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91.FIRE後、「自分って何者なんだろう?」問題——肩書きのない人生をどう受け止めるか

前回の記事では、

FIRE後、「自分にだけやたら厳しくなる」問題と、
成果ベースの自己評価から自己信頼ベースへ切り替える考え方

について整理した。

そこから自然に出てくるのが、こんな感覚だと思う。

会社も辞めて、肩書きもなくなって、
今の自分って、いったい何者なんだろう?

「何をしている人ですか?」と聞かれると詰まる。
「無職」と言うには違和感がある。
かといって、胸を張って名乗れる肩書きもない。

今日はこの「FIRE後の“何者でもなさ”の不安」と、
肩書きのない人生をどう受け止めていくかを考えていく。


目次

結論:ラベルがないのではなく、「自分の言葉」がまだ追いついていないだけ

FIRE後の「何者でもない不安」は、
ラベルが消えたからではなく、
“自分の言葉で自分を説明する経験”が少なかっただけ。

  • 会社の肩書きに、自己紹介を丸投げしてきただけ
  • ラベルがなくなった時間は、「自分の軸を試し書きする期間」
  • きれいな肩書きより、「何を大事にして、どんな時間を過ごしているか」をゆるく語れれば十分

なぜFIRE後、「何者でもない不安」が出てくるのか?

① 会社の肩書きが、自己紹介を代行してくれていたから

会社員のあいだは、

  • 「◯◯会社で××をやっています」
  • 「△△業界で営業をしています」

と言えば、だいたいの説明が済んだ。

つまり、
自己紹介の8割くらいを、肩書きが代わりにやってくれていたとも言える。

FIREすると、その看板が外れる。

  • 「今は何をしてるんですか?」
  • 「お仕事は?」

と聞かれたとき、
自分の言葉で一から組み立てないといけない。
その「手持ちの文章がない」状態が、不安の正体に近い。

② 「わかりやすい役割の人だけが価値がある」という思い込み

SNSやニュースで取り上げられるのは、

  • すごい実績の人
  • 分かりやすい専門家
  • 明確な肩書きを持つ人

が多い。

その景色を見続けていると、

「何者か」でなければ価値がない

ような感覚になりがちだ。

でも、実際の生活を支えているのは、

  • ただ家族と普通に暮らしている人
  • 地域で静かに関わり続けている人
  • 名前の出ない仕事をコツコツ支えている人

のほうが圧倒的に多い。

「わかりやすい肩書き=価値」ではない。
ここを少しほぐしておくことが大事だ。

③ 「肩書きがない=中身がない」と感じてしまう

肩書きがあった時期は、

仕事をしている自分、忙しく動いている自分

を通して、「自分には役割がある」と感じられていた。

肩書きが外れると、

  • 何か大きなことをしていないと意味がない気がする
  • 成果を出していない期間は、空白に感じてしまう

という感覚になりやすい。

でも実際には、

  • 家事や育児
  • 親のサポート
  • 自分の健康づくり
  • 学び直し・実験期間

といった、目に見えにくい「ちゃんと生きている時間」が、たくさん存在している。


「何者でもない」は、実は“余白”に近い

① ラベルのない時間は、「色を混ぜ直せるキャンバス」

肩書きがある状態は、

  • 「会社員としての自分」
  • 「◯◯業界の人としての自分」

という「色」が、ある程度決まっていた状態だった。

ラベルを外すことは、一度「無色」に戻るような感覚に近い。

無色=空っぽ ではなく、
無色=どんな色も混ぜていい余白

と捉え直してみる。

  • ちょっとだけ創作を混ぜてみる
  • 家族時間を増やしてみる
  • 地域活動を少し試す
  • 学び直しの時間を差し込んでみる

この「混ぜてみる期間」そのものが、FIRE後の大事なプロセスになる。

② 「ゆるい肩書き」を自分で作ってみる

いきなりかっこいい肩書きを考える必要はない。
むしろ、

ざっくりした“ゆるい肩書き”を、自分で試し書きしてみる

くらいでちょうどいい。

たとえば:

  • 「半分育児、半分個人プロジェクトの人です」
  • 「家族時間多めの、ゆるいフリーランスっぽいことをしている人です」
  • 「今は学び直し&小さな仕事づくりの実験中の人です」

ポイントは、「職業名」ではなく、
「時間の使い方」と「大事にしている軸」で自分を説明してみること。


他人にどう説明するか?——FIRE後の自己紹介テンプレ

① カジュアル版:「◯◯しながら、◯◯してます」

日常会話で使いやすいのは、この形。

今は◯◯しながら、◯◯してます。

例:

