指導してきたポンコツ後輩が会社にも見限られた話

数年前になるが、複数年指導してきた後輩が、会社にも見限られて別の部署に異動になった。

私は指導員として育成にかなり苦しんだこともあり、一時は私自身が精神的に不安定になったこともあった。未だに思い返すとイライラとか、無力感とか、色々と感じることがある。

そんな思いを自分の中でも整理をつけたいと思い、今回はそのレクイエム記事である。

内容に不快に感じる方もいるかもしれないが、その際はそっと画面を閉じて頂けると幸いだ。

目次

酷かった後輩の言動

まず後輩がどれだけ仕事ができなかったのか、共有せねばならない。

読んでくださる皆様がこの記事に感情移入して下さるかどうかがそれで決まるからである。

とはいえ、これを書いている私は特段優秀なわけでは無いし、後輩をこき下ろしてマウントを取りたい訳でも無い。

こんな後輩が自分の下に居たらどう感じるか、少しだけ思いを馳せてもらいたい。

前置きが重なるが、特別にぶっ飛んだエピソードがあるわけではない。

しかし、だからこそ、そのヤバさ、出来なさが可視化できず、周りからの理解が得られないため指導員(つまり私なのだが)が苦しむ、ということになる。

ここで、後輩のこと「彼」と呼ぶことにする。

特定の懸念もあるため、設定は多少の変更をお許し頂きたいが、言動は脚色無しである。

後輩は、地方国立大学卒、新卒で総合職として入社している。

総合職である以上、一定の能力は最低限求められる。

会社の中でも非総合職とは、少なくとも給与は圧倒的に違うため、能力の伴わない総合職を雇うことのメリットは当然ほぼ無い。

その背景を考慮して下記を読んで頂きたい。

メモを取らない

彼の前に担当していた別の後輩はあまり細かくメモを取る方ではなかったが、きちんと話を消化して業務をこなしていた。

なので、彼があまりメモを取っていないことに最初はあまり気にしていなかった。

気になり始めたのは教え始めて1週間程度してからだった。

業務上、月1回や週1回程度の業務も多いので、そんなある業務について、「先週教えたアレやってみて」みたいなノリで一旦やらせてみた。

すると、「すみません、この業務ってなんでしたっけ?」との言葉。

「先週の火曜くらいに教えた◯◯だけど、覚えてない?メモ見ながら、まずやってみよう。」

と声を掛けると、メモ…? と、すっとぼけた顔をして、「とってませんでした」と。

この時点で理解不能なのですが、イライラを抑えつつ教え直し、やらせてみたのだった。

同様の事象がほとんどの業務で発生し、ほぼ全ての業務を3回以上教え直したのではないかと思う。

同じことを何度も聞く

自分では何も考えずに先輩に丸投げする

彼の話の内容は、自分で何も考えていないことがわかるものだった。

自分の担当範囲内のことでも、すぐに、「これどうするればいいですか?」、「これどうしましょう?」、「これ、今こうなってます。(報告したから後はなんとかしてね)」のオンパレード。

自分で処理できないと思ったことを、すぐにわかる人に振ること自体は、あるべき姿勢だと思う。

しかし、少なくとも本人の責任範囲のことは対応できる力を身につける必要があるので、

私は

「どうしましょう?だけじゃなくて、まず自分の考えたことと、その答えを持って来てね」

という指導をしていた。

せめて、答えまで用意できなくても、先輩に選択肢を提示して判断してもらうレベルまでは噛み砕いてから持って来てね、と。

すると今度彼が身につけたのは、

「相談なんですけど〜」で話を始めること。

相談とつけて話し始めれば上司や先輩は一旦聞かざるを得ない。

しかし結果、言っている内容は全く変わっておらず、情報を伝えるだけで背景も何もわからない。

表面だけ取り繕って、こちらが指摘していることの本質を何も理解していないことがはっきりして、ゲンナリしたのであった。

期限を守らない

およそ彼が期限を守って提出物や資料を出しているのを見たことがない。といっても、彼を知る人には大げさには感じないだろう。

毎週水曜までに提出しないといけないデータがあるのだが、なぜか木曜の午前に提出する。

定例の上司への業務報告の資料は1度も間に合ったことがなく、結果的には全て私が代わりに報告した。これは本当に毎回だった。

社内の他の部署を10人程度集めて行う定例会議で、彼が資料を作っていなかったことで当日に会議自体をキャンセルしたこともある。

指導責任のある私も他部署からの叱責を受けた。これは当然だが。

時間を守らない

ここまでの実績から見れば当然だが、会議の時間なども守らない。

唯一の救いは、始業の時間だけはある程度守っていたことである。

とは言え月に1,2回は遅刻するし、プライベートで痛飲した翌日は1時間程度遅刻して、上司への大事な報告をすっ飛ばすこともあった。

上記を複数年、無限ループする。

ツラツラと書き連ねてきたが、これらを全て何回も繰り返していた。

どれだけ改善案を提案しても、その改善案すら実行してもらえず、私は途方に暮れていた。

相性の問題はやはり大きい

そんな彼と初めて会ったのは、仮配属で研修に来ていた時だった。

初めて会ったにもかかわらず、やけに馴れ馴れしく話してくる彼の姿にちょっとした嫌悪感を抱いていたのを覚えている。

思えば、この頃から私との相性の悪さは露見していたのであろう。

あらゆる面で正直人として合わないなぁと言う思いは否めなかった。

人をいじることだけが面白いと思っているところ、女遊びの話を女性の前でするところ、発言の薄っぺらさ、書類を目の前で放り投げるなど人への気遣いが感じられない所作、関西出身でもないのに関西弁ぽいイントネーションで喋ることが面白いと思っているところ。

