前回の記事では、
完全FIREまで行かなくても「FIRE思考」だけ働き方に混ぜる、
生活費・自由度・働き方をセットで設計する、
0か100ではなくグラデーションで生き方を決める
という話をした。
ここまで来ると、こんな悩みも出てくる。
じゃあ結局、情報が多すぎる中で
「自分はどう決めればいいの?」
何が正解なのか分からない…。
今日は、「正解探しゲーム」から降りる考え方と、
自分と家族にとっての“暫定の正解”を決めるための「FIREルールブック」の作り方を整理する。
結論:FIREには「全員共通の正解」はない
FIREには「全員共通の正解」はない。
あるのは「自分たちの条件の中での“使えるルール”」だけ。
ネットの情報は「材料」、本や有名人のFIREは「サンプル」。
その中から、“うち仕様”にカスタマイズした「自分版ルールブック」を持てる人が一番強い。
なぜFIREは「正解探しゲーム」になりやすいのか
① 情報量が多すぎる
書籍、ブログ、SNS、YouTube…毎日、新しい“もっともらしい意見”が流れてくる。
読むほどに、
あっちの戦略も良さそう。
こっちの意見も確かに一理ある。
と、どんどん決めづらくなる。
② 成功例だけが目に入りやすい
早期FIREでうまくいった人、暴落でもガチホして大勝ちした人のストーリーは目立つ一方で、
途中で戦略を変えた人、セミFIREに切り替えた人の声はあまり届かない。
“派手な成功例”を基準にすると、自分の現実が「全部足りない」ように見えてしまう。
③ 不安が強いほど「正解」が欲しくなる
- 家族がいる
- 住宅ローンがある
- 仕事を辞めたら戻るのが大変そう
こうした現実が重いほど、
絶対に失敗しない“正解ルート”を知りたい…
という気持ちが強くなる。
でも、残念ながらFIREには
「誰にでも当てはまる完全な正解」は存在しない。
正解探しから「マイルール作り」へ
ここで発想を変える。
✔ みんなの正解を探す
❌
✔ うちの前提条件に合う“暫定ルール”を決める
に、少しずつシフトしていく。
「ルールブック」は3層構造で考える
FIRE版ルールブックは、ざっくりこの3階層で十分だ。
- コンパス(価値観・優先順位)
- ルール(意思決定の原則)
- チェックリスト(実務の手順)
① コンパス:自分たちの優先順位を書く
いきなり数字から入らず、まず「何を大事にしたいか」から始める。
- 時間の自由
- 家族との時間
- 場所の自由
- 心の余裕
- キャリアや仕事のやりがい
「お金は“何のため”に欲しいのか?」を1〜3行でいいので文章にしておく。
例:
- 平日でも、子どものイベントに迷わず行ける時間の自由を優先する。
- 年に1〜2回、家族旅行に無理なく行ける余裕を守る。
- 心身の健康を損ねる働き方は“NGライン”とする。
このコンパスがないと、どんな戦略もブレやすい。
② ルール:迷ったときの「判断基準」を決める
ここで、ようやく数字や方針の話になる。
例:
- 生活費のミニマムラインは◯万円。ここを守る前提で働き方を決める。
- FIRE後の株式比率は40〜60%の範囲。これ以上は攻めない。
- 取り崩し率は原則3〜4%。暴落時は一時的に取り崩し率を下げる。
- 働き方は「完全FIRE」より「セミFIRE〜時短勤務」を基本方針とする。
- 大きな金融商品は、友人の口コミではなく公式資料と自分の理解で決める。
「迷ったとき、これを見れば7割方は決められる」くらいの粒度がちょうどいい。
③ チェックリスト:年1回・大きな決断のときに使う
ルールを運用するための“点検用のメモ”を作る。
年1回のFIRE定期点検チェックリスト
- 今年の資産残高
- 年間生活費
- 働き方の満足度
- 家族の体調・ライフイベント
大きな選択をするときのチェックリスト
- この選択は、コンパス(価値観)に合っているか?
