交通費
家賃が下がれば、FIREに必要な資産額も下がる。
ただし「車前提」「店が少ない」など、別のコストが増えることもある。
② 仕事・副業のしやすさ
- 求人・仕事の機会
- コワーキングスペースなどの環境
- ネット回線の安定度
完全リタイアではなく、セミリタイア・軽い仕事を続ける人も多い。
「ちょっと働きたい」と思ったときに、仕事が見つかる場所かどうかは意外と大事。
③ 医療・子育て・教育環境
- 病院の数・アクセス
- 小児科・総合病院までの距離
- 保育園・学校・習い事の選択肢
特に小さい子どもがいる家庭や、
自身・親の健康リスクを意識している人にとっては、
生活コストより優先度が上がることもある。
④ 実家との距離・サポート体制
- 実家・親族までの距離
- 介護リスク
- いざというときのサポートの有無
FIRE後は時間の自由が増える一方で、
親世代のサポート役になる可能性も高まる。
⑤ 自分たちの「暮らし方」と相性が合うか
- 車中心か、徒歩・自転車中心か
- 人混みが好きか、静かな環境が好きか
- 趣味(アウトドア/インドア)との相性
場所が変わると、日常の小さな選択がすべて変わる。
この感覚は、実際に歩いてみないと分かりづらい。
代表的なパターン別イメージ
パターンA:都市寄り(大都市・政令市)
メリット
- 仕事・バイト・副業が見つかりやすい
- 医療・教育・サービスの選択肢が豊富
- 趣味・娯楽のバリエーションが多い
デメリット
- 家賃・物価は高めになりがち
- 人混み・騒音・刺激が多い
- ついお金を使いやすい環境
向いている人
- セミリタイアで、まだ結構働きたい
- 子育て・教育の選択肢を広く取りたい
- 趣味や学びで外出することが多い
パターンB:郊外・ベッドタウン
メリット
- 家賃は都市部より抑えやすい
- 都市にも電車や車でアクセス可能
- 住宅街としての暮らしやすさが高いことが多い
デメリット
- 車がほぼ必須の地域もある
- 仕事・サービスは都市ほど豊富ではない
- 平日昼間は静かで、人との接点が減りやすい
向いている人
- 都市の便利さは捨てたくないが、コストも下げたい
- 子育て環境とパート・バイトなどを両立したい
- いきなり地方移住は重いので、中間を取りたい
パターンC:地方・移住寄り
メリット
- 住宅費・家賃・土地が安い
- 自然が近い/生活リズムがゆったりしやすい
- コミュニティによっては人との距離が近い
デメリット
- 仕事の選択肢が少ない(特に雇われ仕事)
- 医療・教育・交通などの選択肢は限られがち
- コミュニティに馴染めるかどうかの差が大きい
向いている人
- 完全リタイア寄り・仕事はオンライン中心
- 自然の近くでスローライフを送りたい
- すでに縁のある地域・戻りたい地元がある
パターンD:二拠点生活・季節で分ける
例:
- 普段は郊外/地方、時々は都市のウィークリーマンション
- 夏は涼しい地域、冬は暖かい地域
メリット
- 「あっちの良さ」と「こっちの良さ」を両取りできる
- 気候・気分・家族事情に合わせて動ける
デメリット
- 家賃・光熱費などコストが二重になりやすい
- 拠点移動の手間・管理コストが増える
決める前にやっておきたいチェックリスト
① 「今の暮らし」の満足・不満足を書き出す
- 今の地域の好きなところ
- 不便・不満に感じているところ
- 変えたいのは「場所」なのか、「仕事」なのか、「家の中のルール」なのか
意外と、場所を変えなくても改善できる不満も多い。
② お試し期間・ショートステイを挟む
いきなり「家を買って移住」はリスクが高い。
まずは1〜2週間の滞在で、
- 平日と休日の両方を経験する
- スーパー・病院・駅・公園など生活動線を実際に歩いてみる
③ 場所ごとに「FIRE後の生活費」をざっくり試算する
- 家賃(or 固定資産税+維持費)
- 食費・日用品
- 車の有無・ガソリン・駐車場
- 通信費などの固定費
家賃が下がっても、車コストや光熱費が上がることはある。
「トータルでいくらかかりそうか?」で見るのがポイント。
④ 「戻れる選択肢」を残しておく
- 最初は賃貸にしておく
- 実家や旧居に戻るとしたらどうするかも一応考えておく
- 「最悪戻れる」と思えるだけで心理的にかなり楽になる
僕の感覚
FIRE後の「住む場所選び」は、
一発で正解を当てにいくゲームじゃない。
まずは「今よりちょっと良くなりそうな場所」を選ぶ。
実際に暮らしてみて、合わなければまた動く。
人生のフェーズが変われば、住む場所を変えてもいい。
FIREは、一度決めたら二度と動けない「永住地」を決める話ではなく、
ライフステージに合わせて「拠点を選び直す自由」を得る話、
くらいの温度感でとらえておいた方がラクだと思う。
まとめ
- FIRE後の「住む場所」はコストだけで決めない
- 生活コスト/仕事のしやすさ/医療・教育/実家との距離/暮らし方との相性で見る
- 都市・郊外・地方・二拠点、それぞれにメリットとリスクがある
- いきなり決めずに「お試し滞在」を挟むと失敗しにくい
- 「戻れる余地」を残しておくと心理的ハードルが下がる
- FIREの強みは、「住む場所も含めて選び直せる自由」にある
次回は、「FIRE後の1日の過ごし方」をテーマに、
ルーティンづくりと、だらけすぎないためのゆるい設計について整理していく予定。
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