前回の記事では、
FIRE後の「飽き・マンネリ・虚無感」は失敗サインではなく、
次のステージへの通知として使う
という話をした。
ただ、FIRE後のモヤモヤは「退屈さ」だけで終わらないことがある。
むしろ、静かな日々の中でふっと顔を出すのが、こんな感覚だ。
自分は、もう社会の役に立っていないのかもしれない。
誰にも必要とされていない気がする。
今日は、この「自己肯定感の揺れ」との付き合い方を整理していく。
結論:これは“価値がなくなったサイン”ではなく「土台のアップデート期」
FIRE後の「役に立っていないかも」は、
自己肯定感の土台をアップデートするタイミングのサイン。
ポイントは3つ。
- 会社員時代の「成果・役割ベースの自己評価」から一度降りる
- 誰かにとっての“小さな役立ち”を丁寧に拾い直す
- お金にならないけれど大事なことも、自分の価値としてカウントする
なぜFIRE後に「役に立っていない感」が出てくるのか?
理由① 「役割=自分」になりやすかったから
会社員時代は、部署・役職・担当業務・数字目標など、
「わかりやすい役割」と「評価」がセットになっている。
FIREすると、名刺・部署・評価面談をいったん手放すことになる。
頭では「役割と自分の価値は別」とわかっていても、
感覚としてはくっつきやすい。
理由② 「給料=役に立っている証拠」だと感じていたから
毎月の給料明細は、「社会との接続」と「家族を支えている感覚」をくれる。
FIRE後は、給料の代わりに「資産残高」が動く生活になる。
「もらう側」から「使う側」になった感覚が強まり、
自分は価値を生んでいないのでは? と感じやすい。
理由③ 比べやすい“共通の物差し”が消えるから
会社員同士なら、年収・ポジション・忙しさなど、
共通の物差しがたくさんある。
FIREすると、その土俵から降りた安心感と同時に、
「他人との比較の物差し」がなくなった不安感も出てくる。
自己肯定感の“土台”をアップデートする
① 「成果・役割ベース」から一段降りる
まず、
「役割があるから価値がある」「給料があるから価値がある」
という会社員モードの前提を、そのまま持ち込まない。
役割がなくなっても、人としての価値は減らない。
たまたま「会社員モードでは測りやすかっただけ」と捉え直してみる。
② 「していること」だけでなく「どう在るか」を評価に入れる
会社員時代の評価軸は、
- どれだけ売上を作ったか
- どれだけ成果を出したか
FIRE後に足したい評価軸は、
- 家族や周囲と、どんな関わり方をしているか
- 日常の中で、どんな感情を周りに渡しているか
- 自分の身体と心を、どう扱っているか
「在り方」を評価軸に入れないと、過去の物差しで自分を削り続けてしまう。
③ “お金にならない役立ち”をちゃんとカウントする
FIRE後の役立ちは、お金に換算されにくい形で現れやすい。
- 子どもと過ごす時間が増えた
- 親の通院や手続きをサポートしている
- パートナーのメンタルのセーフティネットになっている
- 地域活動・ボランティアを手伝っている
- ネット上の発信で、誰かの不安を軽くしている
これらは給料にはならなくても、誰かの人生のクオリティを確実に上げている。
「お金になること」だけを価値とすると、FIRE生活の価値は過小評価されてしまう。
実務としてできる“自己肯定感ケア”の工夫
① 「自分が役に立てた場面」をメモしておく
- 子どもが嬉しそうにしていた瞬間
- パートナーから「助かった」と言われたこと
- 友人や親の相談に乗ったこと
- 自分の発信に「参考になった」と反応があったとき
1日1個・1週間3個くらいのゆるさで、
「今日(今週)、自分が誰かの役に立てたこと」をメモしておく。
それだけでも、「何もしていない」という感覚の精度はかなり下がる。
② 自分なりの「貢献マップ」を作ってみる
紙に「家族」「友人・知人」「地域」「ネットの向こうの誰か」「未来の自分」などを書き、
それぞれにどんな形で貢献できているか/したいかを線でつないでみる。
すでにできていること・これからやりたい貢献の形が見えると、
「自分なんて何もしていない」が「まだできていないこともあるけど、もうやっていることもある」に変わりやすい。
③ 小さな“外との接点”を意識的に持つ
自己肯定感が落ちているとき、外界との接点が極端に減っていることが多い。
週1回だけ誰かと会う/話す場を作る、
趣味や学びの場で「顔なじみ」を増やすだけでも、自己認識は変わってくる。
④ あえて“少し責任のある役割”をひとつ持ってみる
完全に負荷ゼロだと、「自分はいなくてもいいのでは?」という感覚が増幅しやすい。
月1回の当番・小さな運営手伝い・初心者サポートなど、
「やらなくても生活はできるけど、やった方が誰かが助かる役割」をひとつ持つと、
自分がいる意味を実感しやすくなる。
僕の感覚
FIRE後に自己肯定感が揺れるのは、
「会社員用の自己評価スケール」から、
「人間としてのスケール」に移行する途中の揺れに近い。
昔の物差しで見れば「無職」かもしれない。
でも別の物差しで見れば、
「家族の時間を増やした人」「自分の心と体を守った人」、
「お金以外の形で誰かの役に立っている人」とも言える。
どの物差しを優先するかを選び直すこと自体が、
FIRE後の自己肯定感の再構築だと思っている。
まとめ
- FIRE後の「役に立っていないかも」は、価値喪失ではなく“自己評価の土台の移行期”
- 会社員用の成果・役割ベースの物差しから一度降りてみる
- 在り方・関わり方・お金にならない役立ちも、自分の価値としてカウントする
- 役に立てた場面メモや貢献マップで、感覚と現実のギャップをならす
- 小さな外との接点と、少し責任のある役割をひとつ持つと安定しやすい
次回は、「FIRE後の“比較グセ”とSNS疲れ──他人のFIREと比べて落ち込む問題」をテーマに、
情報との距離の取り方や、「自分レーン」に戻るための考え方を整理する予定。
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