  • 「今は子どもの送り迎えをしつつ、空き時間にブログを書いてます」
  • 「今は前の仕事を辞めて、資産運用しながら、少しだけ在宅の仕事もしています」
  • 「今は勉強し直しながら、ちょっとずつ小さなビジネスのタネを試してます」

職業名を決めにいくのではなく、「時間の流れ」をそのまま話すイメージ。

② きちんと説明したい相手向け:「元◯◯で、今は△△に時間を使っています」

すこし真面目に話すときは、

元◯◯で、今は△△に時間を使っています。

という構文が使いやすい。

例:

  • 「元メーカーのエンジニアで、今は育児と資産運用、それから執筆に時間を使っています」
  • 「元◯◯業界の営業で、今は在宅での仕事と、地域の活動に関わっています」

過去の肩書きも借りつつ、
今の時間の使い方にフォーカスする。

③ 面倒なときの“ざっくり肩書き”

正直、毎回ちゃんと説明するのが面倒なときもある。
そういうときの“逃げ道”として、

  • 「いちおう自営業(フリーランス)です」
  • 「今は在宅でできる仕事を少ししています」

と、ざっくりしたラベルを一つだけ借りておくのもアリだ。

本当はFIRE後の複雑な背景があるけれど、そこまで説明するほどの関係性ではない人に対しては、
“ざっくり肩書き”を一つ持っておくと、気持ちがラクになる。


自分の中の「自己紹介文」をアップデートする

① 自分に向けた自己紹介を書いてみる

FIRE後は、他人向けの自己紹介よりも、
自分の中で腑に落ちる「自分の説明」を持てるかどうかのほうが大事だ。

ノートに、こんな項目で書いてみる。

  1. 今、大事にしているものは何か?
    家族時間 / 自由度 / 健康 / 学び など
  2. 今、どんなことに時間を使っているか?
    育児 / 執筆 / 創作 / 投資の勉強 / 散歩 など
  3. これから、どんな方向に少しずつ動きたいか?
    仕事を少し増やしたい / 地域とのつながりを増やしたい / 趣味のアウトプットを増やしたい など

これをつなげて、

今の自分は、◯◯を大事にしながら、△△に時間を使っていて、
これから少しずつ□□の方向に動いていきたい人。

くらいまで書けたら、それで十分「自己紹介」になっている。

② 「今年の自分は、何を増やして、何を減らしたか?」で振り返る

肩書きがないと、1年を振り返ったときに「何もしていない」ように感じやすい。

そこで、

今年は、どんな時間を増やして、どんな時間を減らしたか?

という観点で振り返ってみる。

増やしたもの:

  • 家族との外出
  • 散歩・運動
  • 読書や学び直し
  • 自分で考える時間

減らしたもの:

  • 残業
  • 無理な付き合い
  • 通勤時間
  • SNSのイライラ時間

これだけでも、

自分は「何もしなかった」のではなく、
「時間の配分を大きく作り変えた1年だった」

と、見え方が変わる。


僕の感覚

FIREは「肩書きを失う」話ではなく、
自分の時間を取り戻して、
その時間を何に使うかを試し直すプロセスだと思っている。

ラベルがない不安は、「言葉が追いついていないだけ」。
きれいな肩書きより、「どんな1日を過ごしているか」のほうが本質。
自己紹介文は、完成させるものではなく、毎年書き換えていいもの。

このあたりをゆるく許可しておくと、FIRE後の「何者でもなさ」は、
空白ではなく“余白”として扱えるようになっていく。


まとめ

  • FIRE後、「自分って何者なんだろう?」という不安はよく出てくる
  • それは「ラベルがないから空っぽ」ではなく、
    自分の言葉で説明する経験が少なかっただけ
  • 会社の肩書きが自己紹介を代行してくれていたことに気づく
  • 「わかりやすい役割の人だけが価値がある」という思い込みを手放す
  • 無色=空っぽではなく、「どんな色も混ぜていい余白」と捉え直す
  • 実務的なコツ:
    • 「今は◯◯しながら、◯◯しています」テンプレを持っておく
    • 元◯◯+今の時間の使い方で説明してみる
    • 自分向けの自己紹介文をノートに書いてみる
    • 「今年は何を増やして、何を減らしたか?」で1年を振り返る

次回は、「FIRE後、“目標がない不安”と“目標を詰め込みすぎる焦り”」をテーマに、
目標とのちょうどいい距離感について整理する予定。

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30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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