前回の記事では、
インフレ・物価上昇がFIREにとって何が怖いのかと、
揺れたときの逃げ道を用意する考え方
について整理した。
ここまで来ると、もうひとつの「読めないもの」にぶつかる。
税金が増えたら?
社会保険料が上がったら?
年金制度が変わったら?
ルールが変わったら、FIREの計画って崩れない?
今日は、FIRE後の制度変更・増税・社会保障の変化との付き合い方を整理していく。
結論:制度は「変わる前提」で、“変わっても折れないFIRE”を目指す
制度や税制は「変わる前提」。
今のルールが永遠に続く前提ではなく、
変わりながら続いていく前提で設計する。
そのためのポイントは3つ。
- 支出・生活レベルに上下できる余白を作っておく
- 収入源をゼロ or フルの二択にせず、「増やせるオプション」を持つ
- 特定の制度に過度依存せず、年金・税制優遇・手当はボーナス扱いにする
なぜ制度変更・増税が怖く感じるのか?
① 自分では決められないものだから
税金・社会保険料・年金ルール・給付制度などは、
自分ではコントロールできない。
「がんばってもどうにもならないもの」に対して、人は強い不安を感じやすい。
② 数字で見ると「一気に持っていかれる」感覚があるから
- 増税・保険料アップ → 手取りダウン
- 給付縮小 → 将来受け取れるお金の減少
「せっかくFIREラインまで貯めたのに、ルール1つで崩れるのでは?」という不安が湧きやすい。
③ ネット情報が不安を煽りやすいから
- 「このままでは年金は破綻!」
- 「増税ラッシュで中間層オワコン!」
こうした強い言葉ほど拡散されやすく、体感以上に「終わった感」を覚えやすい。
発想の土台:「ルールは変わる前提」で設計する
制度や税制は一定ではなく、今後も変わっていく。
FIREの前提は「今のルールが永遠に続く」ではなく、
「変わりながら続いていく」に置き直した方が現実的だ。
✔ 「変わったら終わり」設計にしない
- この税制優遇がないと生活できない
- この控除がなくなったら破綻
- この給付が減ったら終わり
こうした設計にすると、ニュースが出るたびにメンタルが削られてしまう。
✔ 「変わったらどう調整するか」までをセットで決めておく
- 手取りが◯%減ったら、この支出から見直す
- 社会保険料が上がったら、働き方をこう調整する
- 年金が予想より少なかったら、◯歳まで少し働く
「変わってもまだ動けるライン」を持っておくことで、不安はかなり小さくできる。
視点①:支出・生活レベルに“上下できる余白”を持つ
制度変更・増税が来たとき、最初にコントロールしやすいのは支出・生活側だ。
✔ 「最低限ライン」と「標準ライン」を分けておく
- 最低限ライン:これを維持できれば、ギリギリ生活が回るレベル
- 標準ライン:今の生活満足度を保てるレベル
増税や保険料アップが来たとき、
一時的に「最低限ライン寄りに寄せる」という選択肢を持っておく。
✔ 固定費を高めにロックしすぎない
- 住宅ローン・高額家賃
- 車の維持費
- 高額サブスク・長期契約サービス
生活レベルを下げたくても下げられない固定費が多いほど、制度変更に弱くなる。
視点②:収入源を「ゼロ or フル」の二択にしない
制度変更で手取りが減る・負担が増えるとき、
少しだけ収入を増やせる余地があるかどうかで、受けるダメージはかなり違う。
✔ 完全に働かない前提にしない
- 週1〜2日だけ働ける仕事を持っておく
- 数ヶ月単位の短期で働く選択肢を持つ
- 副業・小さなビジネスを細く続けておく
「インパクトが出たら、このあたりから少し増やすかも」という収入オプションがあると、計画は折れにくい。
✔ 税制に合わせて“働き方のモード”を切り替えられると強い
- 社会保険の壁のライン
- 税率が変わる境目
- 各種控除の条件
これらをざっくり理解しておくと、
年間◯万円だけ仕事を増やす/あえて増やしすぎない など、
「制度を味方寄りに使う」動き方がしやすくなる。
視点③:特定の制度に“過度依存”しない
FIRE設計では、
- 公的年金
- 医療費負担の上限制度
- 退職金・企業年金
- NISA・iDeCoなどの優遇税制
に期待しすぎると、変更があったときのショックが大きくなる。
✔ 基本スタンスは「使えたらラッキー、変わったら調整」
- 年金:もらえない前提ではなく、「減るかもしれない前提」で見ておく
- 税制優遇:あったら楽になるボーナスであって、「これがないと成立しない」設計にしない
- 手当・給付:ライフプランの軸ではなく、おまけとして扱う
制度を「軸」にせず、「補助輪」にしておくことで、変更があっても計画全体は折れにくい。
実務:制度変更に強いFIRE設計を作るチェックリスト
年1回の「FIRE定期点検」の中に、制度・税制チェックを1項目だけ足すイメージ。
✔ チェック1:生活レベルに調整余地があるか?
- 固定費が増えすぎていないか?
- 標準ラインから最低限ラインに一時的に寄せる余地があるか?
✔ チェック2:収入オプションが生きているか?
- まったく働けない前提になっていないか?
- 増やそうと思えば増やせる仕事・副業を持っているか?
✔ チェック3:制度に過度依存していないか?
- 「この制度がなくなったら成立しない」部分がないか?
- 年金・優遇税制・手当をボーナス扱いできているか?
制度変更ニュースとの付き合い方
✔ 「今すぐ生活が変わるのか?」と「長期議論」を分けて見る
- 来年から変わるのか?
- 5〜10年スパンの議論レベルなのか?
今すぐ生活に効く話だけ、冷静に数字を見る。長期議論は「傾向を知る」程度で十分。
✔ 自分に関係するかどうかをざっくり確認する
- 年収帯・年齢・家族構成によって影響度は違う
- 「日本全体の問題」と「自分の生活へのインパクト」は分けて考える
すべてのニュースを自分ゴト化しすぎると、メンタルがもたない。
僕の感覚
FIREの成功は、「今ある制度を最大限に使い切ること」より、
「制度が揺れても立て直せること」に近い。
制度や税制はこれからも変わる。
どの方向にどのスピードで変わるかを正確に当てるのはほぼ無理だ。
だからこそ、
変わる前提で、変わってもまだ動ける設計を作っておくことに意味がある。
まとめ
- 制度変更・増税・社会保障の変化は「避けられない前提」
- ルールを完璧に予測するより、「変わっても調整できるFIRE」を目指す
- 支出・生活レベルに上下できる余白を作っておく
- 収入をゼロ or フルの二択にせず、増やせる蛇口を残す
- 年金・税制優遇・手当はボーナス扱いにして、過度依存しない
- ニュースは「今すぐ効く話」だけ冷静に数字を見る
次回は、「FIRE後の“家族イベント”(進学・介護・転職・離婚など)の揺れとどう付き合うか」をテーマに、
家族の人生イベントをFIRE設計にどう組み込むかを整理する予定。
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