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62.FIRE後の「場所の自由」はどう使う?|移住・二拠点・プチ移住を“旅行気分で決めない”考え方

前回の記事では、

FIRE後の1日の時間割と、習慣設計

について整理した。

1日のリズムが見えてくると、次に気になってくるのはたぶんここだ。
「そもそも、どこでその1日を過ごすのがいいんだろう?」

今の場所に住み続けるのか。
ちょっと地方に移住するのか。
二拠点生活にするのか。
海外ロングステイは現実的なのか。

この記事では、FIRE後の「場所の自由」をテーマに、
移住・二拠点・プチ移住の違いと、旅行気分で決めて後悔しないための考え方を整理する。


目次

結論:FIRE後の「場所の自由」は“拠点設計”の話

FIRE後の「場所の自由」は、
「全部捨ててどこかへ行く」話ではなく、
“拠点の持ち方を設計し直す”話。

いきなり移住ではなく、段階戦略がおすすめだ。

  • レベル1:プチ移住・長期滞在で“お試し”
  • レベル2:二拠点生活で季節とコストのバランスを見る
  • レベル3:そのうえで本格移住を検討

① よくある「FIRE=移住」のイメージと落とし穴

イメージ:海の近くで毎日ゆったり

  • 海辺のカフェでPCを開く
  • 毎日散歩
  • 物価も安くて最高

このイメージ自体は悪くない。
ただし、ほとんどが「旅行モード」の感覚だ。

落とし穴1:旅行テンションで住む場所を決めてしまう

  • 短期滞在のワクワク感
  • たまたま天気が良かった
  • 現地の“良い面”だけしか見えていない

その状態で決めると、
「暮らす」となった途端に想像と全然違う…というギャップが出やすい。

落とし穴2:固定費がじわっと増える

  • 今の家+別の拠点
  • 車が増える
  • 家賃・光熱費・維持費が二重化する

「場所の自由=コストの自由」ではない。
むしろ固定費が重くなるリスクは高い。

落とし穴3:人間関係がリセットされすぎる

  • 地元の友人と会いづらくなる
  • 実家・親のケアがしにくくなる
  • 仕事やコミュニティとの距離が遠くなる

時間と場所が自由になった代わりに、
人間関係がスカスカになってしまうケースもある。


② 場所の自由は「3つのレベル」で考える

「移住するか/しないか」の二択で決めない。
3つのレベルに分けて考えると、だいぶ現実的になる。

レベル1:プチ移住・長期滞在(1〜4週間〜数ヶ月)

  • 1〜2週間〜1ヶ月程度、いつもと違う場所で暮らしてみる
  • マンスリーマンションやAirbnb、ウィークリーホテルなどを使う

目的:

  • 「旅行」ではなく「仮暮らし」として体感する
  • 生活コスト・買い物・病院・子どもの環境などをざっくり確認する

まずは“お試しで住んでみる”段階
ここを飛ばして、いきなり移住はかなりリスキーだ。

レベル2:二拠点生活(季節ごとに場所を分ける)

  • 夏だけ涼しい地方
  • 冬だけ暖かいエリア
  • 平日はA拠点・週末はB拠点

ポイント:

  • 「どちらも本拠地」と思うとコストが膨らむ
  • 片方は「軽めの拠点」と割り切る(小さめの家/ホテル利用など)

二拠点生活は、
「固定費」と「移動コスト」をどう抑えるかがカギになる。

レベル3:本格移住(国内・海外)

  • 住民票を移す
  • 子どもの学校も現地
  • 医療・行政・税金も「新しい地域」が基本

チェックすべきポイントの例:

  • 医療体制
  • 子どもの教育環境
  • 仕事・収入源との距離
  • 災害リスク
  • 帰省・一時帰国のコスト

本格移住は、生活の大部分を“その場所に賭ける”選択になる。
レベル1・2を十分に試してからでも、まったく遅くない。


③ FIRE目線での「場所選びチェックリスト」

1. 生活コスト

  • 家賃・住宅コスト
  • 食費・日用品の価格感
  • 移動費(車・公共交通)

FIREの場合、
「月いくらで、どんな生活水準になるか」がかなり重要だ。

2. インフラ(医療・交通・ネット)

  • 病院の数・距離・診療科
  • 公共交通の有無・本数
  • ネット環境(在宅ワーク・趣味用)

病気になったときだけでなく、
定期検診や子どもの急な発熱も含めて考えておきたい。

3. 子ども・家族のライフイベント

  • 保育園・幼稚園・学校へのアクセス
  • クラブ活動や習い事の選択肢
  • 将来の進学(中学・高校・大学)との距離感

FIREを目指す本人にとっては魅力的でも、
子どもにとっては選択肢が減ることもある。

4. コミュニティと「話が合う人」の存在

  • 完全に知り合いゼロから始めるのか
  • 多少のツテや知人がいるのか
  • オンラインコミュニティで補えるのか

「話が通じる人が1人でもいるかどうか」は、
生活満足度にけっこう直結する。

5. 災害・気候リスク

  • 地震・津波・台風・水害などのリスク
  • 夏の暑さ・冬の寒さ
  • 年間を通じた暮らしやすさ

「旅行で行って気持ちよかった季節」だけで決めないのがポイント。


④ よくある失敗パターン

❌ 旅行先のテンションのまま決める

  • 「ここ最高!移住したい!」とその場で決める
  • その季節しか知らない
  • “生活の大変さ”を知らないまま決断する

❌ 固定費を一気に増やす

  • 今の家も残す
  • 移住先にも家を買う/長期契約する
  • 車ももう1台…と増やしてしまう

結果として、
「FIREのための資産」が“住居コスト”に食われていく。

❌ 元の地域とのつながりを完全に切る

  • 実家との距離が遠くなりすぎる
  • 友人と自然に会えなくなる
  • 「帰る場所」が心理的に遠くなる

「戻れる道」を残した設計にしておくと、
移住側の心理的プレッシャーもかなり軽くなる。


僕の感覚

FIRE後の「場所の自由」は、
人生の“舞台”を増やすためのものであって、
すべてを0か1で入れ替える話ではない。

まずは「長めの滞在」で試してみる。
二拠点という“グラデーション”を挟む。
それでも「ここだな」と思えたら、移住を検討する。

このくらいのステップで進めた方が、
「やってみてダメなら戻れる」余白が残る。


まとめ

  • FIRE後の「場所の自由」は、拠点の持ち方を設計し直す話
  • いきなり移住ではなく、プチ移住 → 二拠点 → 本格移住の3段階で考える
  • 旅行テンションだけで決めると、生活面でのギャップが大きくなりやすい
  • 生活コスト・医療・教育・コミュニティ・災害リスクは最低限チェック
  • 「戻れるルート」を残したまま場所の自由を試すと、心理的にもかなり楽

次回は、「FIRE後のお金との付き合い方」をテーマに、
減っていく資産への不安と、取り崩しとメンタルの付き合い方を整理する予定。

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30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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