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46.ざっくりでいいFIREシミュレーション|Excel1枚で作る「資産推移 × 収入 × 支出」の見える化

前回の記事では、

税金・社会保険をざっくりでも意識することと、
「年収」ではなく「手取りベース」で考えること

について整理した。

ここまで来ると、次の疑問はほぼこうなる。

結局、自分のFIREプランって、
Excelでどう組めばいいの?

この記事では、FP用の完璧な計算ではなく、
自分で更新できる「ざっくりシミュレーション」を1枚のシートで作るとしたらどう組むか?を整理する。


目次

結論:完璧じゃなくていい。「1枚表」で十分

完璧なシミュレーションは要らない。
年ごとの資産推移 × 収入 × 支出が
ざっくり見える1枚表があれば十分。

年ごとの「入り」と「出」、資産残高の推移、
そして悲観・標準・楽観の3パターン。
この3つが乗ったシンプルな表があれば、FIREの全体像はだいぶ掴める。


まずは「1年ごと」の行を作る

✔ 行(row)は「年」

  • 2025年
  • 2026年
  • 2027年
  • 65歳くらいまで(余裕があれば90歳くらいまで)

1年ごとに「その年のざっくりの収支と資産」を並べるイメージ。

✔ 列(column)はこのくらいで十分

  • 年(西暦)
  • 年齢
  • 期首資産(年初の資産残高)
  • 収入合計(手取りベース)
  • 支出合計(生活費+ライフイベント)
  • 運用利回り or 運用益
  • 期末資産(年末の資産残高)

このくらいのざっくり感で十分、という前提で作る。


期首資産 → 期末資産のシンプルな考え方

基本のイメージはこれだけ。

期末資産 = 期首資産 + 収入合計 − 支出合計 + 運用益

運用益の扱い方は2パターン。

  • 期首資産に対して「運用利回り × 期首資産」でざっくり利回りを乗せる
  • 期首資産+(収入−支出)に対して利回りを乗せる

厳密さよりも、
自分で更新できて、直感的に分かるかどうかを優先してOK。


悲観・標準・楽観の3つのシナリオを作る

一番おすすめなのは、シートを3つ用意する or 1シート内で3ケースを並べること。

ざっくりした利回りの例

  • 楽観:年率 5〜6%
  • 標準:年率 3〜4%
  • 悲観:年率 0〜2%

支出側も、

  • 楽観:生活費は現状維持〜微増
  • 標準:インフレ・子どもの成長を加味してじわっと増
  • 悲観:教育費・医療費などがやや多め

最悪ケースでも「ここまでならギリギリ生き残れる」というラインを見ておくと、心理的な安心感がかなり違う。


年ごとに入れておきたい“イベント”の例

年ごとの行に、メモレベルでもいいので、こんなイベントを書いておくと表が一気に「自分の地図」っぽくなる。

  • 子どもの進学(教育費が増える年)
  • 住宅ローンの完済予定年
  • 車の買い替え
  • 親の介護が発生しそうなタイミング
  • 自分のセミリタイア開始時期
  • 配偶者の勤務形態の変化 など

ポイントは「精度」よりも「更新しやすさ」

よくあるパターンは、

最初から完璧を目指して詰め込みすぎる →
作って満足 → その後一切更新されない

FIREシミュレーションは、
作って終わりの“作品”ではなく、
年1〜2回見直す“ドキュメント”くらいの温度感がちょうどいい。

そのためにも、最初はざっくりでいい。

  • インフレ率は「毎年2%」みたいな固定でOK
  • 税金・社会保険も「ざっくり控除後でこのくらい」とまとめてOK
  • 資産内訳(株・債券など)は1本の数字にしてもいいし、別シートに分けてもいい

シミュレーションの「罠」との付き合い方

罠① 数字がきれいすぎて安心しきる

  • グラフが右肩上がり
  • 期末資産がずっと増え続ける
  • 未来がすべて“予定通り”の前提

現実はそこまできれいじゃない、という前提は常に持っておきたい。

罠② 悲観ケースだけ見て何も動けなくなる

  • 悲観ケースを見て絶望する
  • 「やっぱり自分には無理だ」と決めつけてしまう

大事なのは、
今ここで全てを確定させることではなく、
「どのあたりまで行けばFIRE・セミリタイアを検討していいか」の目安を持つこと。


僕の感覚

FIREシミュレーションは「正解を当てるツール」ではなく、
今どの位置にいて、どんなルートがありそうかを眺める地図。

数字は必ずズレる。
人生イベントも必ず予定外が起きる。
それでも、「何も知らない」のと「ざっくりでも知っている」の間には大きな差がある。

完璧な未来予想図より、
雑でも“自分の言葉で作った地図”の方がよっぽど役に立つ。


まとめ

  • 行は「年」、列は「年齢・資産・収入・支出・運用益・期末資産」で十分
  • 数式は「期末資産 = 期首資産 + 収入 − 支出 + 運用益」のシンプル形でOK
  • 楽観・標準・悲観の3ケースをざっくり作ると判断の幅が見える
  • 教育費・住宅・介護などのイベントも年ごとにメモしておく
  • 精度より「更新しやすさ」を優先する
  • シミュレーションは“当てるため”ではなく、“位置とルートを知るため”の道具

次回は、「シミュレーションと現実のズレとの付き合い方」をテーマに、
想定より資産が増えたとき・減ったとき、
予定より早くセミリタイアしたくなったとき、
「もう行けるかな?」と思ったときの判断軸を整理する予定。

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30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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