前回の記事では、
FIRE後の「やりたいことリスト」がノルマ化してしまう問題と、
リストを「全部やる前提」から「テーマごとに味わうメニュー表」に変える考え方
を整理した。
やりたいことのテーマが少し見えてくると、次のような揺れが出てくるかもしれない。
本当はもっと成長したい、学びたい、チャレンジしたい。
でも、もう頑張るのはしんどい…。
FIREしたのに、また「がむしゃらモード」に戻るのは嫌だ。
この記事では、「成長したい自分」と「もう頑張りたくない自分」の両方を抱えたまま、
FIRE後のちょうどいいペースをどう決めるかを整理していく。
結論:「常に成長モード」でも「何もしないモード」でもなくていい
FIRE後は、回復モード・維持モード・成長モードの3つを行き来しながら、
今の自分の体力とメンタルに合ったギアを選べれば十分。
小さなチャレンジを淡々と積むくらいが、ちょうどいい。
そもそも、なぜ揺れるのか?
① 「成長したい」は、ごく自然な感情
FIREしても、
- できることが増える喜び
- 知らなかった世界を知る楽しさ
- 誰かの役に立てたときの手応え
を求めるのは、ごく自然なことだ。
お金のためじゃなくても、
自分のために学びたい・成長したい。
という欲求が出てくるのは、むしろ健全だと思う。
② 一方で、「もう頑張りたくない」も本音
長年の会社員生活や、育児・介護・責任の重い仕事を経験してきた人ほど、
- もう締め切りに追われたくない
- もう評価に怯えたくない
- もう「足りない自分」を責めたくない
という思いも、同じくらい強い。
成長したい自分と、守りたい自分が、
同時に存在している状態。
どちらかが間違いなのではなく、どちらも大事なサインだ。
③ FIRE前と同じ“頑張り方”をイメージしてしまう
多くの人がハマるのがここ。
- 成長=歯を食いしばって頑張ること
- 学び=時間もお金も全力で注ぎ込むこと
- チャレンジ=リスクを背負ってアクセル全開
という「会社員モードの成長イメージ」のまま、FIRE後も考えてしまう。
その結果、
- そこまでして頑張りたくない → 何もしない
- せっかくFIREしたのに頑張ってない → 自己嫌悪
のどちらかに振れやすくなる。
3つのモードで考える「成長ペース」
常に成長モードでいる必要はない。
今の自分がどのモードにいるかを、意識的に選べればそれで十分だ。
① 回復モード(エネルギーを貯めるフェーズ)
- 心身ともに疲れているとき
- 退職・引っ越し・出産など、大きな変化が続いたあと
- 「新しいことを始める気力が出ない」時期
このモードの仕事は、
- よく寝る
- ぼーっとする時間を増やす
- 身体を整える(散歩・ストレッチなど)
- やることリストを「減らす」
何もしていないのではなく、
次のフェーズのために「回復している」。
② 維持モード(今の暮らしを安定させるフェーズ)
- 生活リズムがだいたい整っている
- 体力もメンタルも、そこそこ安定している
- 無理なく続けられる習慣をキープしたい
このモードでは、
- すでにある習慣(運動・読書・趣味など)を淡々と続ける
- 新しいことは「週に1つ小さな試し」をする程度
- 無理に大きなチャレンジは入れない
「キープする」で十分合格。
ここがベースキャンプ。
③ 成長モード(ギアを一段だけ上げるフェーズ)
- 新しいことにチャレンジしたい気分
- 体力もメンタルも、比較的安定している
- 1つのテーマに少し集中して取り組んでみたい
このモードでは、
- テーマを「1つ」に絞る(例:英語/ブログ/運動など)
- 期間は「3か月〜半年」くらいに限定する
- 毎日ではなく「週◯コマだけ」時間を確保する
一生全力ではなく、
「ちょっとだけギアを上げる」くらいがちょうどいい。
自分の“今のモード”を知るミニチェック
紙やメモアプリに、次の3つを書いてみる。
- 体力:0〜10点で言うと、今どれくらい元気?
- メンタル:朝起きたときの「今日もやるか」の感覚は何点?
- 好奇心:新しいことに手を出したい気持ちはどれくらい?
大ざっぱでOK。
- 体力・メンタルともに5点未満 → 回復モード
- 5〜7点くらい → 維持モード
- 7点以上で好奇心も高い → 成長モード
モードがわかれば、「今の自分には、このくらいが適量だな」が見えやすくなる。
FIRE後にちょうどいい“ゆるい成長戦略”
① 成長テーマは「同時に1つだけ」にする
英語も、資格も、ブログも、筋トレも…と一度に増やしすぎると、
あっという間に「会社員時代の多忙モード」に逆戻りする。
成長モードに入るときは、「1テーマだけ」に絞る。
- 例:今期(3〜6か月)は「英語」をメインにする
- 例:今年前半は「体を整える」、後半は「文章を書く」
② 週の中で「成長枠」を決める
「毎日1時間やるぞ」より、「週のコマ数」で決めた方がFIREとは相性が良い。
- 週2〜3コマだけ、成長テーマの時間を確保する
- 例:火・木の午前中1時間ずつ/土曜の朝だけ2時間 など
それ以外の時間は、「成長してなくてOK」にしてしまう。
このくらい緩くした方が、長い目で見ると続きやすい。
③ チャレンジは「小さく・短く」刻む
がっつりやろうとすると、「もう頑張りたくない自分」が全力でブレーキを踏む。
- 1回15〜30分
- 1ステップは「これだけやればOK」という小ささ
- 1〜2週間で終わるミニゴール
このくらい小さく刻むと、
これくらいなら、やってもいいか。
と、守りたい自分も納得しやすい。
④ 「頑張りたくない自分」にも役割を与える
「もう頑張りたくない」という声は、単なる怠けではなく、
- オーバーワークのサイン
- 無理なペースへの警告
- 自分を守ろうとしてくれているブレーキ
でもある。
止めようとしてくれてありがとう。
じゃあ、このくらいのペースで試してみるね。
というふうに、内側の声と“交渉”するイメージで付き合っていく。
僕の感覚
FIRE後の成長は、会社員時代のような「アクセル全開の成長」とは別物として捉えた方がしっくりくる。
歯を食いしばる時間を減らし、小さな好奇心をつないでいく。
「今日は進んでない日」があってもOKにする。
このくらい“ゆるい成長戦略”の方が、時間の自由を手に入れたFIREとは相性がいい。
成長したい自分も、もう頑張りたくない自分も、
どちらもちゃんと抱えたまま進めるペース。
その「ちょうどよさ」を探すこと自体が、FIRE後の一つの学びだと思う。
まとめ
- FIRE後も「成長したい自分」と「もう頑張りたくない自分」は同時に存在する
- どちらかが間違いなのではなく、どちらも大事なサイン
- 回復モード・維持モード・成長モードの3つを意識して、今のギアを選ぶ
- 成長テーマは「同時に1つだけ」、週の中で「成長枠」を2〜3コマ決める
- チャレンジは15〜30分の小さなステップに刻むと続きやすい
- FIRE後の成長は「全力疾走」ではなく、「ゆるく続くペース」を見つけるゲーム
次回は、「FIRE後の“飽き”やマンネリ感とどう付き合うか」をテーマに、
どんな暮らしにもやってくる「慣れ」との付き合い方や、日常を少しだけ面白くする工夫について整理する予定。
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