前回の記事でFIREにはいくつか種類がある、という話をした(Lean、Fat、Barista、Coast)。
で、多くの人がそこで思う疑問がひとつある。
……で、結局いくらならFIREできるの?
気になるのはそこだ。僕もそうだった。
理念とか価値観とか大事なんだけど、人間やっぱり数字じゃないとイメージできない。
ということで、この記事ではFIRE界隈でよく出てくる「4%ルール」と、それが実際どんな意味を持つのか、そして「現実的にいくら必要になるのか?」を、生活費別・年収別にざっくり可視化していく。
この記事を読み終えるころには、
- 自分はどのくらい必要か
- 達成までの遠さ or 近さ
- 改善すべきポイント
がぼんやり見えてくると思う。
結論:必要資産 = 年間生活費 × 25
FIREでよく言われる基本式がこれ。
必要資産 = 年間生活費 × 25 たとえば年間の生活費が300万円なら、
300万円 × 25 = 7,500万円 となる。
この考え方のもとになっているのが、「4%ルール」だ。
4%ルールとは何か?
ざっくり説明すると、
「資産の4%までなら毎年取り崩しても、30年以上破綻しなかった」という過去データに基づく仮説。
もう少し噛み砕くと、
- 総資産の4%を生活費として引き出す
- 残りは株式+債券などで運用する
- その運用益が取り崩した分をある程度カバーする
- 結果として、資産が大きく減らずに継続可能になる
……という仕組みになっている。
もちろん万能ではなく、
- インフレ
- 市場暴落
- 税金
- 医療費などの突発支出
このあたりは考慮しないと危険だが、考え方のスタートラインとしては優秀だと思う。
生活費別に必要資産をシミュレーションしてみる
生活費ごとに「年間生活費 × 25」を並べると、ざっくりこんな感じになる。
| 年間生活費 | 必要資産額(×25) | 月換算生活費 |
|---|---|---|
| 200万円 | 5,000万円 | 約16.6万円 |
| 250万円 | 6,250万円 | 約20.8万円 |
| 300万円 | 7,500万円 | 約25万円 |
| 400万円 | 1億円 | 約33万円 |
| 500万円 | 1億2,500万円 | 約41万円 |
この表を見ると分かる通り、生活費を1割下げるだけで必要資産額がかなり変わる。
つまり、FIREは
収入を増やす
だけじゃなく
支出を最適化するゲームでもある
ということになる。
年収別ざっくりシナリオ
「〇〇万円必要」と言われても、自分の立ち位置が分からないとイメージしにくいので、年収別にかなりざっくりしたケースを置いてみる。
※あくまで例。現実に寄せる計算は、別の記事で細かくやる前提。
年収400万円(単身 or 夫婦子なし)
平均支出:220〜260万円→ 必要資産:5,500万〜6,500万→ FIRE達成イメージ:15〜25年 Lean FIRE〜Barista FIREあたりが現実的なゾーン。
年収600万円(共働き・都市部暮らしを想定)
平均支出:300〜400万円→ 必要資産:7,500万〜1億→ FIRE達成イメージ:20年前後 家族計画が絡むと支出はどうしても増えるので、Fat寄りになりやすい。
年収800万円以上(子育て込み・資産余力あり)
平均支出:400〜500万円→ 必要資産:1億〜1億2,500万円→ FIRE達成イメージ:20年以内も視野 Fat FIRE / Coast FIRE / Barista FIREの組み合わせ型が、もっとも現実的になりやすい。
4%ルールの「現実的な」注意点
4%ルールは使いやすいが、そのまま採用してOKかと言われると微妙だと思っている。理由はいくつかある。
- インフレ(日本も普通に上がり始めている)
- 税金(投資益課税・社会保険料の負担)
- 市場の停滞フェーズ(株価は永遠に右肩上がりではない)
- 子育て・介護などライフイベント要素
だから結論としては、
「4%ルールは出発点であって、絶対値ではない」
というくらいの距離感で見るのが良いと思う。
実際の運用では、
- 取り崩し率は「3.5〜4%」のあいだで調整する
- 相場が悪い年は取り崩し額を減らす
- 相場が良い年は取り崩し過多にならないようにする
といった柔軟な運用が現実的だ。
僕の肌感覚としてのFIRE像
僕自身の感覚でいうと、
「資産だけで生活する」
よりも
「働かなくてもいいけど、働いてもいい」
くらいの自由度が理想だ。
なので、目指すイメージとしては、
- Coast FIREで将来の安心をある程度つくる
- Barista FIRE的にゆるく働き続ける
- 投資を維持して資産をじわじわ育てていく
というハイブリッド型に近い。
「完全ストップ」より「選択できる」状態の方が、精神的にだいぶラクだと思う。
まとめ:数字でFIREを眺めてみる
最後に、この記事のポイントを簡単にまとめる。
- 必要資産の目安は「年間生活費 × 25」で考えられる
- 4%ルールは万能ではないが、判断基準としては使いやすい
- FIREの難易度は「収入」より「生活費(支出)」で大きく変わる
- 一発で完璧を目指すより、段階的に近づく戦略が現実的
次回は、「自分の場合いくら必要?生活費の見直しと簡単な計算シートの考え方」あたりをテーマに、もう少し手を動かす実践寄りの内容にしていく予定。
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