メーカー勤めの若手の方で、「転職するための武器が欲しい」と考えている方はいないでしょうか。
転職は考えていなくても、「昇進に向けて評価を上げるための武器が欲しい」という方や、「暇だしスキルアップのために資格でも取るか」という方は、多いのではないかと思います。
ただ、資格と言っても何を取っていいかわからない!という方のために、おすすめのジャンルと具体的な資格についてあげていきます。
あげている資格は、ティア1メーカーを2社経験した私が、事務系・技術系の同期先輩上司、転職エージェントに聞いて選んだものです。
また、私自身が転職の際や、ボーナス査定などで評価を得たものを含んでいますので、是非資格の検討に役立てて下さい。
おすすめジャンルまとめ
まず結論として、若手におすすめするジャンルは次の通りです。
- 英語系
- 経理・会計系
- IT系
- 統計・データサイエンス系
- 工場管理者系
こちらジャンルをおすすめとして選んだ理由は、2つあります。
- 汎用性の高い資格であり、ほかの職種やほかの会社に移ることになっても生きること
- レベルが段階的になっており、初心者でも独学で始めやすいこと
今回は、メーカー社員であればどなたでも役に立つ資格に絞りましたので、興味のあるものからチェックしてみてください。
では、各ジャンルの具体的な資格について、詳しく説明していきます
英語系
英語系資格の必要性
メーカーで勤務するなかで、英語の必要性はますます上がっています。規模が大きい会社であるほど、販路を海外に求めたり、工場を海外に持っていたりと、海外と全く関わらない会社は無いでしょう。
いまのところ実務で英語を使わない仕事をしている方でも、TOEICの受験を定期的にする必要があったり、昇進の際に「TOEIC○○点以上」という条件がある会社も多いです。
海外営業への異動や駐在を狙う人は、アピールにもなりますね!
日系大手の場合、転職の際や、社内での海外関連部署への異動には、TOEIC700点が最低限のラインという印象です。とはいえ、近頃の新入社員だとTOEIC900点超えや海外大卒も当たり前のように増えており、求められる能力も底上げされてきています。
もはや説明不要とも言えますが、避けては通れないのが英語の勉強になります。
TOEIC
現在、もっとも広く日系企業で取り入れられている英語力の評価は、TOEICです。
社内での人事情報や、転職などの際にも、英語力の欄にはTOEICの点数をまっさきに書かされるものが多いです。
「とりあえず、なにか勉強を始めようかな」という方には、教材の多さや気軽さ、試験回数の多さなどから、もっともおすすめできる資格だと思います。
経理・会計系
経理・会計系資格の必要性
会社があるところすべてに経理・会計が存在しますので、需要が無くならないスキルだといえます。
経理、財務関連の部署にお勤めの方
資格勉強が実務にそのまま役立つため、スキルアップを兼ねて取得を目指す方が多いです。それぞれのメーカー独自の方法で行う管理会計をメインの業務とされている場合、転職時に知識の汎用性を疑われることがあるので、アピールする根拠としても有効ですね。
会計関連の部署以外にお勤めの方
企画部署での業績管理や、工場側での製造実績管理で、会計的な知識が必要になります。管理職になると、会計の研修が必須であったり、マネジメント上経理職の部下を持ったりと、更に必要性は増していきます。
会計について理解のある上司は心強い…!!
簿記検定
日商簿記には1級から3級がありますが、経理経験のある方は2級から1級を目指すとよいでしょう。2級も難化し、新傾向の問題が増えているので、一筋縄ではいきませんが、腰を据えて取り組む価値があると思います。
経理未経験で、ざっくりと会計にかかわる知識を得たい人は3級からです。3級でも、お金の流れを把握したり、財務諸表の仕組みや減価償却の概念などを学んだりするには十分だと思います。3級であれば、2ヶ月程度で合格ラインまで持っていけますので、最短の試験日を調べて申込んでデッドラインを決めちゃいましょう。
ちなみに、経理かどうかにかかわらず、転職の履歴書に書いて少しでも評価されるのは2級からです。更に差別化を図るのであれば、1級が欲しいところ。
ただし、大学生であれば3級で堂々と書いて構いません。評価を受けるわけではありませんが、学習意欲のアピールになります。
ちなみに私も勉強の一環で簿記3級を受験し、合格しました。まずは軽い気持ちで受けてみてはどうでしょうか。
簿記検定の公式サイトはこちら
ビジネス会計検定
ビジネス会計検定試験は、財務諸表に関する知識や分析力を問うもので、財務諸表が表す数値を理解し、ビジネスに役立てていくことに重点を置いています。
https://www.b-accounting.jp/about/
財務諸表の読み取りや相互関係、会社法などとの関わりが多く問われる検定試験です。
企画部門などを目指す方には、簿記検定よりも実践的であり、会計を通した経営分析や戦略立案に役立つ問題となっています。
経理職以外の方は簿記3級をさっと勉強した上で、ビジネス会計検定に進むことをおすすめします。
ビジネス会計検定の公式サイトはこちら
IT系
IT系資格の必要性
メーカー社員にとって、IT系資格は直接必要なわけではありません。
ただし、工場の稼働や、実績管理には当然そのためのシステムがあり、システムの改修や新システムの導入にたずさわることは多いでしょう。IT系資格では、システム自体だけでなく、経営との関連についても問われるため、実業務に役立ちます。
また、Excelでのデータ集計やWordなどの文書作成を効率化したり、定型業務を自分で作ったマクロで自動化したりと、業務効率化に効果を発揮するものもあります。
スマートファクトリー化、DXの推進など話題に事欠かない分野ですので、勉強して絶対に損をしない資格ジャンルと言えるでしょう。
情報技術者試験
情報処理技術者試験は、「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業省が、情報処理技術者としての「知識・技能」が一定以上の水準であることを認定している国家試験です。
情報システムを構築・運用する「技術者」から情報システムを利用する「エンドユーザ(利用者)」まで、ITに関係するすべての人に活用いただける試験として実施しています。特定の製品やソフトウェアに関する試験ではなく、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる知識・技能について、幅広く総合的に評価しています。
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_08gaiyou/_index_gaiyou.html
