MENU

59.会社を「どう辞めるか」もFIREの一部|退職タイミング・伝え方・ブリッジ戦略を整理する

前回の記事では、

長期休暇・セミリタイア・取り崩しテストを使った「お試しFIRE」

について整理した。

そこまで来ると、次に出てくるのはかなり現実的なテーマだ。
「じゃあ実際に会社を辞めるとき、いつ・どう動けばいいんだろう?」

この記事では、
FIRE直前〜退職までの「出口戦略」として、

  • 退職のタイミング
  • 会社への伝え方
  • いきなりゼロにしないブリッジ戦略

を整理していく。


目次

結論:FIREは「お金が貯まったら終わり」ではない

FIREは「資産づくり」で終わりではなく、
会社の辞め方・離れ方まで含めて一つのプロジェクト。

ポイントは3つ。

  • 退職ラインを数字だけでなく「心と家族」も含めて決めておく
  • 会社への伝え方・タイミングを戦略的に設計する
  • いきなりゼロにせず、「ブリッジ的な働き方」を持っておく

① まず「退職ライン」を決めておく

✔ 数字のライン(最低限の条件)

たとえば、次のような条件を「目安」として持っておく。

  • 年間生活費 × ◯年分の資産がある
  • 取り崩し率◯%(例:3〜4%)でシミュレーションしても耐えられる
  • 現金・安全資産で生活費◯年分を確保している

「ここまでいったら、退職を真剣に検討していいライン」
を数字で持っておくイメージだ。

✔ 気持ち・家族のライン

数字だけ整っていても、

  • パートナーが不安で眠れない
  • 自分自身が「まだ怖い」と感じている

状態なら、それはまだ準備中と考えておいた方がいい。

  • 家族との対話が一周しているか
  • 「最悪こうなったらこう動くよね」という共有があるか
  • 自分の中で「これはいける」と思えるか

数字 × 心 × 家族の3つが揃ってきたときが、「退職ライン」に近いタイミングだ。


② 退職の「タイミング」をどう決めるか

✔ カレンダー上のタイミング

たとえば、次のような要素をセットで考える。

  • 賞与支給の直後 or 直前
  • 年度末・四半期末など区切りのタイミング
  • 子どもの進学・引っ越しなどライフイベント

「いつ辞めるか?」は、
お金・仕事の区切り・家族の予定をまとめて見ると決めやすくなる。

✔ メンタル面のタイミング

  • 数字的には行けるのに「もう1年だけ…」を毎年繰り返している
  • 職場ストレスが体調に出始めている
  • 「ここでやめないと、何も変えないまま人生が進みそう」と感じている

こうしたサインが出てきたら、一度冷静に、「いつまで今の働き方を続けるか」を紙に書き出してみる価値がある。


③ 誰に・いつ・どう伝えるか

✔ 基本の流れ(イメージ)

  1. 最初に直属の上司へ「相談ベース」で話す
  2. 会社の規定に沿って、人事・総務へ正式に申請する
  3. チーム・関係部署へ順次共有していく
  4. 引き継ぎ計画・スケジュールを一緒に作る

✔ 「いつ言うか」の目安

多くの会社では、退職希望日の1〜3カ月前が目安。

業務の特殊性やポジションによっては、もっと前から動いた方がスムーズな場合もある。

✔ 伝えるときのスタンス

やってしまいがちなNGは、

  • 会社や上司を批判しまくる
  • 「FIREするんで辞めます」とドヤる
  • 「もう働きたくないんで」と相手がモヤっとする伝え方をする

代わりに意識したいのは、

  • これまでの感謝
  • 自分の生き方・家族のことも含めた今後の方向性
  • なるべく迷惑をかけずにバトンを渡したい、という姿勢

FIREを理由として伝えてもいいが、
「会社への不満」ではなく「自分の選択」として話す方が、お互いに後味がいい。


④ いきなりゼロにしない「ブリッジ戦略」

FIRE=完全無職・収入ゼロ・社会とのつながりゼロ
にする必要は、まったくない。

✔ 代表的なブリッジパターン

  • 同じ会社で週3・嘱託・業務委託として残る
  • 前職のスキルを活かして別の会社でパートタイム
  • 小さなフリーランス・副業を少しずつ広げていく
  • 学び直し・資格取得・準備期間として数年を使う

「0 or 100」ではなく、グラデーションで働き方を減らしていくイメージだ。

✔ ブリッジ戦略のメリット

  • 精神的にいきなり真っ白にならない
  • 生活費の一部をカバーできる
  • キャリアの「線」を完全には切らずに済む
  • もしFIREの方向性を変えたくなったとき、戻り道が残る

「FIREか会社員か」の2択ではなく、
中間の選択肢をいくつか持っておくと、人生設計がかなり楽になる。


⑤ 出口戦略でやりがちなNGパターン

  • 感情が爆発した瞬間に「もう辞めます!」と衝動的に退職してしまう
  • 家族とほとんど話さないまま退職時期を決める
  • 退職理由を「会社批判モード」でぶちまけてしまう
  • 引き継ぎを最小限にして、早く離れることだけを優先する

短期的にはスッキリするかもしれないが、
元同僚との関係や、もう一度働きたくなったときの選択肢を、自分で狭めてしまう。


僕の感覚

FIREの出口戦略は、
会社との関係をできるだけフラットにして終わらせるプロセス。

感謝と本音、自分のこれからの生き方、会社や同僚へのリスペクト。
それぞれを自分なりのレベルでちゃんと扱っておくと、

  • 自分の中の「一区切り感」
  • 家族と一緒に進む感覚
  • また働きたくなったときの戻りやすさ

が、かなり変わってくる。

FIREは「会社から逃げ切るゲーム」ではなく、
自分の人生を自分のペースに戻していくプロセス。


まとめ

  • FIREは資産づくりだけでなく、退職までの出口戦略がセット
  • 退職ラインは「数字 × 心 × 家族」の3つで考える
  • タイミングはカレンダー(賞与・年度末・ライフイベント)とメンタルの両面から決める
  • 会社への伝え方は、批判ではなく「自分の選択」として伝える
  • いきなりゼロにせず、週3・業務委託・副業などブリッジ戦略を持っておく

次回は、「FIRE後の“学び直し”とキャリアの再設計」として、
学びをどう活かすか・第二のキャリアをどう育てるかを整理していく予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次