MENU

49.いきなり本番FIREが怖いなら、“お試しFIRE(プチFIRE)”から始めればいい

前回の記事では、

FIRE判定ラインは「資産額」だけで決めない。
「数字 × 生活 × 心 × 家族 × バックアップ」で考える。

という話をした。

ここまでくると、次のような感情が出てくる人も多いと思う。

ラインはなんとなく見えてきた。
でも、いきなり本番FIREは正直こわい…。

その感覚は、とても健全だ。
この記事では、いきなり退職しなくてもできる
「お試しFIRE(プチFIRE)」の考え方と具体例を整理していく。


目次

結論:まずは「時間の主導権」を一時的に取り戻す実験からでいい

FIREは、いきなり本番で試さなくていい。
まずは「時間の主導権を一時的に取り戻す」お試し期間で、
自分との相性を確かめるのが現実的。

  • 育休・サバティカル・長期有給は「合法的なFIRE実験場」
  • 大事なのは「完璧に過ごすこと」ではなく、「自分の傾向を知ること」
  • 合う/合わない・足りない条件を言語化して、本番FIRE計画に反映する

お試しFIRE(プチFIRE)って何?

ざっくり言うと、

「会社の外に自分の1日を出してみる」テスト期間。

  • 会社は辞めない(完全FIREにはしない)
  • 一時的に「FIRE後っぽい時間の使い方」をしてみる
  • 何が心地よくて、何がしんどいのかを“実地で”確認する

こんな形が考えられる

  • 育児休業・介護休業をフルに使い、「平日フル在宅+家族時間中心」の生活を試す
  • 会社に制度があれば、サバティカル(長期休暇)を取得する
  • 有給休暇をまとめて消化し、1〜2カ月の余白期間をつくる
  • 転職の合間に、あえてブランク期間を1〜3カ月とる
  • 週5勤務 → 週3勤務にして、「平日休み」の感覚を味わう

どれも、いきなり退職せずに
「FIRE後の一部」を先に体験するイメージだ。


お試しFIRE期間で「観察したいこと」5つ

ただ休むだけだと、

楽しかった/微妙だった

で終わってしまう。
せっかくなら、少しだけ“観察モード”で過ごすと学びが増える。

① 1日のリズム

  • 何時に起きると調子がいいか?
  • 午前/午後/夜、どの時間帯が一番頭が働くか?
  • ダラダラしがちな時間帯はどこか?

→ 「FIRE後の自分の最適な1日の型」がうっすら見えてくる。

② お金の感覚

  • 外食・買い物が増えたか、減ったか?
  • 平日に時間があると、支出はどう変化するか?
  • 「お金を使わない楽しみ」をどれだけ見つけられるか?

→ FIRE後の支出イメージの現実度チェックになる。

③ 孤独感・社会とのつながり

  • 誰とも話さない日が続くと、しんどいか?
  • 逆に「一人時間」がある方が楽か?
  • 家族以外と話す場が、どのくらい欲しいか?

→ 「どの程度の社会参加が必要か?」が見えてくる。

④ 家族との距離感

  • 一緒にいる時間が増えることで、良くなる部分/圧が増える部分は?
  • 家事・育児・役割分担はどう変わるか?
  • 「24時間一緒」が心地よいのか、適度な距離が必要なのか?

→ 「理想の家族像」ではなく、「実際の我が家」の最適距離が見えてくる。

⑤ 自然とやりたくなったこと

  • 誰にも強制されていないのに、つい手が伸びたことは何か?
  • 逆に、「やるつもりだったのにまったく手をつけられなかったこと」は何か?

→ 「FIRE後にやりたいこと」の“本音版リスト”になる。


お試しFIREでやりがちな失敗

① 「完璧な1日」を目指して詰め込みすぎる

  • 朝活もする
  • 読書もする
  • 勉強もする
  • 運動もする
  • 家族時間も完璧に…

だいたい3日目くらいで燃え尽きる。

お試しFIREは「理想の自分」を証明する場ではなく、
「実際の自分のペース」を知る場。

7割くらいの力感でちょうどいい。

② 何も決めずに、ただダラダラして落ち込む

  • なんとなくスマホ
  • なんとなく動画
  • 気づけば夕方
  • 「自分は何をしているんだろう…」と自己嫌悪

これもよくあるパターン。

ポイント:

  • 予定をギチギチにはしない
  • でも、「1日の軸」を1つか2つだけ決めておく(例:午前は◯◯、午後は自由/毎日30分だけ勉強など)

③ 結果を「向いてる/向いてない」で白黒判定してしまう

ダラけた → 自分はFIREに向いていない!
孤独だった → FIREなんてムリ!

