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69.円安・円高でFIRE計画はブレる?──「通貨リスク」とどう付き合うかをシンプルに整理する

前回の記事では、

インフレ・物価上昇がFIREに与える影響と、
「予測」ではなく「耐性のある設計」を作る考え方

を整理した。

インフレとセットで、もうひとつ気になってくるのがこれ。

円安・円高が続いたら、FIRE計画ってブレない?

海外株・海外ETFを持っている人、
将来の海外移住やロングステイをうっすら考えている人ほど、
通貨リスクは無視できないテーマになってくる。

この記事では、「為替を当てる」のではなく、

通貨リスクと“うまく同居する”

という視点で整理していく。


目次

結論:為替は読めない。だから「円ベースで整える×通貨を分散しておく」が現実的

為替レートそのものは読めない前提でいい。
日本で暮らす限り、基準は「円ベース」で考える。
そのうえで、一部を外貨ベースで持っておくとバランスがいい。

「円だけ怖いから全部ドル」も違うし、
「為替が怖いから全部円」もまた極端だ。

ベース通貨(円)を決めたうえで、
外貨を“保険・分散”として持つイメージがちょうどいい。


為替がFIREに効いてくるポイント

① 外貨建て・海外資産の評価額が変わる

  • 円安 → 円換算の評価額アップ
  • 円高 → 円換算の評価額ダウン

ただし、現地通貨ベースでは何も変わっていないことも多い。
「表示の数字」が動いているだけ、というケースもある。

② 「どの通貨で生活するか」で影響が変わる

  • 日本に住み、日本円で生活 → 円ベースの資産・収入が重要
  • 海外移住も視野 → 住む国の通貨での生活費が重要

住む場所 × 生活通貨によって、通貨リスクの意味合いは変わる。

③ メンタル面で振り回されやすい

  • 円安ニュースを見るたび焦る
  • 「あのときドルを買っていれば…」と思いやすい
  • 円高になったらなったで落ち込む

だからこそ、
為替は「揺れるもの」としてセットで受け入れておく前提が大事だ。


FIRE目線での「通貨の基本設計」

① ベース通貨は「自分が主に暮らす国の通貨」

多くの人にとっては、まずこれ。

日本で暮らす予定であれば、
最初の基準は「円ベース」で考える。

  • 必要な年間生活費(円)
  • FIRE必要資産(円)
  • 資産推移シミュレーション(円)

この「円ベースのFIRE設計」が土台になる。

② そのうえで「通貨分散」として外貨を持つ

土台を円で作ったうえで、

  • 外貨建て投資信託
  • 海外ETF(ドル建て)
  • 外貨預金・外貨MMF など

で、一部を外貨でも持っておくとバランスが良い。

「円のリスクを、外貨で薄めておく」

くらいの感覚がちょうどいい。


よくある通貨構成のイメージ

※ 正解ではなく、「イメージ」の一例。

ケース① 日本定住前提/海外ETFも少し持つ

  • 円建て資産:70〜80%
  • 外貨建て資産:20〜30%

基本は「円で暮らす前提」だが、
通貨分散として外貨も程よく混ぜるパターン。

ケース② 将来、海外生活・二拠点も視野

  • 円建て資産:50〜70%
  • 外貨建て資産:30〜50%

日本と海外、どちらでもある程度動けるようにしておきたい人向け。

最初から完璧な比率を当てにいかず、
人生のフェーズに合わせて微調整していくイメージで良い。


為替“そのもの”を当てにいかない

通貨リスクの話になると、

  • 今は円安だから、これからは円高になるはず
  • 日本の将来が不安だから、全部ドルに逃がすべき

といった「予想合戦」になりがちだ。

でも現実には、

  • 為替レートを当て続けられる人はいない
  • 当たったかどうかは結果論でしかわからない

なので、「当てるゲーム」に参加しない方が、長期的には平和だ。

代わりに、

  • どの通貨で生活費を払うのか?
  • その通貨で何年分の生活費を確保できているか?
  • 円・外貨合わせて、全体としてリスクは取りすぎていないか?

といった「構造のほう」を重視した方が、FIREとは相性がいい。


FIREと外貨建て資産の付き合い方

① 「中身が円なのか・外貨なのか」を整理しておく

  • 日本の投資信託:円で買うが、中身はドル建て資産のこともある
  • 海外ETF:ドル建てで買い、そのままドルで持つ

見た目の通貨(円表示/ドル表示)と、
中身の通貨が違うことも多い。

年1回くらいは、

「この資産は、通貨ベースで見ると何割が円で、何割がドル・ユーロなのか?」

をざっくり眺めておくとよい。

② 取り崩しは「生活通貨」と合わせる

  • 日本で生活しているうちは、基本は円で取り崩す
  • 外貨建て資産から生活費を出すなら、為替コストや税金も含めた「手取り」を意識

外貨建て資産をどの順番で崩すかは、
税金・社会保険の話ともセットで考えたいポイントだ。

③ 「為替が極端に振れたとき」のマイルールを作る

  • 円安が急激に進んだら → 為替差益だけを狙って慌てて動かない
  • 円高が大きく進んだら → 外貨資産を少し増やすことを検討する

「●%以上の円安(円高)が続いたらこう動く」くらいの
ゆるいガイドラインを持っておくと、ニュースに振り回されにくい。


住む場所 × 通貨リスクのざっくり整理

住む場所については別記事で詳しく扱ったが、ここでは通貨の観点だけ触れておく。

日本定住メイン

  • 基本は円ベースで設計
  • 通貨分散として外貨資産を一部持つ
  • 旅行・短期滞在の外貨コストは「特別費」として扱う

海外移住・二拠点も視野

  • 住む(かもしれない)国の通貨も意識
  • 現地通貨建ての生活費をざっくり把握しておく
  • 長期的には「現地で少し稼ぐ」選択肢も通貨リスク緩和になる

どちらにしても、
「どこで・どの通貨で生きるか」を決めるのが先。
そのうえで資産・通貨の配分を調整していくイメージだ。


僕の感覚

通貨リスクは「怖がるもの」というより、
一生続く揺れとどう付き合うかの問題。

円だけでも不安。
外貨だけでも不安。
「どっちが正解か」を当てに行くと、ずっと落ち着かない。

だからこそ、

  • ベース通貨(生活通貨)を決める
  • 通貨をある程度ミックスして持つ
  • 為替に振られても、取り崩し・生活が即崩れない設計にしておく

この3つが整っていれば、

「円安が怖いからFIREできない」
「円高になったから人生終わった」

といった思考から、だいぶ自由になれる。


まとめ

  • 為替・通貨リスクは「読もうとしすぎない」前提でOK
  • 基準は「自分が主に暮らす通貨(多くの人は円)」
  • 円ベースでFIRE設計を作り、そのうえで外貨を分散として持つ
  • どの通貨で何年分の生活費を確保できているか?を意識する
  • 為替が大きく振れたときのマイルールを決めておくと、ニュースに振り回されにくい

次回は、「FIRE計画が“大きく想定外”にぶれたときの非常口設計」をテーマに、
予定外の大きな出費・ショックが起きたときのモード切り替えと、
それでも立て直していくための考え方を整理する予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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