この本は、若い世代のことが理解できず世代間のギャップを感じている中高年層の方、
今の働き方に違和感を感じており、やる気を感じない若い世代の方に読んでいただきたい1冊になっています。
1.現代の若者は「乾けない世代」
私はこの言葉がヒットしました。「乾けない世代」。
高度経済成長時代に生まれた人たちは、より生活を良くするために働き、また、働けばよい生活に近づくことが見えていた世代でした。
それに対して、「乾けない世代」は生まれたころからあらゆるモノに囲まれて、生活するうえで不自由のなかった世代です。
人間には幸せを感じる軸があるそうで、それは次の5つです。
①快楽、②達成、③良好な人間関係、④意味合い、⑤没頭
かつては、①快楽、②達成を求めて必死で働き、経済の成長とともに自らの生活も向上してきました。
例えば、必死で働けばより広くてきれいな家に住めたり、おいしい料理を食べに行けたり、大きなテレビが買えたり、と言ったことです。
現在では、安くておいしい料理店はいくらでもあるし、大きなテレビがなくても、一人ひとりスマホで動画が見れるし、代替品が数えきれないほどあります。
そんな中では、かつての働き方に違和感を感じ、どうにも仕事に打ち込めない人が出てきます。
「乾けない世代」とは言い得て妙だと思います。
周りには生活することや趣味を楽しむことに十分な家具、家電、道具が存在しており、何かを強く欲することが無い、ということを端的に表している感じます。
私自身、20代の会社員ですが、必要なものはあらかたそろっており、物欲や、よりよい生活をしたい、という気持ちがあまりありません。
最新のiPhoneを買いたいなあ、とか、もっと駅チカの物件に住みたいなあ、とかは思いますし、そのためのお金を欲しいとは感じますが、
今の生活に強い不満感を感じることはないし、出世や成功して大金を得るために死ぬほど努力して犠牲を払うことはしたくないなあというのが率直な思いです。
ですので、そのような「乾けない世代」では、①快楽、②達成、は最初からある程度満たされているため、
③良好な人間関係、④意味合い、⑤没頭、が重要である、という主張は非常に納得いくものでした。
2.インサイト(新しい視点)が重要
インサイトとはユーザーの潜在的な欲求や、購買意欲のツボのことです。
AIの発達で、課題解決に対するコストが大きく下がってくることは間違いありません。
既存の類似の問題点とその解決策の蓄積によって、AIのレベルが上がり、人間がわざわざ解決策を考えなくても、最適と思われる解を出してくれるからです。
そんな時代では、課題解決をする能力より、むしろ、課題を見つけ出す課題発見力が求められると筆者は言います。
ヒトが何に困っているのか、何を欲しているのか、という気づき、つまり「インサイト(新しい視点)」に大きな価値があるということです。
インサイトを手に入れるためには、経験や情報を増やす必要があると思います。
ヒトが何を欲するかに気づくには、自分の生活パターンの中からの発想だけではなかなか難しいです。いつもの風景、いつもの行動だけでは発想の広がりがありません。
街に積極的に出てヒトの行動を見てみる、新しいサービスを体験してみる、全然違う分野の人の話を聞いてみる、なじみのない分野の本や映画を見てみる、などを行っていく必要がありそうです。
個人的には、ブログを始めてみたり、投資やプログラミングを始めてみたり、あえて興味の無い本を読んでみたりしています。
また、AirBnBやUberなどのようなサービスを使って体験することをもっとやっていきたいと思っています。
3.「好き」や「歪み」から生まれる新しい価値
筆者は、落合陽一さんの話をもとに、4つの革命が進行中であるといいます。
グローバル革命、インターネット革命、人工知能革命、実世界指向革命、です。
この4つの革命によって、距離・時間・バーチャルの垣根を越えて、「好き」のつながりが広がっています。
なので、これまで人から眉をひそめらるような自分の好み、人から見たら「歪んで」いるような嗜好性の情報が価値を持つようになる、と筆者は言います。
私はこの点にも強く共感しました。
例えば、YouTubeでQuizKnockというチャンネルがあります。
東大のクイズサークルを中心として立ち上げられた団体QuizKnockが、あらゆるクイズを題材に動画を発信しており、人気を博しています。
私は知識を操る人に憧れを持っており、彼らの博識ぶりや頭の回転の速さに圧倒されるとともに刺激を受けています。
彼らのクイズや知識に対する偏愛ぶりは凄まじく、動画の中には一般人のほとんどは解けないであろう問題も多く出ています。
しかし、そんな問題を軽々解いていく彼らの姿を見たい人が大勢おり、100万近くのチャンネル登録者数を獲得しています。
超難問が出題されるクイズ自体は一般人になじみがなく、いわば「歪んだ」ものかもしれませんが、
楽しそうにクイズを楽しむ姿、知識を鮮やかに操る姿に共感する人を生み、価値を生んでいる良い例だと思います。
このような「好き」や「歪み」を自分の中に育てていくためには、「没頭」することが必要だと筆者は言います。
まずはアウトプットを意識せず、自分が好きだと思えること、他の人にはない視点を獲得するまで「没頭」することができれば、大きな価値となる、と。
4.自分だけの世界の見方を発信しよう
「君の名は」や、「シンゴジラ」がヒットした理由の一つに、人々の発信の力があったといいます。
それぞれ、複雑に張り巡らされた伏線があることで有名ですが、だからこそ、様々な人が自分なりの解釈を公開し、議論を読んだのです。
自分なりに解釈をした後に見返すと、また新たな発見があり、他人の解釈を読むことでまた新たな気づきが生まれる。
それが好循環を生み、複数回劇場に足を運ぶ人が増え、大ヒットにつながったそうです
このように、自分でゼロからコンテンツを生み出さないまでも、既存のモノに「新しい意味」を提供することにも、価値があると言います。
ブログのレビュー系の記事に自分なりの感想、解釈を織り込むことで、それが他人にとっての新しい解釈になるかもしれません。
ニュース記事に対する意見や考えたことを発信することで、新しい角度でニュースを読む人が出るかもしれません。
既存のものに自分なりの体験や考えを付加して発信することから始めてみましょう。
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