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56.FIREと税金・社会保険の基本|会社員→セミリタイア・副業・小ビジネスで何が変わる?

前回の記事では、

FIREと副業・小さなビジネスの付き合い方

について整理した。

ここまで来ると、かなり現実的な疑問が出てくる。
「会社員からセミリタイアや副業中心の生活に変えたら、税金や社会保険ってどうなるの?」というポイントだ。

この記事では、

  • FIRE目線での税金・社会保険の「ざっくり構造」
  • 会社員→セミリタイアで何が変わるのか
  • よくある落とし穴と、最低限のチェックポイント

を整理していく。


目次

結論:細かい制度を全部覚える必要はない

細かい条文を暗記する必要はない。
「所得の種類」「税金」「社会保険」という3つの枠組みと、
自分に関係する変化ポイントだけ押さえておけば十分。

大事なのは次の3つ。

  • 収入が「どの種類の所得」になるか
  • その結果、税金がどう変わるか
  • 社会保険(健康保険・年金)の区分がどう変わるか

FIREと税金の「ざっくり構造」

所得税+住民税の二階建て

日本の税金は、ざっくり言うと二階建てだ。

  • 上の階:所得税(国)
  • 下の階:住民税(自治体)

ベースになるのは「課税所得」。
収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得 というイメージでOK。

会社員のあいだは、給与所得だけ&源泉徴収+年末調整でほぼ完結するが、
セミリタイア後は 「確定申告を前提にした生き方」 に変わっていく。


FIREでよく出てくる「所得の種類」

① 給与所得(パート・バイト・嘱託など)

  • 会社やお店からもらう給料
  • 所得税が給与から天引きされる
  • 年末調整で完結しやすい

② 事業所得・雑所得(フリーランス・副業など)

  • 請求書を出して受け取る報酬
  • ブログ・電子書籍・コンサルなどの収入
  • 収入 − 経費 = 利益 に対して税金

③ 配当所得・譲渡所得(株・投信など)

  • 配当金や投資信託の分配金
  • 株や投信の売却益
  • 特定口座(源泉あり)なら基本は証券会社で完結

④ 不動産所得(賃貸・駐車場など)

規模によっては、完全に「もう一つのビジネス」になる。


社会保険(健康保険・年金)の3パターン

パターン1:会社員(厚生年金+健康保険)

  • 保険料は給与から天引き
  • 会社が半分負担してくれている
  • サラリーマン時代の標準形

パターン2:退職 → 国民健康保険+国民年金

  • 自分で保険料を支払う
  • 多くの場合、保険料は「前年の収入」をベースに計算
  • 退職翌年に負担感が強く出やすい

パターン3:配偶者の扶養に入る

  • 配偶者が会社員で社会保険に加入している場合
  • 健康保険の「被扶養者」+年金の「第3号」になれるケースがある
  • 年収や働き方の条件は、制度や保険組合ごとに細かく違う

「扶養内で働きたい」と思ったら、
具体的な収入ラインは必ず最新情報を確認する前提が必要だ。


セミリタイア時のありがちなルート例

① 正社員のまま、時短勤務+社保継続

  • 社会保険はこれまでどおり
  • 手取りは減るが安定感は高い
  • FIREというより「働き方の調整」に近い

② 正社員 → パートだが社保ライン超え勤務

  • パートでも週の勤務時間を増やし、社会保険に加入
  • 会社負担が乗るため、国保よりも負担感はマイルドになりやすい

③ 完全退職 → 国保+国民年金

  • 「いったん会社から完全に離れる」FIREっぽい形
  • 国保・年金は自分でフルに負担
  • 退職翌年の保険料が「思ったより高い」と感じやすい

④ 配偶者の扶養内でパート+副業少し

  • 健康保険・年金は配偶者の社会保険にぶら下がる形
  • 自分の年収は「扶養条件内」に抑える前提
  • 副業・小ビジネスは扶養条件とぶつからないよう要調整

FIRE目線でよくある「落とし穴」

① 住民税&国保が翌年にドーンと来る

退職翌年、前年の収入をもとにした住民税・国保が請求されて、
「こんなに払うの?」と感じやすい。

ざっくりでいいので、
退職翌年にどのくらいかかりそうかは一度シミュレーションしておきたい。

② 所得ほぼゼロなのに国保が高く感じる初年度

退職した年の収入は少ないのに、
前年までの所得をもとに国保が計算されて「割に合わない」と感じることがある。

仕様としてそういう設計になっている部分もあるので、事前に知っておくとダメージが減る。

③ 副業・個人事業の「経費」の線引きが曖昧

  • なんでもかんでも経費にしてしまう
  • 逆に、経費にしてよさそうなものも全部あきらめる

どちらもストレスの元なので、
グレーな部分は一度専門家に相談するくらいの距離感がちょうどいい。

④ 扶養条件を知らないまま副業を伸ばす

「気づいたら扶養ラインを超えていた」
→ 健康保険や年金の切り替えをさかのぼって行うケースもあり得る。

どこまでなら扶養内、どこから自分で保険に入るのかは、
早めに条件を確認しておきたい。


FIRE目線で「ここだけは試算したい」3ポイント

  • 退職翌年の住民税+国民健康保険のざっくり見積もり
  • セミリタイア後の「年間手取り」のざっくりイメージ
  • 配偶者の扶養条件を超えるラインの目安(最新情報の確認が前提)

数字はざっくりで十分だが、「全然分からない状態」のまま踏み出すと不安が大きくなりやすい。


僕の感覚

税金・社会保険を「節税ゲーム」にしすぎると、
せっかく軽くしたい人生が、逆に重くなる。

大枠の構造と、自分に関わる変化ポイント、よくある落とし穴だけ押さえておき、
細かい数字や制度は「その年にもう一度確認する」くらいの距離感がちょうどいいと思っている。

FIREは、細かいルールを暗記する競技ではなく、
変化に合わせて設計を微調整していける人生のほうが大事だから。


まとめ

  • 税金・社会保険は「所得の種類」「税金」「社会保険」の3つの枠組みで考える
  • セミリタイア後は、給与以外の所得(副業・配当など)が増えやすい
  • 社会保険は「会社員」「国保+国民年金」「配偶者の扶養」の3パターンを理解する
  • 落とし穴は、退職翌年の負担・経費の線引き・扶養条件の見落とし
  • 大枠を押さえ、ざっくり試算し、迷う部分は専門家に相談するくらいで十分

次回は、「FIREと住む場所(都市・地方・海外)の戦略」をテーマに、
住居コストとライフスタイルがFIREに与えるインパクトを整理していく予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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