前回の記事では、
FIRE後に支出が増えやすい理由と、使いすぎ・締め付けすぎの真ん中の作り方
について整理した。
ここまでくると、多くの人が一度は考える不安が出てくる。
物価がもっと上がったらどうする?
インフレで生活費が増えたら、FIREの計画って崩れない?
今日は、FIRE後のインフレ・物価上昇との付き合い方を整理していく。
結論:インフレは「完全コントロール」ではなく「逃げ道設計」で考える
インフレは「全部を読んでコントロールするもの」ではなく、
揺れたときの逃げ道をいくつか用意しておくもの。
ポイントは3つ。
- 生活側の柔軟性(動かせる支出を確保しておく)
- 収入側のオプション(少し働ける余地)
- 資産側の構成(インフレにそこそこ強い資産を混ぜる)
なぜインフレがFIREで怖く感じるのか?
① 生活費がじわじわ効いてくるから
- 食費・日用品・光熱費
- サービス料金・サブスク
- 外食・レジャー・交通費
② 固定の取り崩し額が「実質目減り」していくから
生活費を「毎年だいたい同じ金額」で想定していると、物価上昇とともに生活レベルが下がっていく。
③ どこまで上がるか「読めない」不確実性
未来のインフレ率は誰にも正確には読めない。それが不安を大きくする。
インフレに対して「全部を読もう」としない
インフレの数字を当てに行こうとすると、
シミュレーション沼にハマりやすい。
重要なのは、インフレ率を当てることではなく、
変化したときに動ける余白を作っておくこと。
視点①:生活側の“揺れ幅”を意識しておく
✔ 守る費用と動かせる費用に分ける
まず、生活費を2つに分けて考える。
- 守る費用:住居・基本の食費・光熱費・通信・最低限の教育・医療など
- 動かせる費用:レジャー・旅行・外食・カフェ・趣味・サブスク・グレードアップ系の支出
インフレが強くなったとき、
最初に調整するのは「動かせる費用」と決めておく。
✔ 「◯%上がったら、この順番で見直す」を決めておく
- サブスクの棚卸し
- 外食頻度の見直し
- 旅行の回数・単価の調整
事前に優先順位を決めておくと、パニックになりにくい。
視点②:収入側のオプションを1つは持っておく
インフレが長引いたとき、生活費の上昇を収入側で少し吸収できるとかなり楽になる。
✔ いきなりフルタイム復帰じゃなくていい
- 週1〜2日の仕事
- 短時間パート・アルバイト
- 小さな副業・フリーランス
- オンラインでの小さな収入源
「インフレがきつくなったら、このあたりから少し増やすかも」という候補だけ決めておいても安心感が違う。
✔ 収入オプションのメリット
- インフレ対策になる
- 社会とのつながりになる
- 「最悪、少し働けばいい」というメンタル面の保険になる
「まったく働かない前提」より、「必要なら少し働いてもいい前提」の方が、インフレには強い。
視点③:資産側で「インフレにそこそこ強い」構成にしておく
インフレに完全勝利するポートフォリオはないが、「そこそこ耐えられる構成」は作れる。
✔ ざっくりした考え方
- 長期的にインフレを上回りやすい資産(株式・インデックスファンドなど)
- 物価や賃料と連動しやすい資産(一部の不動産・REITなど)
- 現金・超安全資産だけに寄りすぎない
現金だけに大きく寄せると、「安心」は増えるが、
長期的にはインフレにじわじわ削られていくリスクもある。
✔ 「安心の現金」と「長期を守る成長資産」のバランス
- 現金:生活費◯年分(自分が落ち着くライン)
- 残り:インフレをある程度上回ることを期待できる成長資産
実務:インフレを前提にした“ざっくりチェック”のやり方
細かい予測より、年1回のざっくり点検で十分。
ステップ1:1年前と比べて、生活コストを体感で振り返る
- 全体的に何割くらい上がったと感じるか?
- 特に上がった項目はどこか?(食費・光熱費など)
ステップ2:「動かせる費用」で吸収できているかを見る
- 外食・レジャー・サブスクを少し絞って調整できるか?
ステップ3:どうしてもきついと感じたら、収入オプションを検討
- 週◯日だけ働くことを検討する
- 短期バイト・スポット仕事を入れる
- すでにある副業を少しだけ増やす
「インフレが数年続いたら、このくらい働き方を増やすかも」と、ざっくりシナリオを持っておくと安心。
インフレニュースに振り回されないコツ
毎日のニュースやSNSで「物価が」「インフレが」と見続けると、体感以上に不安が増える。
FIREの場合、
日々のニュースより、年1回の設計見直しの方が役に立つ。
「細かく予測する」より、
「変化をざっくり見て、必要なときだけ舵を切る」くらいでちょうどいい。
僕の感覚
インフレは「敵」ではなく、
付き合い方を決めておくべき前提条件のひとつ。
予測しようとしすぎるほど怖くなり、
コントロールしようとするほど消耗する。
生活・収入・資産の3つで“揺れ幅”を持たせておけば、
インフレは「怖いもの」から「面倒だけど対処可能なもの」くらいのサイズに小さくできる。
まとめ
- インフレは「FIRE終了のお知らせ」ではない
- 将来のインフレ率を当てようとするより、動ける余白を作る方がコスパがいい
- 生活費を「守る費用」と「動かせる費用」に分けておく
- インフレがきついときは、まず動かせる費用から見直す
- 収入オプションを1つ持っておくと、インフレ耐性が一気に上がる
- 資産構成は「現金だけに寄りすぎない」「成長資産も混ぜる」がポイント
- ニュースに振り回されず、年1回のざっくり点検で十分
次回は、「FIRE後の“制度変更・増税・社会保障の変化”とどう付き合うか」をテーマに、
ルール変更に振り回されないための考え方と、備え方を整理する予定。
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