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58.FIREはいきなり本番にしない|長期休暇・セミリタイア・取り崩しテストで「お試しFIRE」する方法

前回の記事では、

FIREと住む場所の戦略(都市・郊外・地方・海外)

について整理した。

ここまで来ると、次のような不安も出てくると思う。
「とはいえ、いきなり退職して本番FIREって、さすがに怖くない…?」

この記事では、
いきなりフルFIREに飛び込まず、「お試し運転」を挟む方法を整理する。


目次

結論:FIREは一発勝負ではなく「お試し」を挟んでいい

FIREは一発勝負ではなく、何度か試してから本番にしていい。
長期休暇・セミリタイア・取り崩しテストを使うと、
時間・お金・家族・メンタルをかなりリアルにチェックできる。

頭の中のFIREと、現実のFIREにはギャップがある。
そのギャップを、事前に少しずつ埋めていくのが「お試しFIRE」の目的だ。


なぜ「お試しFIRE」が大事なのか?

  • 想像の中では最高でも、現実には「暇」「不安」「罪悪感」が出ることがある
  • 一度退職してから「違った」と気づくと戻りコストが大きい
  • お試しなら、いくらでも修正できる

「やってから考える」の前に、
「ちょっと試してから考える」クッションを入れておくイメージ。


お試しFIREの代表パターン

① 長期休暇型(有給・サバティカル)

有給をまとめて1〜2週間、可能なら3週間以上とり、
「FIREしたつもりで暮らす期間」にしてみる。

  • 通勤しない朝の時間をどう使うか
  • 平日昼間の過ごし方
  • 家族が不在の時間をどう扱うか

こうした要素を、現実の生活の中でテストできる。

② 育休・休職を活用する

育児や療養のための休暇も、結果として
「平日日中に家にいる生活」を体験できる期間になる。

  • 家事・育児とのバランス
  • パートナーとの役割分担
  • 自分時間をどう確保するか

ここで感じた「良さ」と「しんどさ」は、そのままFIRE後に直結する。

③ 週3勤務など「セミリタイア先行型」

いきなりフルFIREではなく、
週5 → 週4 / 週3、時短勤務などで労働時間だけ先に減らすパターン。

  • 収入はまだある程度キープできる
  • 増えた時間で何をしたいかが見えてくる
  • 「どれくらい働かないと逆に不安か」も分かる

④ 取り崩しシミュレーション型

「資産から生活する」感覚を先に体験するために、
取り崩しルールを決めて数カ月だけ実行してみる。

  • 給与はFIRE用口座へ入れる
  • 生活費は別口座から「毎月◯万円だけ」出して暮らす

これにより、
「この金額で暮らすとどう感じるか?」がかなりクリアになる。

⑤ ミニFIREデー・FIREウィークエンド

月1回の「FIREデー」や、年数回の「FIREウィークエンド」を作り、
1日・週末だけFIRE後のように過ごしてみる。

  • 目覚ましをかけない朝
  • 仕事メールを見ない1日
  • 「お金のための作業」を封印してみる

小さな単位でも、FIRE後の生活感覚を先取りできる。


お試しFIREでチェックしたい4つのポイント

① 1日の時間の使い方

  • 何も決めないと、時間はどこへ消えていくか?
  • 「これをやると1日が気持ちよく終わる」という活動は何か?
  • 続けると心が荒れそうな行動は何か?

② お金の感覚

  • 収入がない前提だと、どれくらいお金を使えるか?
  • 節約しすぎてストレスにならないか?
  • 逆に「せっかく時間があるから」と使いすぎないか?

「FIRE後に気持ちよく使える金額感」を知るのがポイント。

③ 家族の反応

  • パートナーから見て、あなたが家にいる状態はどう映るか?
  • 子どもはどう感じていそうか?
  • 家事・育児・役割分担のバランスはどうか?

④ 自分のメンタルの変化

  • 解放感・安心感
  • 不安・罪悪感・焦り

どちらも出てくるのが普通。
大事なのは、「どんな状況で何を感じやすいか」のパターンを知ること。


「お試しFIRE」のやり方ステップ

Step1:期間とテーマを決める

  • 2週間の長期休暇で「FIRE後の平日」を試す
  • 3カ月の取り崩しシミュレーションをしてみる

まずは一言で、「何をテストしたいのか?」を書き出しておく。

Step2:「FIREっぽい1日の型」を仮決めする

  • 朝は何時に起きる?
  • 運動・勉強・趣味の時間はいつ?
  • 家事・家族時間をどこに置く?

完璧でなくていいので、「こうなったらいいな」という1日の型を仮決めしておく。

Step3:やらないことルールを決める

  • 仕事メール・社内チャットを見ない時間帯
  • なんとなくスマホを見る時間の上限
  • お試し期間中はやらない仕事・タスク

「やること」だけでなく、「やらないこと」を決めておくとFIRE感が一気に増す。

Step4:終わったら必ず振り返る

  • よかったこと(またやりたいこと)
  • しんどかったこと(改善したいこと)
  • 想像と違った点

ここから、FIRE後の1日の設計や、必要な生活費、「自分にとって必要な仕事量」が
かなりリアルに見えてくる。


お試しFIREでやりがちな罠

  • ただの「休暇」として過ごしてしまい、検証せずに終わる
  • いつもの生活とほとんど変わらず、何も見えてこない
  • 最初の数日の感情だけで判断してしまう(長く続けるとまた違う)
  • 家族への説明がなく、相手からすると「よく分からない期間」になる

「テストとしての期間なんだ」と自分の中で意図をハッキリさせておくだけで、
得られるものが大きく変わる。


僕の感覚

FIREは「崖から一気に飛び降りる」プロジェクトではなく、
段差を一段ずつ降りていくプロジェクトにしたほうが、うまくいきやすい。

長期休暇・育休・休職・週3勤務・取り崩しシミュレーション…。
こうした「お試し」をいくつか経験していると、

  • FIREの現実に対する解像度
  • 自分と家族の向き合い方
  • 必要なお金と働き方

が、自然と整理されていく。

FIREは、一度で完璧に決めるものではなく、
何度か試しながら精度を上げていくもの。


まとめ

  • FIREはいきなり本番にせず、「お試し運転」を挟んでいい
  • 長期休暇・セミリタイア・取り崩しテストで、時間・お金・家族・メンタルをチェック
  • 期間とテーマを決め、1日の型と「やらないこと」を決めて試す
  • 終わったら必ず振り返り、FIRE設計に反映する
  • FIREは一発勝負ではなく、何度か試しながらアップデートしていくプロジェクト

次回は、「FIREとキャリアの出口戦略」として、
退職タイミング・引き継ぎ・ブリッジ的な働き方など、
現実的な「会社の辞め方・離れ方」を整理していく予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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