MENU

26.FIREは“シミュレーション沼”に落ちた瞬間に崩れやすい──計算に溺れないための考え方

前回は、「FIRE設計シートを1枚にまとめる回」だった。
ここまで来た人は、FIREの基礎設計としてはかなりレベルが高い状態にあると思う。

ただ、この段階でかなり多くの人がハマる罠がある。
それが、

シミュレーション沼。

今日はここについて整理していきたい。


目次

結論

シミュレーションは「未来を当てるための道具」ではない。
不安を整理して、安心して前に進むための“補助ツール”。

この前提を見失うと、一気にしんどくなる。


「シミュレーション沼」とは何か?

FIREについて考え始めると、Excelやアプリでとにかく無限にいじりたくなる。

  • 年利◯%の場合
  • もっと保守的なリターンの場合
  • 暴落が途中で起きた場合
  • インフレが続いた場合
  • 為替が動いた場合
  • 税金をもっと精緻に考慮したバージョン
  • 退職時期を変えたケース

そして、次第にこういう状態になる。

  • 計算が増えるほど不安が増える
  • 条件を変えるたびに未来がまったく違って見える
  • 「結局どれが現実なんだっけ?」と分からなくなる
  • 永遠に最適解を探し続けるモードに入る

こうなると、

FIREの設計が前に進むどころか、
「考えるだけで疲れるプロジェクト」になっていく。


なぜシミュレーションは“不安を増やす”のか?

理由はシンプルで、

未来は、完全にはコントロールできないから。

たとえば──

  • 経済は予測不能
  • 為替は読めない
  • 税制は変わる
  • 家族構成も変わるかもしれない
  • 自分の価値観も変わる

それでも人は、

「数字を細かくすれば安心できる」と思いがち。

でも現実はその逆で、

細かくするほど「揺らぐ未来」を量産してしまう。


じゃあ、どこまでやれば十分なのか?

結論はこれ。

“3段階”くらい見ておけば十分。

① 標準シナリオ(現実ベース)

「普通にいけばこうなりそう」という自分なりの基準ライン。

② 少し悪いケース

リターン控えめ、条件少し不利。冷静に考えて「まぁ起こり得るよね」レベル。

③ かなり悪いケース

ある程度大きな下振れを想定。「ここまで悪くてもなんとか戦える?」を見るためのもの。

このくらい見ておけば、

「最悪じゃなければ、だいたい戦える」
という感覚が持てれば十分。


シミュレーションより大事なこと

FIREの実践で本当に重要なのは、

  • 年率が何%か?
  • 何年後に達成できるか?
  • 数十万円ズレるかどうか?

──だけではない。

それよりも大事なのは、

「修正可能な人生設計」になっているか。

たとえば、

  • 途中で取り崩し率を下げられる?
  • 生活費を少し調整できる?
  • 少しだけ働くという選択肢がある?
  • 生活スタイルを柔軟に動かせる設計になっている?

未来は「当てる」ものではなく、

「対応できるように設計する」もの。


シミュレーションは「安心材料」であってほしい

本来、シミュレーションは

  • 不安を整理するため
  • 現実感を持つため
  • 安心して進むため

のツールであるべき。

なのに──

  • 計算すればするほど怖くなる
  • 完璧を求めて止まれなくなる
  • 「永遠の準備期間」に入りがち

それは、

「未来の恐怖を自作している状態」。


“ある程度で止める勇気”が必要

FIREは、「完璧さ」を競う競技ではない。

ある程度まで整理できたら、

  • 動いていい
  • 試していい
  • 実装していい
  • 途中で修正していい

つまり、

「走りながら調整できる設計」にしておけばいい。


僕の感覚

僕の感覚では、FIREは「完璧な未来予測」を作る遊びではなく、
安心して進める未来設計を持つこと。

不安を減らして、
現実をちゃんと受け止めながら、
それでも前に進むための設計。

そのための道具として、
シミュレーションとは“ほどよい距離感”で付き合うのがちょうどいい。


まとめ

  • シミュレーション沼にハマると逆に不安が増える
  • 未来は完全には当てられない
  • 標準・少し悪い・かなり悪いの3段階で十分
  • 重要なのは「修正できる人生設計」
  • 完璧ではなく“動ける設計”を目指す

FIREは計算の勝負ではなく、
現実と向き合いながら進んでいく「設計力」の勝負だと思っている。

次回は、支出実践編の続きとして、
固定費をどう見直すか? 住宅・通信・保険・車・サブスクをFIRE目線で考える回に進む予定。

本棚
30代子持ち。夫婦でメーカー勤務。転職1回。FIREしたい。アイコンはタワシさん(https://x.com/tawashi3333)に描いていただきました。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次