前回の記事では、
FIREと健康(運動・睡眠・メンタル・検診)
について整理した。
身体と心の土台を押さえたところで、もう一つ、長期のFIRE計画で避けて通れないテーマがある。
いつ・いくら出ていくのか読みづらい、
「ドカンと大きなお金」の存在。
この記事では、教育費・介護・住宅・車などのライフイベント費を、
ビビりすぎず、楽観しすぎず、FIREの計画にどう組み込むかを整理していく。
結論:ライフイベント費は「読み切る」より「レンジ+優先順位」
ライフイベント費を1円単位で読み切ろうとしない。
「このくらいかかりそう」というレンジと、
「ここまでは負担する」というラインを決めておくのが現実的。
完全な予測よりも、
「ざっくりしたイメージ+揺れても折れない余白」を持つことが大事。
ライフイベント費の考え方:3つの原則
原則① 月々の生活費とは「別枠」で考える
教育費・介護・住宅リフォームなどは、
「毎月じわじわ出ていくお金」ではなく、
「数年に一度ドカンと出ていくお金」として扱う。
イメージとしては、
生活費 + ライフイベント費(2階建て)
という構造にしておくとスッキリする。
原則② 正確さより「ざっくりレンジ」でいい
- 教育費:公立メインか、私立も視野に入れるか
- 住宅:持ち家か賃貸か、大規模修繕をどこまで見るか
- 介護:どこまで自分たちの負担と見込むか
1パターンに固定するのではなく、
「安め」と「高め」の2つくらいのシナリオを持っておけば十分。
原則③ すべてを“FIRE資産”だけで賄おうとしない
- 一部は現役時代の収入で準備する
- 一部は奨学金やローンも選択肢に入れる
- 必要なら「少し働き方を戻す」で調整する
「全部を資産の取り崩しで吸収する」という発想から離れると、かなり楽になる。
教育費:完璧を目指すとキリがない
教育費が怖くなる理由
- 公立〜私立・留学まで金額レンジがとても広い
- 自分の意思だけで決められない
- 「子どもの未来」という感情が強く乗る
だからこそ、最初から「完璧プラン」を目指さない方がいい。
教育費のざっくり設計
- 最低限ライン:公立メイン+必要最低限の習い事
- ちょっと余裕ライン:場合によっては私立・留学も選択肢
「最低限ラインまでは自分たちの計画に組み込む」
「それ以上は、その時点の資産・収入・子どもの意思を見て考える」
くらいのスタンスが現実的。
FIREとのバランス感覚
- 子どもの進路が読めないうちはFIRE時期を柔らかくしておく
- 教育費ピークアウト後に、本格FIREを強めるのも立派な戦略
介護・医療:全部しょい込もうとしない
親の介護
- どこまで自分が負担するつもりか
- 兄弟姉妹がいればどう分担するか
- 施設中心か、在宅中心か
お金の話であると同時に、家族の関係の話でもある。
「自分はどこまで頑張るつもりか?」を、一度は言葉にしておく価値がある。
自分たちの医療・介護
- 公的な医療保険・高額療養費制度
- 民間保険をどこまで使うか
- 「ある程度は資産から出す」覚悟
すべてを保険でカバーしようとすると保険料が家計を圧迫しやすい。
「公的保険+ある程度の貯蓄・投資」をベースに考えるのがFIRE目線では現実的。
住宅・リフォーム・車など「モノ系の大型支出」
住宅
- ローン完済のタイミング
- 大規模修繕(屋根・外壁・設備)の時期
持ち家の場合は、
「◯年くらいのタイミングで◯百万円規模の修繕がありそう」くらいのイメージは持っておきたい。
車・家電など
- 車の買い替えサイクル(◯年ごとに◯十万〜◯百万円)
- 大型家電(冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど)の総入れ替え
これらも「月々」ではなく、
「◯年に1回くらいドンと出るお金」としてイベント化しておく。
FIRE前にやっておきたいこと
- 子どもの年齢と、教育費ピークのざっくり把握
- 親の年齢・健康状態の把握(元気なうちの会話も含めて)
- 住宅の状態と、今後10〜20年の修繕イメージ
- 大型支出をどこまでFIRE資産で見るかの線引き
完璧な数値計画よりも、
「大きな波の位置をなんとなく知っておく」ことが大事。
僕の感覚
ライフイベント費は「読み切るもの」ではなく、
揺れても折れないように、
ゆとりを持たせておくもの。
教育費は子どもの希望と一緒に考えていくテーマ。
介護費は家族との関係とセットで考えるテーマ。
住宅や車は、どんな暮らしをしたいかとつながるテーマ。
どれも「お金だけの問題」にしてしまうと、苦しくなりがち。
FIREは、お金・家族・ライフイベントを含めた
「揺れながらも進んでいく人生の設計」だと思っている。
まとめ
- ライフイベント費は生活費とは別枠で考える
- 正確さより「レンジ+優先順位」が現実的
- 教育費は最低限ラインと余裕ラインを分ける
- 介護・医療は「全部を自分でしょい込まない」前提で設計
- 住宅・車・家電は「◯年ごとのイベント」として見込む
- 完璧な答えより、「揺れても折れない余白」を持たせる
次回は、「FIREと税金・社会保険」をテーマに、
退職金・投資益・副業収入と税金、
社会保険料の変化、
「手取りベース」でFIREプランを見直すポイントを整理する予定。
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