国家資格のなかでも種類はあるのですが、ITを専門とするエンジニアでない場合、難易度順に次の3つがおすすめです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
真ん中の基本情報技術者試験は、本職のITエンジニアが内定〜1年目くらいに取得する登竜門的な資格です。午前/午後それぞれ2時間以上の試験でボリュームもあり、アルゴリズムなどのやや専門的な問題もあります。
いきなり取り組むと挫折の可能性があるので、まずはITパスポートの勉強で全体感を掴んで、興味を持ったら次に進むとよいでしょう。私も最初から基本情報技術者試験に挑戦しようとしたところ、手も足も出ず、ITパスポートから取得しました。今は基本情報技術者試験の勉強中ですが、基礎知識があるので問題が面白く感じるようになっています。
特に基本情報技術者試験と応用情報技術者試験は有名な国家資格なので、IT関連の部署や、DXの名が付く部署への異動を希望する方は、アピールの一つにできるはずです。
MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
エクセルやワードなどのマイクロソフト オフィス製品の利用スキルを証明できる資格です。
https://mos.odyssey-com.co.jp/about/
オフィスソフトの処理能力を測る検定。
こちらの資格を持っているから評価される、ということは聞いたことがないのですが、一定の事務処理能力の担保になります。
それよりも、自分の業務の効率化への影響が大きいと思います。オフィスソフトは毎日使うので、知らなかった機能を使えるようになるだけで積み重ねるとかなりの時間になります。
私は以前、毎日データを落として、ピボットテーブルを組んで、ピボットの条件を変えながら必要なデータを手作業で書き写していく、という業務に毎日15分位かけていました。そんなとき、MOSの勉強でExcelのSUMIFS関数を知り、データを貼り付けて5秒で集計が終わるフォーマットを作ることができ、今までの作業にかけていた時間はなんだったんだ…と唖然としたことがあります。
と、これは一例ですが、積み重ねは馬鹿にできません。
ソフトごとに複数の難易度があるので、よく使うソフトから勉強を始めるといいですね。
技術系や経理、生産管理など、データの測定や集計が多い方はExcel、人事や総務など文書作成が多い方はWord、企画部門など説明資料や発表資料の作成が多い方はPowerPointなど、それぞれの必要性に応じてやってみましょう。
公式サイトはこちら
統計・データサイエンス系
統計・データサイエンス系資格の必要性
近頃の転職求人を見ていると、メーカーでも「データサイエンティスト」の求人広告が増えていることに気づきます。
メーカーではDX(デジタルトランスフォーメーション)などと言いつつ、工場設備にセンサーを取り付け、データの収集は進んでいます。
次の段階として、大量に集めたデータをいかに有効に使うか、という問題意識が、求人からうかがえるように思います。
今度は、データを扱うエンジニアや、データをいかに読み解くかを学ぶ統計学の知識・スキルが求められるため、これらの資格を持っていることは、社内でも転職でも有利に働くでしょう。
統計検定
私も2級まで取得しました。
統計検定」は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。
データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力は、仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認められています。日本統計学会は、国際通用性のある統計活用能力の体系的な評価システムとして統計検定を開発し、様々な水準と内容で統計活用力を認定しています。
https://www.toukei-kentei.jp/about/
メーカーでも実験の結果の評価をしたり、どの程度のサンプル数を確保すれば実験が成り立つかを考えたりする際に、統計の力は大いに役立ちます。
また、私は事務系ですが、自動車メーカーとの共同での改善プロジェクトで、取り組みの効果を統計的に示したことが評価され、社内表彰で3万円もらいました。
3級はデータを扱う基礎知識、2級は大学1-2年で習うレベルの統計の基礎的な内容、準1級から1級は統計を専門的に使うレベルの内容になっています。
準1級以降はかなりの難易度になりますので、2級の取得を目標としていくのがよいでしょう。
公式サイト
工場管理者系
工場管理者系資格の必要性
こちらはメーカー勤務者のなかでも、技術系の方が対象の資格です。
法律により、安全管理のために必ず一人は資格の取得者がいないと稼働ができないものがあり、昇進のためにはなんらかの資格を必須としている会社もあります。
私が勤務している会社は、自動車向け部品メーカーですが、これらの資格取得スピードも人事評価のひとつとなっており、技術系社員は休日も利用して四苦八苦しながら取得に励んでいます。
危険物取扱者試験
一定数量以上の危険物を貯蔵し、又は取り扱う化学工場、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンク、タンクローリー等の施設には、危険物を取り扱うために必ず危険物取扱者を置かなければいけません。
http://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/index.html
危険物取扱者試験のうち多くの受験者は乙種第4類(いわゆる乙4)だとのこと。
乙4はガソリンなどの生活に身近な石油類の取り扱いがメインなので、必要とされる職場も多いからです。
公式サイトはこちら
公害防止
工場内に公害防止に関する専門的知識を有する人的組織の設置を義務付けた「特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(法律第107号)」が制定されました。
https://www.jemai.or.jp/polconman/index.html
工場ごとに資格を持っている人が必要になるため、製造部や生産技術系の部署では、昇進の必須条件としている会社が多いようです。
資格取得で転職・昇進・スキルアップをブーストしよう
資格取得で、学習意欲や勤務意欲のアピールにもなり、転職の際の武器の一つにもなります。
興味のある資格から勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
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