前回の記事では、
FIRE後に、周りと話が合わなくなってくる感覚と、
自分のレーンを静かに守るための人間関係の距離感
について整理した。
もうひとつ、FIRE後にじわじわ顔を出しやすいのがこれだ。
で、これから自分は何を目指せばいいんだろう?
お金の目標はいったん区切りがついた。
会社のレースからも一歩引いた。
でも、「次のゴール」がよく分からない——。
この記事では、FIRE後の「ポスト目標ロス」とどう付き合うかを整理していく。
結論:「大きなゴール」ではなく“生き方の方向性”を決めるフェーズ
FIRE後は、「次のでかい目標」を急いで作るフェーズではない。
これからの生き方の方向性を、ゆっくり決め直していくフェーズ。
- 数字ベースの目標はいったんゆるめていい
- 「何者になりたいか?」は急いで決めなくていい
- 「どう在りたいか?」を少しずつ言葉にしていけばいい
なぜFIRE後、「何を目指せばいいか分からない」のか?
① ずっと「ゴール型の人生」を走ってきたから
受験、就職、昇進、年収アップ、そして資産目標。
多くの人が、「分かりやすいゴール」に向かって走ることに慣れている。
FIREもまた、その延長線上に置きやすい。
資産◯◯円貯める。
4%ルールのラインに到達する。
そしてそれをある程度達成したあと、いきなり「次は?」と問われる。
ゴール型の人生しかやってこなかった人ほど、ここで固まりやすい。
② 「数字で測れない目標」に慣れていないから
FIREまでは、資産額・年収・貯蓄率といった、数字で測れるものを目標にしてきた。
一方、FIRE後に問われるのは、
- 心の余白
- 毎日の満足度
- 家族との時間の質
- 心身の健康状態
など、数字ではきれいに測りづらいものばかり。
「うまく言葉にできない」「正解が分からない」と感じて当然だ。
③ 周りに「参考になるロールモデル」が少ないから
30〜40代で仕事を少し減らしたり、セミリタイア気味に生きている人は、まだ少数派だ。
だから、
- どう過ごすのが普通なのか
- 何を目指しているのが正解なのか
のイメージがつきづらい。
「この先どういう絵を描けばいいのか」が、ぼんやりしたままになりやすい。
FIRE後、「これからどう生きるか」を決めるためのヒント
① いきなり「大きな目標」を決めなくていい
FIRE後すぐに、第二のキャリアや大きなプロジェクトを設定しようとすると、
またレースに戻ってしまいやすい。
とりあえず1〜2年は「模索期間」。
最初から永続的な答えを出そうとしない。
一生ものの目標を、今すぐ決める必要はない。
② 「ベクトル」と「仮テーマ」だけ決める
FIRE後の目標は、「ガチガチのゴール」よりも「ゆるいベクトル」の方が機能しやすい。
たとえば、
- 家族との時間を増やす方向
- 体と心を整える方向
- 好きな分野の学びを深める方向
- 小さな仕事・活動を育てる方向
といった「どっち側に歩いていきたいか」だけ決めるイメージだ。
そのうえで、
- 今のシーズン(半年〜1年)は「健康」と「家族時間」に振る
- 次のシーズンは「学び」と「小さな仕事」を少し増やす
のように、“シーズン制”でゆるくテーマを切り替えていくと動きやすい。
③ 成果目標ではなく「状態目標」を置いてみる
FIRE後は、「何を達成したか」より「どう在れているか」を目標にした方がしっくりきやすい。
たとえば、
- 毎日30分は体を動かしている
- 週に1日は完全オフ
- 月に1回は家族で新しい場所に出かける
- 毎週◯時間は、純粋に好きなことの時間にする
こうした「状態」や「習慣」をゴールにする。
数字としての成果は、その先に“おまけ”でついてくるくらいの感覚でいい。
④ 「小さなプロジェクト」を量産してみる
いきなり一生モノのライフワークを見つけようとすると、動きが止まりやすい。
代わりに、
- 3ヶ月だけブログを書いてみる
- 半年だけオンライン講座を受けてみる
- 1年間だけ地域の活動に参加してみる
- あるテーマの本を◯冊だけ集中的に読む
といった、小さな「お試しプロジェクト」をいくつか同時並行で回してみる。
FIRE後の目標は、「考えてから動く」より、
「動きながら、だんだん見えてくる」方が自然。
⑤ 「目標がない自分」を一度、許可してみる
FIRE後しばらくは、特に大きな目標がなく、ゆるやかに暮らしているだけ、でもいい。
ここで大事なのは、何もしていない自分を責めすぎないこと。
こんな時期があってもいい。
一度そう自分に許可を出してみる。
「目標がない自分」にOKを出せる人ほど、あとから自然な形で「やりたいこと」がにじみ出てくる。
僕の感覚
FIREは「最後のゴール」ではなく、
目標の立て方を一度リセットするイベント。
これまでは「外側の物差し」(年収・肩書・資産)中心。
ここからは「内側の物差し」(心地よさ・充実感・誰と生きるか)中心。
そのシフトを、急がずゆっくりやっていけばいいと思っている。
大きな目標をすぐに作れなくても、それは怠けではない。
「ようやく、自分のペースに戻る準備をしている状態」くらいに捉えておくと、心が少し軽くなる。
まとめ
- FIRE後、「これから何を目指せばいいか分からない」はよく起きる
- ずっとゴール型の人生を走ってきた人ほど戸惑いやすい
- 数字で測れない目標に慣れていないのも、ごく自然なこと
- いきなり“一生モノの目標”を決めなくていい
- ベクトルと「今シーズンの仮テーマ」だけ決める
- 成果目標より「状態目標(どう在りたいか)」を置いてみる
- 小さなプロジェクトを試しながら、だんだん輪郭をつかめばいい
- 「目標がない自分」を一度許可できる人ほど、あとから自然な目標がにじみ出てくる
次回は、「FIRE後も、つい“もっと成長しなきゃ”と自分を追い立ててしまう問題」をテーマに、
成長したい気持ちと、もう頑張りすぎたくない気持ちのちょうどいい折り合い方を整理する予定。
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