正直顔を見るのも嫌だと思う程度であった。

性格面で気になるところをあげればきりがないが、最も気になっていたのは彼の尊大な態度である。

知識も、経験も、能力もないにも関わらずなぜあれほど自信たっぷりに人を見下した態度を取れるのか。

これは私の邪推かもしれないが、彼が自尊心を高めたのは、これまで彼が所属してきたコミュニティーの問題であると思われる。

つまり、彼の狭いコミュニティーの中では常に上位の存在であり、故に自身のことを成功者と位置付けしており、自分自身の存在を相対化する機会に恵まれなかったのではないか、と言うことである。

環境によって評価は当然変わる。

つくづく、自分が置かれている環境も含めて常に自己認識を正していきたいと思った。

指導する側にも問題有り

勘違いした人間に優しくできるほど、私は成熟していなかった。

私の最大の問題点は、平たく言うと「口ほどにもない人間に、身の程をわきまえさせたい」と言う姿勢で、臨んでいたことである。

知識として、あるいは自分の経験として、指導する上で褒めることが大事だと言う事は十分にわかっていたつもりであった。

実際彼と関わって半年ほどは、改善したことやできるようになったことをできるだけ褒めるようにしていた。

しかし、あまりにもひどい彼の仕事ぶりと不遜な態度に我慢ならなくなり、叱責することが増え、褒める事はほとんどなくなっていた。

そういう関係性で仕事や人間関係がうまくいくはずなく、異動前の半年はほとんどプライベートの話をすることもなくなったし、個人的にご飯に行くこともなかった。

私自身のキャパシティーが不足しているということも事実であり、反省すべき点である。

上司、会社の対応

彼と上司は直接コミュニケーションを取る機会は多くなく、私を通して報告することがメインである。

なので、彼が来てしばらくは私以外のほとんどの人間が、彼の業務遂行能力の低さに気づいていなかった。

上司もその例に漏れていなかった。

私としても彼が仕事ができないのは指導担当である自分の責任でもあり、「あいつ全然駄目だな」などと言うのは格好悪いと言う思いがあったため、ほとんど周囲の人にも言っていなかった。

しかし、だんだんと彼自身が業務をこなすようになっていき、関係する人間が増えてきたとき、私のところに苦情の電話が増えるようになってきた。

「あいつと話してても埒があかないから、お前がやってくれよ」

「お前がきちんと教育してないとこっちが困るんだよ」

そうなると、社内の他の部署やお客様に迷惑をかけるわけにはいかず、私が自分の業務に加えて彼の業務も肩代わりすることが増えてくる。

すると私の残業時間が増え、上司の目につくようになる。

ここでやっと上司はことの背景に気づくのである。

幸い、私の上司は、私の苦しみにも声を傾けてくれる人だったので、その後たびたび相談に乗ってもらうことができた。

しばらくはどうやったら彼が良くなるか、いろいろアイディアを出し合って試してみたが、どうにもうまくいかなかった。

そうこうするうちに、指導する側である私が精神的に追い込まれてしまい、ついに上司も重い腰を上げ、彼を動かす方向で調整に入ったようだ。

拭えぬ無力感と解放感

彼が異動すると聞いたとき、最初に感じたのは無力感だった。

仮にどれだけ素材が悪いとしても、指導する側が諦めてはいけないというのが私なりの正義感であった。

しかし実際には、彼と真剣に向き合うたびに心がくじかれ、指導することを半ば放棄してしまった。

結果的には複数年指導したにもかかわらず、一人前にもしきれず他の部署に迷惑をかける結果となった。

その点で、自分の情けなさや無力感が拭いきれない思いである。

しかし、散々苦しめられてきた彼が自分のそばからいなくなることを喜んでしまっている私もいる。

もう何度も同じことを言い続けたり、彼の業務を肩代わりしたり、感情を揺さぶられずに済むんだ、と考えると解放感を感じる。

何より職場の人たちの大部分が、彼のひどさと私の苦しみを理解してくれていたことが、救いとなった。

事実、彼の異動が公表されたとき、多くの人が私に声をかけてくれて、これで楽になるね、とか、あのレベルはどうにもならないよ、など、気遣いの言葉をくれた。

駄目に見える後輩・部下とどう付き合うべきか

今回の彼の件を経て、駄目な人間とどう関わるかは非常に重要な問題であると感じた。

実際には組織の形態や規模によって大きく変わるとは思う。

今回の私のケースのように、上司に掛け合って異動の算段をしてもらうことができれば1番楽かもしれない。

しかしそれができないケースの方が多いのではないかと思う。

私がお勧めするのは、駄目な後輩の目に余る言動について、努めて冷静に客観的にメモを取っておくことだ。

私は感情的に訴えても、私自身の評価を下げることにしかならないと感じた。

そこで彼の能力の低さや仕事への姿勢を評価する客観的な証拠として、日々の業務に関して彼に指摘した点を全てノートに取るようにしていた。

最終的にはこのノートを上司に提出して、私の主張を客観的に判断してもらう材料とした。

また、副次的な効果として、自分自身のメンタルの安定化につながったと感じる。

彼に対する自分の無力感を文字にして残しておくことで自分自身少し客観的になれる。

(この記事がまさにその一貫なのだが。)

更に会社が判断する際の、武器を作っていることになるので、自分を守ることにも繋がるという意識になれた。

他人を変えることは難しい。

どうしても無理だと思ったら、自分自身の意識を変えるか、自分を守るための行動をとることも考えて欲しい。

ぴかけん
夫婦でメーカー勤務。Tier1工場⇒Tier1本社への転職経験有り。
よかったらシェアしてね!

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 嫌いという感情が先に合って、叱責すべき理由を探しているだけに見える。

コメントする

目次
閉じる