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96.FIREの“正解探し”から降りる──情報に振り回されず「自分版ルールブック」を作る方法

前回の記事では、

完全FIREまで行かなくても「FIRE思考」だけ働き方に混ぜる、
生活費・自由度・働き方をセットで設計する、
0か100ではなくグラデーションで生き方を決める

という話をした。

ここまで来ると、こんな悩みも出てくる。

じゃあ結局、情報が多すぎる中で
「自分はどう決めればいいの?」
何が正解なのか分からない…。

今日は、「正解探しゲーム」から降りる考え方と、
自分と家族にとっての“暫定の正解”を決めるための「FIREルールブック」の作り方を整理する。


目次

結論:FIREには「全員共通の正解」はない

FIREには「全員共通の正解」はない。
あるのは「自分たちの条件の中での“使えるルール”」だけ。

ネットの情報は「材料」、本や有名人のFIREは「サンプル」。
その中から、“うち仕様”にカスタマイズした「自分版ルールブック」を持てる人が一番強い。


なぜFIREは「正解探しゲーム」になりやすいのか

① 情報量が多すぎる

書籍、ブログ、SNS、YouTube…毎日、新しい“もっともらしい意見”が流れてくる。

読むほどに、

あっちの戦略も良さそう。
こっちの意見も確かに一理ある。

と、どんどん決めづらくなる。

② 成功例だけが目に入りやすい

早期FIREでうまくいった人、暴落でもガチホして大勝ちした人のストーリーは目立つ一方で、
途中で戦略を変えた人、セミFIREに切り替えた人の声はあまり届かない。

“派手な成功例”を基準にすると、自分の現実が「全部足りない」ように見えてしまう。

③ 不安が強いほど「正解」が欲しくなる

  • 家族がいる
  • 住宅ローンがある
  • 仕事を辞めたら戻るのが大変そう

こうした現実が重いほど、

絶対に失敗しない“正解ルート”を知りたい…

という気持ちが強くなる。

でも、残念ながらFIREには
「誰にでも当てはまる完全な正解」は存在しない。


正解探しから「マイルール作り」へ

ここで発想を変える。

✔ みんなの正解を探す

✔ うちの前提条件に合う“暫定ルール”を決める

に、少しずつシフトしていく。

「ルールブック」は3層構造で考える

FIRE版ルールブックは、ざっくりこの3階層で十分だ。

  1. コンパス(価値観・優先順位)
  2. ルール(意思決定の原則)
  3. チェックリスト(実務の手順)

① コンパス:自分たちの優先順位を書く

いきなり数字から入らず、まず「何を大事にしたいか」から始める。

  • 時間の自由
  • 家族との時間
  • 場所の自由
  • 心の余裕
  • キャリアや仕事のやりがい

「お金は“何のため”に欲しいのか?」を1〜3行でいいので文章にしておく。

例:

  • 平日でも、子どものイベントに迷わず行ける時間の自由を優先する。
  • 年に1〜2回、家族旅行に無理なく行ける余裕を守る。
  • 心身の健康を損ねる働き方は“NGライン”とする。

このコンパスがないと、どんな戦略もブレやすい。


② ルール:迷ったときの「判断基準」を決める

ここで、ようやく数字や方針の話になる。

例:

  • 生活費のミニマムラインは◯万円。ここを守る前提で働き方を決める。
  • FIRE後の株式比率は40〜60%の範囲。これ以上は攻めない。
  • 取り崩し率は原則3〜4%。暴落時は一時的に取り崩し率を下げる。
  • 働き方は「完全FIRE」より「セミFIRE〜時短勤務」を基本方針とする。
  • 大きな金融商品は、友人の口コミではなく公式資料と自分の理解で決める。

「迷ったとき、これを見れば7割方は決められる」くらいの粒度がちょうどいい。


③ チェックリスト:年1回・大きな決断のときに使う

ルールを運用するための“点検用のメモ”を作る。

年1回のFIRE定期点検チェックリスト

  • 今年の資産残高
  • 年間生活費
  • 働き方の満足度
  • 家族の体調・ライフイベント

大きな選択をするときのチェックリスト

  • この選択は、コンパス(価値観)に合っているか?
  • 生活費のミニマムラインは守れるか?
  • 自由度は上がるか/下がるか?

