前回の記事では、
FIRE後に「もう一度働きたくなったとき」の戻り方と、
戻る=失敗ではなく“モード切り替え”として捉える発想
について整理した。
ここまで来ると、こんな人もいると思う。
そもそも完全FIREまでは行かなくていいかも。
でも、FIREの考え方は働き方に活かしたい。
今日は、完全FIREを目指さなくても使える「FIRE思考のエッセンス」と、
それをふつうの働き方・会社員生活にどう混ぜるかをまとめておきたい。
結論:FIREは「辞めるかどうか」の話だけじゃない
FIREは「会社を辞めるかどうか」の話ではなく、
生活費・自由度・働き方をセットで設計する
“フレームワーク”として使える。
完全FIREを目指さなくても、会社を辞めなくても、
FIREの考え方だけ取り入れるだけで、
働き方のストレスはかなり下げられる。
「FIRE思考」のエッセンスはこの3つだけ
① まず「生活費ベース」で考える
従来の働き方:
年収はいくら欲しいか?
できるだけ多く稼いだ方が安心。
FIRE思考:
うちの生活が“普通に幸せ”で回るラインはいくらか?
その生活費を満たせれば、あとは「プラス」扱いでいい。
「最低限ライン」と「ふつうに幸せライン」。
この2本が分かるだけで、転職・残業・副業の判断がラクになる。
② 「資産」と「労働収入」の役割分担を決める
従来の発想:
とにかく年収を増やす → 余った分を貯める。
FIRE思考:
生活費のどこまでを「労働」に任せるか。
どのくらいを「資産の力」に任せたいか。
すべてを労働に背負わせず、
一部を長期投資や取り崩しに任せるだけでも、
「今の仕事への依存度」が少し下がる。
③ 働き方を「0か100」ではなく、連続体で見る
よくある2択:
- フルタイム正社員でフルコミット
- 完全FIREで一切働かない
FIRE思考では、こう捉える。
いまの立ち位置は「フルタイム寄り」でもいい。
ただ、将来いつでも「週3」「フリーランス」「短時間勤務」に
寄せられる“レール”だけは持っておく。
「いつでもそっちに寄せられる設計か?」を意識するだけでも、
心の中に“逃げ場”がひとつ増える。
会社員のまま「FIRE思考」を混ぜる具体例
① 生活費の「ミニマムライン」と「これ以上削らないライン」を決める
- ミニマムライン:最低限、生活が回る金額
- これ以上削らないライン:ここを下回ると幸福度が下がりすぎる金額
この2本があると、
年収が少し下がる転職や、残業が減る代わりに手当が減る選択も、
ミニマムラインは守れているからOK。
この条件なら、自由時間の方を優先してもいい。
と判断しやすくなる。
② 「生活費+αでOK」という“満額ライン”を決める
従来:
もっと年収が欲しい。まだ足りない気がする。
FIRE思考:
生活費+将来の貯蓄・教育費に、
月◯万円乗せられればOK。
それ以上は、「あればうれしいけど、なくてもいいオマケ」。
この“満額ライン”があると、
- ボーナスのために無理な残業を飲むか
- 昇進と引き換えに自由時間を差し出すか
の判断でブレにくくなる。
③ 働き方の判断軸を「自由度が上がるか?」にする
転職・異動・昇進・副業などの選択肢が出てきたら、
- 年収がいくら上がるか?
だけでなく、
- 時間や場所の自由度は上がるか?
- 家族との時間は増えるか?
- 心の余白は増えるか?
も一緒に見る。
「自由度」という軸があるだけで、
見える景色が変わる。
キャリア設計に「ミニFIRE発想」を混ぜる
① 人生のどこかで「サバティカルモード」を入れられないか考える
- 5〜7年働いたら、半年〜1年の長い休みを取る
- 育休・介護休暇・留学・転職の合間を「FIRE寄りモード」として使う
完全FIREを目指さなくても、人生のどこかで
「ほぼFIRE状態」を挟むだけで、消耗度はかなり違う。
② セミFIRE寄りの働き方に寄せる
- 正社員だけど週4勤務にする
- フルタイムのまま、裁量労働やリモート比率を増やす
- 残業前提の職場から、残業少なめの職場へ移動する
「年収マックス」を狙う代わりに、
「FIRE的な自由度」を上げる方向に舵を切る。
③ 副業で「会社以外のレーン」を細く作っておく
- すぐに独立するつもりはなくても、月1〜3万円の副業を育てる
- 会社以外の収入源を細く持っておく
それだけでも、将来セミFIREに寄せたくなったとき、
移行がスムーズになる。
メンタル面でのメリット
① 「一生この働き方」という呪いから解放される
FIRE思考を取り入れると、
今の働き方が“一生続く前提”じゃなくなる。
「この会社で何十年も…」という圧迫感や、
「今の年収レベルを死守しないと…」という不安から、
少し距離が取れる。
② 今の仕事が「仮のベースキャンプ」に見えてくる
いまはここでキャッシュフローを安定させる。
資産を育てつつ、将来の選択肢を増やす。
タイミングが来たら、別の働き方にスライドしてもいい。
今の仕事=永住地ではなく、
「次の場所に移るためのベースキャンプ」と見えるだけで、
しんどさが少し軽くなる。
③ FIREを「逃げ場」ではなく「選択肢」として持てる
FIREを「すべてが嫌になったときの出口」としてだけ見ると、
いまの仕事が全て「悪」に見えてしまう。
FIRE思考を日常に混ぜておくと、
- 今の仕事の中で、FIRE寄りの工夫ができる
- 完全に辞めなくても、自由度を上げられる
という「中間地点」が増える。
「FIRE思考」の取り入れ方でハマりがちな罠
① FIREコンテンツを見すぎて、今の現実を否定し始める
- SNSで超早期FIRE勢ばかり眺める
- 今の自分の働き方と比べて、全部イヤになる
思考としてはFIRE寄りなのに、現実は何も変わらず、
メンタルだけすり減るパターンになりがち。
すぐには変えられないけれど、
今日の意思決定を1ミリだけFIRE寄りにする。
くらいの温度で混ぜるのがちょうどいい。
② 今の仕事を「悪者」にしてしまう
- 「会社=人生を奪う敵」
- 「上司=自由の敵」
と見始めると、日常が戦場モードになる。
FIRE思考は、「会社をどう倒すか」ではなく、
会社との距離感をどう設計するか
の話。
給与をもらいながら将来の選択肢を育てる場所、
社会と接続しつつFIRE的な自由度を少しずつ高める場所、
という“使い方の視点”で見てみるのがおすすめだ。
僕の感覚
FIREは、「全員が完全FIREを目指すべき」思想ではなくて、
働き方と生き方を見直すための「大きめのヒント集」に近い。
完全FIREまで行く人もいれば、セミFIRE寄りで落ち着く人もいるし、
考え方だけ取り入れて、「会社員+ちょっとFIRE思考」で終わる人もいる。
どのパターンも、ちゃんと“FIREの恩恵”を受けた人だと思う。
まとめ
- FIRE思考は、「辞めるかどうか」だけの話ではない
- 生活費ベースで働き方を考えると、判断がラクになる
- 資産と労働収入の役割分担を決めるだけでも、仕事への依存度が下がる
- 働き方を0か100ではなくグラデーションで見ると、“逃げ場”が増える
- 完全FIREを目指さなくても、少し混ぜるだけで働き方の息苦しさは軽くできる
次回は、「FIREの“正解探し”から降りる」をテーマに、
情報に振り回されず、自分版ルールブックを作る方法を整理していく予定。
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