日本人の男性の20人に1人、女性でも500人に1人は色覚異常だそうです。
かくいう僕も色覚異常であり、小さいころからの生活に少なからず影響してきました。
色覚異常の方、色覚異常の方と結婚を考えている方などの参考になればと思い、これまでの生活のリアルな部分を書いていきます。
色覚異常(色弱)って何?
まず色覚異常について知らない方にざっくり説明すると、通常の人が区別がつく色の見分けがつかなかったり、見づらかったりする症状です。
色覚異常の中でも程度の差があり、信号の色が見分けられないほどの重度の異常から、緑の木の中の赤い果実が見えにくい程度の軽度の異常まであります。
僕の場合は軽度の色覚異常です。
色盲、色弱、赤緑色覚盲、など色々と呼び方がありますが、2005年に日本眼科学会が「色覚異常」に名称を決定したそうです。
ただし、この記事では感覚的にわかりやすいので、僕のことは「色弱」で統一して書きたいと思います。
色弱の生活ー支障はないの?―
色弱にも程度があるので、一概には言えませんが、僕の場合は決定的な支障はあまりありません。
少なくとも、身の安全を確保するための色彩状況は読み取れる程度です。
ですので自分が生活をしている中で困ることはほぼないのですが、本当に困るのは人と認識が合わないことです。
例えば、次のような場合に困ることが多いです。
・会社の資料でExcelのセルを複数の色で塗りつぶしているとき、色の違いが分かりづらい。
資料の作成者は色ごとに項目分けしてわかりやすくしているつもりなのですが、微妙な色分けのせいで違いがわかりません。
逆に自分が作成するときは、同色系の色で色分けしないので統一感がなくなり、ちかちかして色が見づらいと言われることがあります。
・ゴルフに行ったとき、赤いボールが緑の芝生の上では見分けづらい。
特に上司や取引先の人が赤いボールを使っていると絶望的な気持ちになります。
冬の黄色っぽくなった芝生ならいいのですが、夏の深緑の芝生ではもうどこにボールがあるか全然わかりません。
「そこにボールあるよ!」と言われても近くのボールに気づかず、イライラさせてしまうことがありました。
・夜に車を運転していると、信号と水銀灯が見分けづらく、停車してしまう。
黄色信号と水銀灯の違いがわからず、水銀灯が並んでる通りなどではめちゃくちゃ不安になります。
一度全然関係ない場所で停車してしまい、後ろの車に追突されそうになったことがあります。
・学校の黒板に書かれた水色とピンク色のチョークの区別がつかない。
特に教室の後ろのほうからだと全くわかりませんでした。
しかも僕の学校の先生には、重要な点はピンク、特に重要な点は水色で書くルールの人が居たので、半分怒りを感じながらノートをとっていました。
今考えたら、素直に先生に言いにいけばよかったと思いますが、当時はなんとなく引け目があり言えませんでした。
結論、色弱の人の中でも自分の色彩感覚があるので、ただ生活をしているなかでは特別な問題は発生しません。
人と接する中で、他人との色彩感覚の違いに初めて気づきます。
色弱のタイプや程度によっても、その違いの大小があります。
色弱の方は自分のタイプを自覚しておくことで、どういう場合に人とのすれ違いを起こしやすいかがわかります。
コミュニケーション上で問題がある場合は、どの系統の色に自分が弱いのかを診断しておくといいですね。
色覚異常って遺伝するの?
結論としては、遺伝します。
しかし、次の世代に必ず異常が出るわけではありません。
例えば、僕の場合、相手が異常遺伝子を持っていなければ、
僕の息子や娘には異常は発生しません。
しかし、娘の子供(僕にとっての孫)には発生する可能性があります。
これを説明するためには、堅苦しい遺伝の説明が必要なので、興味があれば以下を読んでみてください。
高校生物をやったことがある方は、血友病などの「伴性劣性遺伝」を思い出して頂ければ一発でわかると思います。
色弱の遺伝の仕組み
人間は様々な遺伝子を持った染色体での組み合わせでできています。
その中で男女を区別する決定的な染色体があり、これを性染色体と呼びます。
性染色体にはX染色体とY染色体があります。
父と母からそれぞれ1つずつの性染色体をもらい、その組み合わせが、
XとYの場合⇒男
XとXの場合⇒女
に生まれます。
色覚異常の遺伝子がのるのは、このうちのX染色体です。
これにより、男女によって発生の仕方が変わります。
男性の場合、X染色体は1つしかないので、異常遺伝子を持っていた場合、100%の確率で異常が発現します。
女性の場合、X染色体を2つ持っています。女性の場合、異常遺伝子を持ったX染色体が2個そろわないと、異常は発現しません。
これを劣性遺伝といいます。
(この辺の細かい話は本記事の趣旨からずれるので別のサイトで見てみてくださいね。)
こちらは色弱の遺伝パターンです。
僕の家族の場合、父は正常、母は色弱が発現していました。
その結果、男兄弟は全員が色弱、女兄弟は保因者であるものの、異常は発現していません。
まとめ
色弱は遺伝性なので、遺伝は避けられません。
普段の生活に大きな支障はないものの、他人との認識のずれに悩むことがあります。
ただし、人によって程度が異なり外からはその程度はわからないため、注意する必要があると思います。
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