ここまで落とすと、情報に振り回されにくくなる。


自分版ルールブックの作り方ステップ

ノート1ページ、もしくはA4用紙1枚でOK。

ステップ1:コンパス(価値観)を書く

問いはシンプルでいい。

  • お金があれば、何を守りたい/増やしたい?
  • 仕事を減らしてまで大事にしたいものは?

出てきた言葉を、3〜5つ書き出す。

ステップ2:数字ベースの「最低限ライン」を決める

  • 年間生活費のミニマム
  • “普通に幸せ”ラインの生活費
  • いまの資産額・貯蓄ペース

ここは、シリーズ前半でやってきた内容をそのまま使えばOK。

ステップ3:FIRE・働き方の方針を書き出す

例:

  • 完全FIREより、まずは「週3〜4勤務」「セミFIRE」を目標にする。
  • 会社を辞めるより、部署異動・時短・リモートを優先して検討する。
  • 副業は「月◯万円+楽しめる範囲」で育てる。

「うちは、この方向性で行く」というざっくりした方針を文章にしておく。

ステップ4:投資・ポートフォリオのルールを書く

  • 主力商品(例:全世界株インデックスなど)
  • 株式:債券:現金の目安レンジ
  • 暴落時の行動ルール(生活防衛資金には手を付けない など)

ルールとして言語化しておくと、感情が揺れたときの拠り所になる。

ステップ5:年1回の見直しタイミングを決める

  • 誕生月
  • 年末年始
  • 決算期(3月・9月など)

どこでもいいので、「このタイミングで、ルールブックを開いて見直す」と決めておく。


情報との付き合い方も「ルール化」してしまう

情報の取り方自体にも、マイルールを決めておくと楽になる。

① 情報源を「メイン3つ+サブ数個」に絞る

  • 信頼できる本・ブログ・配信者を3つ決める
  • そのほかは「たまに読むおまけ扱い」にする

「誰の声を軸にするか」まで決めると、情報のノイズが減る。

② 「アップデートの頻度」を決める

  • NISA・税制:年1〜2回キャッチアップ
  • 投資商品の見直し:年1回
  • FIRE界隈のトレンド:気が向いたときに軽く見る程度

「毎日FIRE情報を追う」のをやめるだけで、メンタルのノイズはかなり減る。

③ 新しい情報に出会ったときのルール

  • その場でポートフォリオをいじらない
  • まずルールブックの「考え方」と矛盾しないかを見る
  • 良さそうなら、「次の年1点検まで保留」しておく

「即採用」ではなく「一時保留」ができると、ブレにくくなる。


僕の感覚

FIREの本当のしんどさは、「お金が足りないこと」より、
「正解が分からないまま走り続ける不安」にある。

情報を集めれば集めるほど「もっと良い戦略があるはずだ」と感じるし、
シミュレーションをすればするほど「このままで本当に大丈夫か?」と揺れる。

だからこそ、コンパス(価値観)・ルール(判断基準)・チェックリスト(実務)の3点セットでできた
“暫定のルールブック”があるだけで、心の安定度はかなり変わる。

正解はいつでも更新していい。
でも、「いまの暫定解」は、自分で決める。

このスタンスが、長いFIREロードを歩くうえで、いちばん心を守ってくれると感じている。


まとめ

  • FIREには「全員共通の正解」はない
  • 大事なのは、自分と家族の前提に合う「自分版ルールブック」を持つこと
  • ルールブックは「コンパス」「ルール」「チェックリスト」の3層構造で考える
  • 情報との距離もルール化し、ノイズを減らす
  • 正解探しをやめて、「いまの暫定解」を自分で決める人から、FIREは現実のものになっていく

次回は、「FIRE計画を“自分の物語”として書き出す」ことをテーマに、
ストーリー化でブレない軸を作る方法を整理していく予定。

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30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
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