ではなく、

「FIREするなら、こういう工夫が必要そうだな」
という“条件”を見つけるイメージ。


お試しFIRE前に決めておきたい“ゆるい設計”

本番FIREのようなガチガチの設計は不要。
ただ、これくらい決めておくと、かなり有意義になる。

① 期間

  • 1週間
  • 2週間
  • 1カ月
  • 育休のうち◯カ月 など

「いつまで続けるのか」を決めておくと、途中でブレにくい。

② テーマ

  • 体力とメンタルを立て直す「休む」期間
  • 家族との時間を最優先する期間
  • 勉強・資格・スキルアップに集中する期間
  • やりたいことを「試しに全部触ってみる」期間

何となくでもいいので、「今回のテーマ」を決めておく。

③ お金の上限

  • この期間中の生活費はこれくらいまで
  • 特別出費はこの枠の中で、などざっくり決めておく

→ 「お金の不安」で頭がいっぱいになるのを防げる。

④ 1週間のリズム

  • 平日:◯◯中心
  • 週末:家族/友人との時間
  • 週に1回は「完全オフの日」を作る など

ざっくり「週間スケジュール」を書いておくと、
1日ごとに迷子になりにくい。

⑤ 振り返り方

  • 毎日3行だけ「今日感じたこと」をメモ
  • 1週間ごとに「良かったこと/しんどかったこと」を箇条書き

このメモが、後で本番FIREの設計に効いてくる。


お試しFIREの結果をどう活かすか?

お試し期間が終わったら、「合う/合わない」を感覚のままにせず、言葉にしておきたい。

① 「心地よかったことリスト」

  • どんな時間の使い方が気持ちよかったか
  • どんな人間関係の距離感が楽だったか
  • どんな支出の仕方がしっくり来たか

→ これは「FIRE後に守りたいもの」のヒント。

② 「しんどかったことリスト」

  • 孤独感なのか?
  • 退屈さなのか?
  • お金の不安なのか?
  • 家族との距離感なのか?

→ ここは「FIRE計画の中で対策するポイント」。

③ 「意外な発見リスト」

  • 思ったほど仕事が恋しくなかった/逆にけっこう恋しかった
  • 一人時間より、誰かと一緒の時間が欲しかった
  • 趣味だと思っていたものが、意外とそこまで燃えなかった

→ こういう「ズレ」は、FIREを考えるうえでとても貴重な材料になる。


僕の感覚

FIREは“机上の計算”だけで決めるには、
ちょっとインパクトが大きすぎる選択。

だからこそ、育休・サバティカル・長期有休・週3勤務など、
「お試しFIRE」を人生のどこかで挟めるとかなり心強い。

完璧なお試し期間じゃなくていい。
むしろ、

ちょっとグダグダしてしまった自分ごと、
ちゃんと見つめ直すくらいが、ちょうどいい。


まとめ

  • いきなり本番FIREが怖いのは、むしろ健全
  • 育休・サバティカル・長期有休などは“合法的なFIRE実験場”
  • お試しFIREでは「リズム・お金・孤独感・家族・自然とやりたくなったこと」を観察
  • 「完璧な1日」を目指さず、「自分のペースと傾向を知る」ことが目的
  • 期間・テーマ・お金の上限・週間リズム・振り返り方法をゆるく決めておく
  • 結果を「向いてる/向いてない」ではなく、「必要な条件」として言語化する

次回は、「会社を辞めなくても、どこまでFIREに近い働き方を作れるか?」をテーマに、
週3勤務・時短・職種チェンジなど“FIRE寄り働き方”の選択肢と考え方を整理する予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次