仕事に追われ、給料はあがるけど、自由に使える時間もお金も――本当の「自由」はなかなか感じられない。
そんなふうに毎日を過ごしていませんか?
「将来的に会社から解放されたい」「お金と時間の余裕を手にしたい」「家族との時間をもっと大切にしたい」――そんな想いをもつ人にとって、最近よく聞く言葉が「FIRE」です。
ただ、FIREという言葉だけが一人歩きしていて、
- 何がどう自由になるのか
- 本当に誰でもなれるのか
- どんな種類があって、自分に合うのはどれなのか
このあたりがふわっとしている人も多いと思います。
この記事では、FIREの全体像を整理して、代表的な4つのタイプを挙げ、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
読み終えるころには、「自分が目指すとしたらどのFIREか」がなんとなくイメージできるはずです。
結論:FIREには4つのタイプがある
最初にざっくり結論を書くと、FIREには一種類の「正解の形」があるわけではなく、いくつかのパターンがあります。
- Lean FIRE(ローコストFIRE)
- Fat FIRE(ゆとりあるFIRE)
- Barista FIRE(バリスタFIRE)
- Coast FIRE(コーストFIRE)
どれが正しいというよりも、
- 自分と家族の価値観
- どこまで支出を削れるか
- どのくらいリスクを取れるか
といった条件によって、「合う/合わない」が変わってきます。
4つのFIREタイプの特徴とメリット・デメリット
① Lean FIRE(ローコストFIRE)
特徴:支出を極限まで減らし、最低限の生活費で暮らすFIREです。
ミニマリスト寄りのライフスタイルで、「あまり物を持たず、あまりお金も使わず、その代わり時間を自由に使う」というイメージです。
メリット:
- 必要な資産額が少なくて済むので、比較的早くFIREを達成しやすい
- 生活費が小さい=取り崩し額も少ないので、資産が長持ちしやすい
デメリット:
- 生活の自由度は低めで、旅行や趣味などにお金をかけにくい
- 子育て、持ち家、医療費など、将来の出費が増えたときに苦しくなりやすい
② Fat FIRE(ゆとりあるFIRE)
特徴:FIRE後もある程度ゆとりのある生活を続けるタイプです。
旅行も行きたいし、たまには外食もしたいし、子どもの教育にもお金をかけたい、という人がイメージしやすいFIREです。
メリット:
- 現役時代と大きく生活水準を落とさずに済む
- 「我慢して生きている」という感覚が少なく、精神的な満足度が高い
デメリット:
- 必要な資産額が大きく、達成までに時間がかかりやすい
- 資産が大きいぶん、運用リスクや暴落時のダメージも大きい
③ Barista FIRE(バリスタFIRE)
特徴:完全なリタイアではなく、「生活費の一部だけはゆるく働いて稼ぐ」スタイルです。
カフェ店員やパート、アルバイト、フリーランスなど、フルタイムではない働き方で暮らしていくイメージです。
メリット:
- 完全リタイアよりも必要資産が少なくて済む
- 社会とのつながりを保てるので、孤独感や無力感を感じにくい
- 定期的な収入があるので、資産の減り方がゆるやかになる
デメリット:
- 時間の自由は増えるものの、「まったく働かない生活」ではない
- 収入が不安定な仕事を選ぶと、かえって不安が増える可能性もある
④ Coast FIRE(コーストFIRE)
特徴:若いうちにある程度まとまった資産を作っておき、その後はその資産の運用に任せつつ、通常どおり働いて暮らすスタイルです。
「今は普通に働くけど、将来的には資産だけで生きていける見込みが立っている」という状態を早めに作るイメージです。
メリット:
- 将来に対する安心感が早めに得られる
- 今は普通に働いているので、生活レベルを大きく落とす必要がない
デメリット:
- 「今すぐ自由になる」わけではないので、即効性はない
- 途中で資産を取り崩してしまうと、将来のFIREプランが崩れてしまう
どのFIREタイプが自分に合っているか?
ざっくりと向いている人・向いていない人を並べると、こんな感じになります。
| タイプ | 向いている人 | 向かないかもしれない人 |
|---|---|---|
| Lean FIRE | ミニマリスト気質/物欲が少ない/独身〜子どもなし夫婦 | 趣味や旅行にお金を使いたい/子どもや持ち家など将来の出費が多そう |
| Fat FIRE | 家族がいて、教育や住居にも一定以上のお金をかけたい人 | とにかく早く会社を辞めたい人/支出を徹底的に絞るのが好きな人 |
| Barista FIRE | 完全リタイアより「ゆるく働き続ける」ほうが気楽な人 | 「働かない生活」を強くイメージしている人 |
| Coast FIRE | 今は普通に働きつつ、将来の選択肢を増やしたい若手〜中堅層 | 今すぐにでも会社を辞めたい人 |
最初の一歩:FIREを目指すなら何からやるか
もし「FIRE、ちょっと本気で考えてみようかな」と思ったら、いきなり投資商品を探すのではなく、次の順番がおすすめです。
- 今の月間支出を把握する(家計簿アプリでOK)
- 「このくらいなら許容できる」という生活レベルを考える
- その生活レベルに合うFIREタイプを仮で選ぶ
- 年間支出 × 25 で、ざっくり必要資産額を計算してみる
- 給与・副業・投資など、どこで差分を埋めるか考える
細かい計算は次回以降の記事で掘っていきますが、「生活費 × 25」という超ざっくりの目安だけでも持っておくと、今の働き方やお金の使い方が少し変わってくるはずです。
僕の感覚としての「ちょうどいいFIRE」
僕自身の感覚でいうと、「無理なく」「将来に備えつつ」「精神的なゆとりも欲しい」ので、完全なLeanでもFatでもなく、Coast FIRE〜Barista FIREの中間くらいが現実的かなと思っています。
完全リタイアして何もしない、というよりは、
- 会社に人生を握られてはいない
- でも、自分がやりたい仕事は続けている
- 家族との時間もちゃんと取れる
そんな状態が、自分にとっての「ちょうどいい自由」なんだろうな、と。
まとめ:FIREは「逃げ」ではなく「生き方の設計」
最後に、この記事のポイントを簡単にまとめます。
- FIREには複数のタイプがあり、「自分に合うかどうか」が一番大事
- Lean/Fat/Barista/Coast、それぞれにメリット・デメリットがある
- まずは生活費と価値観を見直して、「自分にとってのFIRE像」を描いてみるところから
次回は、「FIREに必要な金額はいくらか?4%ルールと現実のシミュレーション」というテーマで、もう少し具体的な数字の話をしていきます。
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