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45.FIREと税金・社会保険のリアル──「手取り」と「実質的な可処分所得」でプランを見直す

前回の記事では、

教育費・介護・住宅などのライフイベント費と、
「ドカンと出るお金」の扱い方

について整理した。

ライフイベントという“波”のイメージができてくると、次に気になってくるのがこれだと思う。

結局、「手取り」でどのくらい残る前提で
FIREプランを考えればいいの?

この記事では、税金・社会保険・手取りベースの考え方を、FIRE目線で整理していく。


目次

結論:FIREは「年収」ではなく「手取り」で考える

FIREは「年収」で考えるとズレやすい。
退職・副業・投資益を含めて、
手取りベースのキャッシュフローで見るのが必須。

税金・社会保険でどれくらい差し引かれるのか、
会社員をやめた後に何が変わるのか、
セミリタイア時の実質手取りがどうなるのか。

ここをざっくりでもイメージしておくと、FIREプランの足元の安定感が変わってくる。


FIREと税金・社会保険を考えるときの3ポイント

① 「年収」ではなく「手取り」で見る

  • 会社員期:総支給で会話しがち
  • FIRE・セミリタイア後:収入の種類がバラバラになりやすい

すべてを「手取りベース」で揃えて比較すると、生活イメージが一気に現実的になる。

② 「誰が社会保険を面倒見てくれているか」が変わる

  • 会社員期:会社が保険料の一部を負担してくれている
  • 退職後:国民健康保険・国民年金などを自分で手続き+全額負担

同じ「手取り」に見えても、社会保険の構造が変わると体感が変わる。

③ 投資益・副業収入も「税引き後」で見る

  • 配当金・売却益
  • 副業・アルバイト収入
  • 退職金・一時金

どれも「受け取れるのは税引き後」が前提。ざっくりでも手取りに引き直しておきたい。


会社員 → セミリタイア/FIREで何が変わる?

✔ 所得の種類が変わる

  • 給与所得中心 → 事業所得・雑所得・配当・譲渡益が増える
  • 確定申告が必要になるケースが増える

「税金が複雑になる」というより、
「自分で把握する部分が増える」という理解の方が近い。

✔ 社会保険の仕組みが変わる

  • 健康保険:任意継続 or 国民健康保険などの選択
  • 年金:厚生年金 → 国民年金が基本ラインに

どちらが得か?という数字の話だけでなく、「どのくらいの負担と保障か」を大まかに知っておきたい。


FIRE目線での「手取りキャッシュフロー」の考え方

ステップ① 生活費の「税込み必要額」を決める

年間生活費(税・社保込み)をざっくり出し、
「手取りでこれくらい欲しい」という形にしておく。

ステップ② 収入を「税引き前 → 税引き後」に変換する

  • 給与・副業 → 明細などから手取りをざっくり把握
  • 配当・取り崩し → 税引き後でいくら残るかで見る

厳密な税額計算ではなく、「合計の手取りで生活費をカバーできるか?」を見る感覚で十分。

ステップ③ 3パターンくらいでシミュレーションする

  • フルFIRE(投資収入+少額の雑収入)
  • セミリタイア(週◯日勤務など)
  • もう少し働く安全寄りパターン

3つくらい作っておくと、「どこまでなら攻めていいか?」が掴みやすい。


やりがちな落とし穴

落とし穴① 税金・社保を「見なかったこと」にする

  • 投資の期待リターンだけを見てしまう
  • あとから手取りベースで見るとギリギリだった…となりがち

落とし穴② 「フルFIRE前提」だけで考える

  • 一切働かない前提でプランを作る
  • 必要資産が大きく跳ね上がる
  • 精神的ハードルも上がりすぎる

結果として「FIREは一部の人だけの話」という極端な結論にたどり着きやすい。


セミリタイア視点で見るとラクになる

FIREを「労働ゼロにするゲーム」から、
「労働のボリュームを調整できるようにするゲーム」と捉え直すだけで、

  • 必要資産のハードルが下がる
  • 税・社保の負担も分散される
  • 手取りキャッシュフローに柔軟性が出る

完全に働かないかフルタイムかの二択ではなく、その間のグラデーションで考える方が現実的。


僕の感覚

FIREの成功は「税金を完璧に最適化すること」ではなく、
手取りベースでざっくりでも全体像を掴んでいるかでほぼ決まる。

年収ベースの机上の計算と、
税・社保を含めた手取りキャッシュフロー。
この2つがズレすぎていると、FIRE後の「体感」がしんどくなりやすい。

逆に、ざっくりでも「手取りベースのFIREシミュレーション」を一度作ってみるだけで、
不安のかなりの部分は“輪郭がはっきりする不安”に変わる。


まとめ

  • FIREは年収ではなく「手取り」で考える
  • 会社員 → セミリタイア/FIREで税・社保の構造が変わる
  • 投資益・副業収入も「税引き後ベース」で見る
  • フルFIRE前提だけだと必要資産が不必要に跳ね上がる
  • セミリタイア視点で3パターンくらいシミュレーションするとラク
  • 完璧な最適化より「ざっくり全体像」を掴むことが大事

次回は、「FIREシミュレーションの作り方」をテーマに、
年ごとの資産推移・収入・支出の並べ方や、
Excelやノートレベルで作れる簡易シミュレーション、
「悲観・標準・楽観」の3本立ての作り方を整理する予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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