前回の記事では、
教育費・介護・住宅などのライフイベント費と、
「ドカンと出るお金」の扱い方
について整理した。
ライフイベントという“波”のイメージができてくると、次に気になってくるのがこれだと思う。
結局、「手取り」でどのくらい残る前提で
FIREプランを考えればいいの?
この記事では、税金・社会保険・手取りベースの考え方を、FIRE目線で整理していく。
結論:FIREは「年収」ではなく「手取り」で考える
FIREは「年収」で考えるとズレやすい。
退職・副業・投資益を含めて、
手取りベースのキャッシュフローで見るのが必須。
税金・社会保険でどれくらい差し引かれるのか、
会社員をやめた後に何が変わるのか、
セミリタイア時の実質手取りがどうなるのか。
ここをざっくりでもイメージしておくと、FIREプランの足元の安定感が変わってくる。
FIREと税金・社会保険を考えるときの3ポイント
① 「年収」ではなく「手取り」で見る
- 会社員期:総支給で会話しがち
- FIRE・セミリタイア後:収入の種類がバラバラになりやすい
すべてを「手取りベース」で揃えて比較すると、生活イメージが一気に現実的になる。
② 「誰が社会保険を面倒見てくれているか」が変わる
- 会社員期:会社が保険料の一部を負担してくれている
- 退職後:国民健康保険・国民年金などを自分で手続き+全額負担
同じ「手取り」に見えても、社会保険の構造が変わると体感が変わる。
③ 投資益・副業収入も「税引き後」で見る
- 配当金・売却益
- 副業・アルバイト収入
- 退職金・一時金
どれも「受け取れるのは税引き後」が前提。ざっくりでも手取りに引き直しておきたい。
会社員 → セミリタイア/FIREで何が変わる?
✔ 所得の種類が変わる
- 給与所得中心 → 事業所得・雑所得・配当・譲渡益が増える
- 確定申告が必要になるケースが増える
「税金が複雑になる」というより、
「自分で把握する部分が増える」という理解の方が近い。
✔ 社会保険の仕組みが変わる
- 健康保険:任意継続 or 国民健康保険などの選択
- 年金:厚生年金 → 国民年金が基本ラインに
どちらが得か?という数字の話だけでなく、「どのくらいの負担と保障か」を大まかに知っておきたい。
FIRE目線での「手取りキャッシュフロー」の考え方
ステップ① 生活費の「税込み必要額」を決める
年間生活費(税・社保込み)をざっくり出し、
「手取りでこれくらい欲しい」という形にしておく。
ステップ② 収入を「税引き前 → 税引き後」に変換する
- 給与・副業 → 明細などから手取りをざっくり把握
- 配当・取り崩し → 税引き後でいくら残るかで見る
厳密な税額計算ではなく、「合計の手取りで生活費をカバーできるか?」を見る感覚で十分。
ステップ③ 3パターンくらいでシミュレーションする
- フルFIRE(投資収入+少額の雑収入)
- セミリタイア(週◯日勤務など)
- もう少し働く安全寄りパターン
3つくらい作っておくと、「どこまでなら攻めていいか?」が掴みやすい。
やりがちな落とし穴
落とし穴① 税金・社保を「見なかったこと」にする
- 投資の期待リターンだけを見てしまう
- あとから手取りベースで見るとギリギリだった…となりがち
落とし穴② 「フルFIRE前提」だけで考える
- 一切働かない前提でプランを作る
- 必要資産が大きく跳ね上がる
- 精神的ハードルも上がりすぎる
結果として「FIREは一部の人だけの話」という極端な結論にたどり着きやすい。
セミリタイア視点で見るとラクになる
FIREを「労働ゼロにするゲーム」から、
「労働のボリュームを調整できるようにするゲーム」と捉え直すだけで、
- 必要資産のハードルが下がる
- 税・社保の負担も分散される
- 手取りキャッシュフローに柔軟性が出る
完全に働かないかフルタイムかの二択ではなく、その間のグラデーションで考える方が現実的。
僕の感覚
FIREの成功は「税金を完璧に最適化すること」ではなく、
手取りベースでざっくりでも全体像を掴んでいるかでほぼ決まる。
年収ベースの机上の計算と、
税・社保を含めた手取りキャッシュフロー。
この2つがズレすぎていると、FIRE後の「体感」がしんどくなりやすい。
逆に、ざっくりでも「手取りベースのFIREシミュレーション」を一度作ってみるだけで、
不安のかなりの部分は“輪郭がはっきりする不安”に変わる。
まとめ
- FIREは年収ではなく「手取り」で考える
- 会社員 → セミリタイア/FIREで税・社保の構造が変わる
- 投資益・副業収入も「税引き後ベース」で見る
- フルFIRE前提だけだと必要資産が不必要に跳ね上がる
- セミリタイア視点で3パターンくらいシミュレーションするとラク
- 完璧な最適化より「ざっくり全体像」を掴むことが大事
次回は、「FIREシミュレーションの作り方」をテーマに、
年ごとの資産推移・収入・支出の並べ方や、
Excelやノートレベルで作れる簡易シミュレーション、
「悲観・標準・楽観」の3本立ての作り方を整理する予定。
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