- 生活費のミニマムラインは守れるか?
- 自由度は上がるか/下がるか?
ここまで落とすと、情報に振り回されにくくなる。
自分版ルールブックの作り方ステップ
ノート1ページ、もしくはA4用紙1枚でOK。
ステップ1:コンパス(価値観)を書く
問いはシンプルでいい。
- お金があれば、何を守りたい/増やしたい?
- 仕事を減らしてまで大事にしたいものは?
出てきた言葉を、3〜5つ書き出す。
ステップ2:数字ベースの「最低限ライン」を決める
- 年間生活費のミニマム
- “普通に幸せ”ラインの生活費
- いまの資産額・貯蓄ペース
ここは、シリーズ前半でやってきた内容をそのまま使えばOK。
ステップ3:FIRE・働き方の方針を書き出す
例:
- 完全FIREより、まずは「週3〜4勤務」「セミFIRE」を目標にする。
- 会社を辞めるより、部署異動・時短・リモートを優先して検討する。
- 副業は「月◯万円+楽しめる範囲」で育てる。
「うちは、この方向性で行く」というざっくりした方針を文章にしておく。
ステップ4:投資・ポートフォリオのルールを書く
- 主力商品(例:全世界株インデックスなど)
- 株式:債券:現金の目安レンジ
- 暴落時の行動ルール(生活防衛資金には手を付けない など)
ルールとして言語化しておくと、感情が揺れたときの拠り所になる。
ステップ5:年1回の見直しタイミングを決める
- 誕生月
- 年末年始
- 決算期(3月・9月など)
どこでもいいので、「このタイミングで、ルールブックを開いて見直す」と決めておく。
情報との付き合い方も「ルール化」してしまう
情報の取り方自体にも、マイルールを決めておくと楽になる。
① 情報源を「メイン3つ+サブ数個」に絞る
- 信頼できる本・ブログ・配信者を3つ決める
- そのほかは「たまに読むおまけ扱い」にする
「誰の声を軸にするか」まで決めると、情報のノイズが減る。
② 「アップデートの頻度」を決める
- NISA・税制:年1〜2回キャッチアップ
- 投資商品の見直し:年1回
- FIRE界隈のトレンド:気が向いたときに軽く見る程度
「毎日FIRE情報を追う」のをやめるだけで、メンタルのノイズはかなり減る。
③ 新しい情報に出会ったときのルール
- その場でポートフォリオをいじらない
- まずルールブックの「考え方」と矛盾しないかを見る
- 良さそうなら、「次の年1点検まで保留」しておく
「即採用」ではなく「一時保留」ができると、ブレにくくなる。
僕の感覚
FIREの本当のしんどさは、「お金が足りないこと」より、
「正解が分からないまま走り続ける不安」にある。
情報を集めれば集めるほど「もっと良い戦略があるはずだ」と感じるし、
シミュレーションをすればするほど「このままで本当に大丈夫か?」と揺れる。
だからこそ、コンパス(価値観)・ルール(判断基準)・チェックリスト(実務)の3点セットでできた
“暫定のルールブック”があるだけで、心の安定度はかなり変わる。
正解はいつでも更新していい。
でも、「いまの暫定解」は、自分で決める。
このスタンスが、長いFIREロードを歩くうえで、いちばん心を守ってくれると感じている。
まとめ
- FIREには「全員共通の正解」はない
- 大事なのは、自分と家族の前提に合う「自分版ルールブック」を持つこと
- ルールブックは「コンパス」「ルール」「チェックリスト」の3層構造で考える
- 情報との距離もルール化し、ノイズを減らす
- 正解探しをやめて、「いまの暫定解」を自分で決める人から、FIREは現実のものになっていく
次回は、「FIRE計画を“自分の物語”として書き出す」ことをテーマに、
ストーリー化でブレない軸を作る方法を整理していく予定。
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