前回の記事では、
FIREと住む場所の戦略(都市・郊外・地方・海外)
について整理した。
ここまで来ると、次のような不安も出てくると思う。
「とはいえ、いきなり退職して本番FIREって、さすがに怖くない…?」
この記事では、
いきなりフルFIREに飛び込まず、「お試し運転」を挟む方法を整理する。
結論:FIREは一発勝負ではなく「お試し」を挟んでいい
FIREは一発勝負ではなく、何度か試してから本番にしていい。
長期休暇・セミリタイア・取り崩しテストを使うと、
時間・お金・家族・メンタルをかなりリアルにチェックできる。
頭の中のFIREと、現実のFIREにはギャップがある。
そのギャップを、事前に少しずつ埋めていくのが「お試しFIRE」の目的だ。
なぜ「お試しFIRE」が大事なのか?
- 想像の中では最高でも、現実には「暇」「不安」「罪悪感」が出ることがある
- 一度退職してから「違った」と気づくと戻りコストが大きい
- お試しなら、いくらでも修正できる
「やってから考える」の前に、
「ちょっと試してから考える」クッションを入れておくイメージ。
お試しFIREの代表パターン
① 長期休暇型(有給・サバティカル)
有給をまとめて1〜2週間、可能なら3週間以上とり、
「FIREしたつもりで暮らす期間」にしてみる。
- 通勤しない朝の時間をどう使うか
- 平日昼間の過ごし方
- 家族が不在の時間をどう扱うか
こうした要素を、現実の生活の中でテストできる。
② 育休・休職を活用する
育児や療養のための休暇も、結果として
「平日日中に家にいる生活」を体験できる期間になる。
- 家事・育児とのバランス
- パートナーとの役割分担
- 自分時間をどう確保するか
ここで感じた「良さ」と「しんどさ」は、そのままFIRE後に直結する。
③ 週3勤務など「セミリタイア先行型」
いきなりフルFIREではなく、
週5 → 週4 / 週3、時短勤務などで労働時間だけ先に減らすパターン。
- 収入はまだある程度キープできる
- 増えた時間で何をしたいかが見えてくる
- 「どれくらい働かないと逆に不安か」も分かる
④ 取り崩しシミュレーション型
「資産から生活する」感覚を先に体験するために、
取り崩しルールを決めて数カ月だけ実行してみる。
- 給与はFIRE用口座へ入れる
- 生活費は別口座から「毎月◯万円だけ」出して暮らす
これにより、
「この金額で暮らすとどう感じるか?」がかなりクリアになる。
⑤ ミニFIREデー・FIREウィークエンド
月1回の「FIREデー」や、年数回の「FIREウィークエンド」を作り、
1日・週末だけFIRE後のように過ごしてみる。
- 目覚ましをかけない朝
- 仕事メールを見ない1日
- 「お金のための作業」を封印してみる
小さな単位でも、FIRE後の生活感覚を先取りできる。
お試しFIREでチェックしたい4つのポイント
① 1日の時間の使い方
- 何も決めないと、時間はどこへ消えていくか?
- 「これをやると1日が気持ちよく終わる」という活動は何か?
- 続けると心が荒れそうな行動は何か?
② お金の感覚
- 収入がない前提だと、どれくらいお金を使えるか?
- 節約しすぎてストレスにならないか?
- 逆に「せっかく時間があるから」と使いすぎないか?
「FIRE後に気持ちよく使える金額感」を知るのがポイント。
③ 家族の反応
- パートナーから見て、あなたが家にいる状態はどう映るか?
- 子どもはどう感じていそうか?
- 家事・育児・役割分担のバランスはどうか?
④ 自分のメンタルの変化
- 解放感・安心感
- 不安・罪悪感・焦り
どちらも出てくるのが普通。
大事なのは、「どんな状況で何を感じやすいか」のパターンを知ること。
「お試しFIRE」のやり方ステップ
Step1:期間とテーマを決める
- 2週間の長期休暇で「FIRE後の平日」を試す
- 3カ月の取り崩しシミュレーションをしてみる
まずは一言で、「何をテストしたいのか?」を書き出しておく。
Step2:「FIREっぽい1日の型」を仮決めする
- 朝は何時に起きる?
- 運動・勉強・趣味の時間はいつ?
- 家事・家族時間をどこに置く?
完璧でなくていいので、「こうなったらいいな」という1日の型を仮決めしておく。
Step3:やらないことルールを決める
- 仕事メール・社内チャットを見ない時間帯
- なんとなくスマホを見る時間の上限
- お試し期間中はやらない仕事・タスク
「やること」だけでなく、「やらないこと」を決めておくとFIRE感が一気に増す。
Step4:終わったら必ず振り返る
- よかったこと(またやりたいこと)
- しんどかったこと(改善したいこと)
- 想像と違った点
ここから、FIRE後の1日の設計や、必要な生活費、「自分にとって必要な仕事量」が
かなりリアルに見えてくる。
お試しFIREでやりがちな罠
- ただの「休暇」として過ごしてしまい、検証せずに終わる
- いつもの生活とほとんど変わらず、何も見えてこない
- 最初の数日の感情だけで判断してしまう(長く続けるとまた違う)
- 家族への説明がなく、相手からすると「よく分からない期間」になる
「テストとしての期間なんだ」と自分の中で意図をハッキリさせておくだけで、
得られるものが大きく変わる。
僕の感覚
FIREは「崖から一気に飛び降りる」プロジェクトではなく、
段差を一段ずつ降りていくプロジェクトにしたほうが、うまくいきやすい。
長期休暇・育休・休職・週3勤務・取り崩しシミュレーション…。
こうした「お試し」をいくつか経験していると、
- FIREの現実に対する解像度
- 自分と家族の向き合い方
- 必要なお金と働き方
が、自然と整理されていく。
FIREは、一度で完璧に決めるものではなく、
何度か試しながら精度を上げていくもの。
まとめ
- FIREはいきなり本番にせず、「お試し運転」を挟んでいい
- 長期休暇・セミリタイア・取り崩しテストで、時間・お金・家族・メンタルをチェック
- 期間とテーマを決め、1日の型と「やらないこと」を決めて試す
- 終わったら必ず振り返り、FIRE設計に反映する
- FIREは一発勝負ではなく、何度か試しながらアップデートしていくプロジェクト
次回は、「FIREとキャリアの出口戦略」として、
退職タイミング・引き継ぎ・ブリッジ的な働き方など、
現実的な「会社の辞め方・離れ方」を整理していく予定。
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